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Mon, 15 April 2024

クラシックの本場で特別な時間を欧州の音楽祭に行こう!

ドイツやオーストリア、イタリアなど、クラシック音楽の発祥の地であり、数々の音楽家たちを生んできた欧州では、毎年さまざまなクラシック音楽の祭典が開催されている。本特集では、そんな欧州を代表する音楽祭について、その歴史や見どころを一挙にご紹介。クラシック音楽の本場である欧州の音楽祭に出掛けて、思う存分その世界に浸ろう!(文:英国・ドイツニュースダイジェスト編集部)

英国 英国BBC PromsBBCプロムス

BBC Proms
主な会場となるロイヤル・アルバート・ホール
BBC Proms
毎年恒例、最終日にハイド・パークで行われる「プロムス・イン・ザ・パーク」

ロンドンの中心部に位置するロイヤル・アルバート・ホールで、華やかに幕を開ける世界最大級の音楽祭、BBCプロムスは英国では夏の風物詩。世界に名だたる演奏家やオーケストラが約2カ月間、毎日演奏を繰り広げる。この音楽祭の魅力は、筋金入りのクラシック音楽ファンだけでなく、普段はあまり音楽を聴かないという人や小さな子どもまで、ありとあらゆる人を楽しませるユニークなプログラムにある。毎年趣向を凝らした構成になるので今年も期待したい。最終夜の様子は全英各地の公園でパブリック・ビューイングが開催されるので、親しい人たちとピクニックがてら楽しめる。

2024年の開催日程: 7月19日(金)~9月14日(土)
www.bbc.co.uk/proms

英国 英国Glyndebourne Festivalグラインドボーン音楽祭

グラインドボーン音楽祭
東京ドーム約1個分の12エーカー(4万8562平方メートル)もある立派な庭園
グラインドボーン音楽祭
1200席を有するオペラ・ハウスで連日さまざまな演目が上演される

演劇プロデューサーであり、音楽をこよなく愛したジョン・クリスティとオードリー・ミルドウェイ夫妻によって始められたイングランド南東部ルイスのオペラの音楽祭で、今年で90周年を迎える。初期はモーツァルトのオペラ作品を中心に上演されていたが次第に多様化し、今年は5作品が上演される。毎年ソールド・アウトが続出し、チケットの入手困難な音楽祭としても知られている。観客はドレスアップが求められ、特に男性は黒の蝶ネクタイが伝統の装いだ。開演2時間前に開場されるので、広大な庭園を散策したり、併設のギャラリーを訪れたりとオペラ以外の楽しみも盛りだくさん。90分のインターバルでは、庭園でのピクニックやレストランでの食事を楽しみ、1日を通して優雅に時を過ごすことができる。

2024年の開催日程: 5月16日(木)~8月25日(日)
www.glyndebourne.com

ドイツ ドイツBayreuther Festspieleバイロイト音楽祭

バイロイト音楽祭バイエルン王ルートヴィヒ2世からも資金を借りて完成した祝祭劇場

リヒャルト・ワーグナーのオペラ作品に特化した音楽演劇祭。バイロイトの緑の丘にある祝祭劇場で開催され、毎年7月末〜8月末の約1カ月間続く。劇場はワーグナー自ら建築家のオットー・ブリュックヴァルトと協力して建設したもので、1875年に完成。ワーグナーの思い描く世界観を完璧に上演できる会場に仕立てた。豪華さや華やかさの代わりに実用性を重視し、唯一無二の音響効果につながっており、毎年約5万8000人の来場者を魅了する。チケットの競争率が高いので、前年の12月からウェブサイトをチェックするのがお勧め。ぜひワーグナーの世界を堪能してみては?

