ポテチ天国 英国が誇る スナック菓子の世界
英国で「クリスプス」と呼ばれるポテトチップスは、どんな小さな店でも専用の陳列棚があるほど身近な存在。日本よりはるかに親しまれているこのスナック菓子は諸説あるものの、あるシェフの対抗心から偶然生まれた、という説が有名だ。1853年、米国のサラトガ・スプリングスにあるホテルのレストランで、フライドポテトが厚すぎると何度もクレームを受けたシェフは、極端に薄くポテトをスライスし、カリカリになるまで揚げて提供した。半ば冗談のつもりで作ったものが思いのほか好評で、やがて世界中に親しまれていくことになる。「クリスプス」という形で英国に上陸したのは20世紀初頭だが、もっと荒削りな原型は19世紀初頭にはすでにあったそう。
近年英国のポテチ業界には、湖池屋から日本のフレーバーも参入し、新たなムーブメントも起こりそうな予感。ますます活気を帯びているポテトチップスの世界をのぞいてみよう。
定番からユニークな味まで スーパーで買えるスナック菓子
日々新作が発売され、しのぎを削る英国のポテチ業界はまさに激戦区。言い換えれば英国は優れたポテチの宝庫であり、日本ではなかなか目にしないフレーバーも数多くそろう。ここではスーパーで購入できるマストで食べたいポテトチップスと、日英のポテチ文化の違いを紹介する。
安定感のある王道クリスプス Ready Salted / Walkers
ポテト
英国を代表するクリスプス・ブランドのほんのり塩味。少々オイリーだが、これぞまさしくポテト!と言えるほど素材の味を存分に感じられる。
アジアらしいフレーバー TERIYAKI / Koikeya
ポテト
日本人になじみのある味と言えばコレ。サクサクとした軽やかな口当たりで、ほのかな醤油味の中に優しい甘みが感じられる満足度の高い一品。
日本ブランドならではの繊細な味付け WASABI NORI / Koikeya
ポテト
海外ブランドにありがちな辛味を強調した味付けとは一線を画するわさび海苔味。鼻を抜けるピリッとしたわさびと、さっぱりとした風味が美味。
自分で塩味を調整できる Salt & Shake - Original / Walkers
ポテト
小パックの中に、薄くスライスされたクリスプスと塩の小袋がイン。塩加減を調整して、自分好みの味を作れるクリスプス大国らしい一品。
2018年のグッド・テイストに選ばれたトリュフ味 Black Truffle & Sea Salt / Tyrrells
ポテト
開封した瞬間トリュフの香りがふわりと広がるが、味はややキノコに近く、薄味。好みは分かれるものの、厚めのスライスは食べ応え抜群だ。
ポッシュなクリスプスの代表格 Posh Prawn Cocktail / Tyrrells
ポテト
エビをマヨネーズとケチャップで和えた英国の前菜、プローン・カクテルをイメージした味。ケチャップの味とまろやかな酸味がクセになりそう。
あっさりチーズでずっと食べられる Mature Cheddar and Red Onion / Kettle
ポテト
タマネギとチーズの絶妙なコンビネーションが楽しめるケトルの人気商品。薄めの味付けとザクザクとした食感が後を引く、厚めのクリスプスだ。
油で揚げないヘルシーさが売り Sour Cream & Onion / Popchips
ポテト
ジャガイモを油で揚げずに、熱を加えて作る歯触りの良いスナック。濃い味付けではあるが、味自体はマイルドなサワー・クリームという感じ。
ソースにディップしても◎ Queso Blanco & Lemon Drop Chilli / Manomasa
コーン
スペインのホワイト・チーズ「ケソ・ブランコ」とチリ、というインパクトのある名前とは対照的に、コーンの素朴な味をしっかり感じられるスナック。
隠れファンも多い古参の味 Twiglets / Jacobs
小麦
醤油を焦がしたようなスモーキーな味がする小枝状のスナック。1930年代から発売されており、デービッド・キャメロン元首相のお気に入りだそう。
食物繊維たっぷりのベジ・チップス Sweet Potato Sticks Sea Salt / Emily Veg Crisps
スイート・ポテト
素材そのもので勝負したベジ・チップス。スイート・ポテトの優しい甘さとシー・ソルトが程よく混じり合う。ナチュラル志向の人に勧めたい。
つい手が伸びてしまう軽〜いスナック take it cheesy / Hippeas
ヒヨコ豆
オーガニックのヒヨコ豆を使用したサクサクのパフ。日本のスナックに近い軽い口当たりで、チーズの味は薄め。子供にも安心して食べさせられる。
湖池屋ではどのように作る? ポテトチップスが生まれるまで
ポテトチップスの製法には種類があるが、湖池屋では新鮮なジャガイモをスライスして揚げる、というシンプルかつ最も素材を生かした方法で1967年より量産化を開始した。
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日本とイギリスにおける ポテトチップスの違い
英国での一人当たりのポテトチップスの消費量は、日本の約2.4倍! その理由に、日本ではお菓子として親しまれているポテトチップスが、英国では食事として食べられる時があること、またイモ料理が多い食文化のため普段から食べ慣れていることが考えられる。
英国での食べ方
パブではビールのつまみとして、また食事メニューとして子供のランチ
ボックスにも入っている。また、スーパーマーケットでは、指定商品をまとめて購入すると割引になるミールディールの対象になるなど、年齢問わず日常的に食べられている。
日本での食べ方
ポテトチップスと炭酸飲料というジャンキーな組み合わせが人気。また、電子レンジで温めてホクホク感を出す、鰹節やのりをトッピング、料理の材料に使うなど、さらにおいしい食べ方を追求するチャレンジャーや、箸で食べる人も結構多い。