2024年の開催日程: 7月25日(木)〜8月27日(火)
www.bayreuther-festspiele.de

ドイツ ドイツDresdner Musikfestspieleドレスデン音楽祭

ドレスデン音楽祭
ゼンパーオーパー専属楽団のシュターツカペレ・ドレスデン
ドレスデン音楽祭
音楽祭独自のオーケストラであるドレスデン祝祭管弦楽団

東ドイツ時代に始まったドレスデン音楽祭は、毎年5~6月に1カ月かけて行われる欧州最大で最も有名なクラシック音楽祭の一つ。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団などの名だたるオーケストラのほか、国際的に有名なソリストやアンサンブルが招待され、トップクラスの音楽を堪能することができる。また2012年以降は音楽祭のために創立されたドレスデン祝祭管弦楽団が、ロマン派音楽に焦点を当てた演目で音楽祭を盛り上げている。さらにジャズやロック、ポップスなどのプログラムも充実。ゼンパーオーパーをはじめとした歴史的な文化施設など市内20会場で行われ、街を挙げてのお祭りとなっている。

2024年の開催日程:5月9日(木)~6月9日(日)
www.musikfestspiele.com

ドイツ ドイツBeethovenfestベートーヴェン音楽祭

ベートーヴェン音楽祭
2023年のオープニングではドヴォルザークのチェコ協奏曲が演奏された
ベートーヴェン音楽祭
マルクト広場では年齢や経験にかかわらず演奏に参加できるフラッシュ・モブ企画も

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの生まれ故郷ボンで毎年開催されるベートーヴェン音楽祭。1845年にフランツ・リストによって始められ、ドイツで最も古い音楽祭の一つに数えられる。交響曲第9番で歌われる「歓喜の歌」に「人類みな兄弟」という一節があるように、近年、本音楽祭は多様性にフォーカスした21世紀にふさわしい祝祭を目指している。そのためクラシック音楽にとどまらず、ジャズや参加型コンサート、ダンス・イベントなど、多様なプログラムが用意される。2024年のプログラムは4月に発表される予定。またボンにはベートーヴェンの生家が博物館になったベートーヴェン・ハウスもあるため、ファンなら併せて訪れたい。

2024年の開催日程: 9月5日(木)~10月3日(木)
www.beethovenfest.de

フランス フランスChorégies d'Orangeオランジュ音楽祭

オランジュ音楽祭古代劇場の舞台のハイライトは公共テレビで放送される

ショレジ・ドランジュは、1869年に始まったフランス最古のお祭りで、1971年に現在のオペラとクラシック音楽の祭典という形になった。名称はギリシャ語の「コレゴス」(合唱団がお祭りのために集結すること)で、古代ギリシャ・ローマの悲劇の源流に立ち返るとともに、当時のフランス人劇作家を奨励する目的で行われるようになった。現在も叙情的なオペラ、音楽を中心に演目が選ばれている。この音楽祭の最大の魅力は古代ローマの遺跡であるオランジュの古代劇場を中心にして行われること。劇場全体が石で造られているため、屋外の劇場にもかかわらず卓越した音響効果があるという。世界でも類を見ない遺跡の舞台は一見の価値あり。

2024年の開催日程: 6月14日(金)~7月22日(月)
https://www.choregies.fr

フランス フランスFestival d'Aix-en-Provenceエクサンプロヴァンス音楽祭

エクサンプロヴァンス音楽祭アルシュヴェシェ劇場の中庭のパフォーマンスは圧巻

1948年、音楽家であり後援者でもあるリリー・パストレ伯爵夫人の援助により、音楽活動を奨励することを望んだガブリエル・デュスルジェによって創設された音楽祭。モーツァルトの初期作品や有名なオペラ作品、現代作品、バロックの傑作の再発見など、非常に多様なプログラムとなっている。若い才能の発掘にも力を入れており、芸術創作の分野に新たな地平を切り開くことを目標としている。アルシュヴェーシェ劇場、プロヴァンス大劇場、ジュ・ド・ポーム劇場、オテル・メイニエ・ドペードなど、アイコニックな会場で上演が行われ、音楽祭を通してオペラに現代的な息吹が感じられる。

2024年の開催日程: 7月3日(水)~23日(火)
https://festival-aix.com

オーストリア オーストリアSalzburger Festspieleザルツブルク音楽祭

ザルツブルク音楽祭かつて指揮者のカラヤンが芸術監督に就任したことも有名

ザルツブルクでは毎年7月から8月にかけて、祝祭劇場のあるホーフスタールガッセの通りとバロック様式の旧市街全体が、オペラ、演劇、コンサートのための祝祭の舞台へと変貌する。音楽祭が誕生したのは1920年8月22日。マックス・ラインハルト演出による詩人フーゴー・フォン・ホーフマンスタールの道徳劇「イェーデルマン」がドーム広場で上演されたのが始まりだ。その1年後には、オーケストラと室内楽のコンサートが追加上演されることになり、1922年にはモーツァルトのさまざまなオペラが初めて上演されるなど、今日まで残る演劇、コンサート、オペラの三つの礎を築く。モーツァルトからモダニズム、そして古典的な解釈から前衛的な試みまで、幅広い芸術プログラムを堪能できる。

2024年の開催日程: 7月19日(金)~8月31日(土)
www.salzburgerfestspiele.at

オーストリア オーストリアWiener Festwochen 2024ウィーン芸術週間

ウィーン芸術週間ウィーン市庁舎前で行われる華やかな開会式

第二次世界大戦直後、オーストリアがまだ連合国4カ国の軍による占領統治を受けていたときに創設されたフェスティバル。ナチス・ドイツに統治されていた時代のイメージを払拭し、首都ウィーンに新しい文化を創造する目的で始められた。芸術による世界に開かれた都市をモットーに、クラシックやオペラばかりでなく、演劇、パフォーマンス、美術など、ジャンルを超えたアーティストたちが一堂に会する。若手に門戸が開かれており、現代の社会的な課題にも目を向けたプログラムが多いのも特徴だ。例年、開会式はネオ・ゴシック建築で知られるウィーン市庁舎前の広場で盛大に行われる。

2024年の開催期間: 5月17日(金)~6月23日(日)
www.festwochen.at

イタリア イタリアMaggio Musicale Fiorentinoフィレンツェ五月音楽祭

フィレンツェ五月音楽祭今も音楽祭の顔としてタクトを振るズービン・メータ

今年で86回目を迎えるフィレンツェ五月音楽祭は、イタリアの名指揮者ヴィットリオ・グイによって創設された、オペラを中心にしたフェスティバル。1985年からは巨匠ズービン・メータを首席指揮者に迎え音楽祭を発展させてきた。会場は音響の良さで知られるコムナーレ劇場、2011年にオープンしたばかりの新オペラ劇場、そして1656年からの歴史を誇りヴェルディの「マクベス」が初演された場所でもあるペルゴラ劇場の3カ所。オペラに詳しくなくても、古都フィレンツェにふさわしい重厚かつきらびやかな劇場の中に身を置くだけでも価値があるといえそう。また、オペラ作品以外にも若手のミュージシャンや作曲家による演奏もあり。

2024年の開催期間: 4月13日(土)~6月13日(木)
www.maggiofiorentino.com

イタリア イタリアArena di Verona Festivalアレーナ・ディ・ヴェローナ音楽祭

アレーナ・ディ・ヴェローナ音楽祭夏の夕暮れを彩る「カルメン」のステージ

古代ローマの円形闘技場跡地、アレーナ・ディ・ヴェローナで毎年開催される野外音楽祭。101回目を迎える今年は、オペラの巨匠ジャコモ・プッチーニの死から100年、演出家ジャンフランコ・デ・ボシオの生誕100周年に当たるため、この2人にオマージュを捧げたプログラム構成となっている。「カルメン」や「トスカ」をはじめとした7本のオペラのほか、午後9時過ぎからのイブニング・プログラムも用意されている。野外で行われる利点を生かした、雰囲気満点のステージとなるはずだ。昨年12月にはイタリアのオペラ歌唱がユネスコ無形文化遺産に登録されたばかり。本場イタリアでオペラの魅力に触れてみてはいかがだろうか。

2024年の開催期間: 6月8日(土)~9月7日(土)
www.arena.it/en/arena-di-verona

スイス スイスLucerne Festivalルツェルン音楽祭

ルツェルン音楽祭
メイン会場はさまざまな音響に対応したKKLコンサート・ホール
ルツェルン音楽祭
2023年には96歳の指揮者ヘルベルト・ブロムシュテットも登場した

春に2回、夏に1回、秋に1回とほぼ1年を通して音楽祭を開催する、オーケストラによるコンサートやリサイタルが堪能できる世界有数のクラシック音楽祭。メインは夏のコンサートで、今年のテーマは「好奇心」(Neugier)。より多くの人にクラシック音楽のコンサートを楽しんでもらうために導入された、長過ぎず短過ぎずな入場無料のコンサート「40分」シリーズや小さな子どもも鑑賞できる家族向けのプログラムなど、クラシック音楽に興味を持つきっかけとなるような演出が多数用意されている。今年は2022年に同音楽祭でデビューを果たし、3年連続の公演となるピアニストの藤田真央さんが招待されている。

2024年の開催日程: 8月13日(火)~9月15日(日)
www.lucernefestival.ch

チェコ チェコPražké jaroプラハの春音楽祭

プラハの春音楽祭
オープニング・コンサートは市庁舎内のスメタナ・ホールで開催される
プラハの春音楽祭
パイプオルガンなどの荘厳な音色をカジュアルな雰囲気の中で鑑賞できる

チェコスロヴァキアがナチス・ドイツから解放されてわずか1年後に、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団創立50周年を記念して創設された、管弦楽と室内楽の国際音楽祭。同音楽祭は、チェコで生まれた音楽と国内での音楽活動の促進を目的とした30歳以下の若手演奏家が出場できるコンクールが組み込まれているのが特徴だ。1994年以降、国内の作曲家に依頼した新作が課題曲となり、毎年優れたチェコ音楽が生まれている。プラハの春音楽祭は、毎年チェコの作曲家ベドルジフ・スメタナの命日に「ヴルタヴァ」(モルダウ)を含む「わが祖国」の演奏で幕を開ける。今年は、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が出演予定。

2024年の開催日程: 5月12日(日)~6月3日(月)
https://festival.cz

フィンランド フィンランドSavonlinnan Oopperajuhlatサヴォンリンナ・オペラ・フェスティバル

サヴォンリンナ・オペラ・フェスティバル
2023年はドラマチックなセットで観客を魅了した「魔笛」が上演
サヴォンリンナ・オペラ・フェスティバル
1900年初頭の帝政ロシアを舞台にした躍動感あふれる米国発のミュージカル「屋根の上のバイオリン弾き」

古典作品や世界初演作品、また著名なオペラ・ハウスの公演を観に、毎年約7万人が訪れるオペラ・フェスティバル。会場は現存する中世の城で世界最北にあるオラヴィ城だ。湖水地方独特の風光明媚な景色と、優れた音響効果を生み出す城内の講堂での公演は、訪れた人に感動の時間を与えるだろう。周辺各国による支配が長年続いたフィンランドだが、同フェスティバル創設時は国家独立の機運が高まった時期で、1912年の第1回目では同国で生まれたオペラ作品が多数上演された。しかし第一次、第二次世界大戦やフィンランド内戦など度重なる戦争による財政難で、約40年もの間休催を余儀なくされた歴史を持つ。1967年に復活を遂げ、今では世界中に多くのファンを持つフェスティバルとなった。

2024年の開催日程: 7月5日(金)~8月4日(日)
https://operafestival.fi
 

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