自転車に乗りたいけれど、英国の運転規則が分からない。街で見かける自転車はスポーティー過ぎて、乗りたいと思うものがない。どこで買ったらいいのかも、どこを走ればいいのかも分からない……。そんなちょっとした疑問を解決して、いざ、快適自転車ライフを!(Text & Photo: Miki Yamanouchi)
(b)…Bobbin Bicycles (c)…Cyclechic
英国で自転車と言えば、ギア付きのスポーティーなタイプが主流。とは言え、最近では新しいスタイルを提案するショップが続々と参入し、機種もデザインも選択肢がかなり広がっている。せっかく自転車を買うなら、徹底的に自分好みの1台を探してみては。店選び
まずは毎日立ち寄りやすい場所にある販売店を探すのがポイント。タイヤがパンクした時やチェーンが外れてしまった時など、困った時にすぐにプロに見てもらえると心強い。
自転車選び
変速ギアの有無やハンドルやサドルの形、そしてその位置などによって乗り心地は千差万別で、自転車の重量によって走行時の感覚もずいぶん違う。通勤やレジャー用など、自分の目的とだいたいの予算をスタッフに伝えて、1台か2台、それに見合ったおすすめを見せてもらおう。ライトや防犯ロックなどの必需品は基本的には別売りなので、アクセサリー用に別の予算を組むのを忘れずに。
試乗
たいていは全額をデポジットとして払えば屋外で試乗させてくれるので、15分ほど乗り回してみよう。ギアの操作具合、ブレーキ、姿勢の快適さなどがチェック・ポイント。サドルが硬い、姿勢がしっくりしないなどの感触を伝えれば、部品を交換できる場合もあるので、納得するまで何台でも試乗すること。気になる店が何軒かあるなら、じっくり回って乗り比べてみるのも手だ。また、たとえ見た目が好みでなくても、乗り心地で気に入ってしまうかもしれない。
購入
お目当ての自転車が決まったら、簡単なメンテナンス方法を聞いておくといいだろう。防犯ロックとライトはすぐ使うので、その場で購入すること。
スポーティーなスタイルが苦手で、 ぶらりと街乗りを楽しみたいなら
Bobbin Bicycles
ヴィンテージ・スタイルの自転車の店。ヒョウ柄のサドルやポップな柄のパニエ(Pannier=自転車の荷台に取り付けて固定できるバッグ)など、街を走って自慢したくなるお洒落なグッズも揃っている。写真左奥の自転車は「Glorie Bike」と呼ばれるタイプで、1台£420。ベーシック・タイプは£280。
19 Arlington Way, London EC1R 1UY
火~金 11:00-19:00 土 11:00-18:00 日・月休
Tel: 020 7837 3370
www.bobbinbicycles.co.uk
Cyclechic
自転車に乗っていてもおめかししたい、そんな人たちへ向けたアイデアが満載のウェブサイト。初心者へのアドバイスや、デザインはもちろん実用性も合格のアイテムが幅広く紹介されているので、こまめにチェックしよう。オンラインでも購入可。
月~金 10:00-18:00 土・日休
Tel: 020 7613 7316
www.cyclechic.co.uk
ツーリングなどを試してみたい、
走りを追求するための機能性を重視する人向き
Cycle Surgery
英国に17軒の支店を持ち、マウンテン・バイクからツーリング・タイプまで豊富に揃えている。価格も£200~5000と幅広い。最新の素材と技術を盛り込んだ自転車と、走りを追求する人のためのハイテク・ウェアもかなり充実している。
3 Procter Street, Holborn, London WC1V 6DW
月・水・金 8:30-18:00 火・木 8:30-19:00
土 10:00-17:00 日 11:00-17:00
Tel: 020 7269 7070
www.cyclesurgery.com
新品でなくても良いから、できるだけ安く済ませたい人へ
Camden Cycles
中古の自転車が常に100台以上揃うお店。商品はすべて点検とテスト走行済みで、購入後には1カ月間の無料点検期間と2週間の無料交換期間があるので安心だ。
251 Eversholt Street, Camden Town, London NW1 1BA
月~金 9:00-19:00 土 9:00-18:00 日 11:00-17:00
Tel: 020 7388 7899
www.camdencycles.co.uk
日本と違い、自転車は車道を走ることが鉄則の英国では戸惑うことが多いはず。また、故障や盗難という「もしも」の時に備えることも大切だ。ここでは自転車ライダーに必要とされる、基本的な知識とスキルを伝授しよう。
若葉マークさんのお悩み解決!道路に出るときの注意とは
特に交通量の多いロンドンでは、自動車やオートバイと上手く付き合うことが大切。基本的なルールや注意事項を守って、安全・快適な自転車生活を送ろう。
- 専用ルート
専用ルートや信号機を利用する。自転車はバス専用のレーンも走行できるが、最近、オートバイも同レーンを走行可能になったので留意を。 - 停車線&スペース
交差点には、車の停車線の前に自転車用の停車線とスペースが設けられていることが多い。巻き込まれ防止のために、停止信号ではできるだけ先頭車の前で止まろう。 - ヘルメット
ヘルメットの着用は法律では義務付けられていない。とはいえ、やはりもしもの時を想定して着用を心掛けたい。 - 手信号
方向が定まらない自転車は、車のドライバーたちにとって一番危険を感じる存在だ。そこで、後続の車にとって分かりやすいよう、手信号で右折・左折表示を必ず行うこと。手を横に伸ばしてはっきりと伝え、その際、目視で後方確認も忘れずに。 - 一般道
一般道には車が駐車されていることが多いため、その横を走っていると、急に開いたドアで怪我することも。ドアからは1メートルぐらいの間隔を空けて走ろう。また、後方の車は余裕のある場所で追い越してくれるので、無理して道を開ける必要はない。 - ラウンドアバウト
自転車は車と同じ扱いなので、ラウンドアバウトを走ることもできる。その際、手信号をはっきりと出すこと。しかし安全面を考えると、できるだけラウンドアバウトは避けて、静かな裏道を走るのが理想だ。 - 地下鉄・バス
自転車が故障した時に困るのが、それを運びながらの移動だ。路線によっては、地下鉄に自転車を持ち込むことができる。基本的には、折りたたみ自転車以外がピーク時は不可、エスカレーターの利用もできない(詳しくは交通局のサイトを参照)。また、バスは折りたたみ式のみ持ち込み可。
「もしも」を未然に防ぐSafety & Security
事故や盗難のせいでせっかくの自転車生活が台無しにならないよう、安全と防犯対策は念入りに。少しの手間と費用で、未然に防げるコツはこちら。
トレーニング
それぞれの自治区(Local Borough)では、自信を持って道路に出るためのトレーニングを随時開催していて、そのほとんどが無料というからうれしい。下記のサイトから、ご自分のエリアの自治区に問い合わせを。
www.tfl.gov.uk/roadusers/cycling/9065.aspx
事故と盗難対策
サイクリスト用の保険は、1週間あたり32ペンスから。出先で故障などが発生した時のピックアップ・サービスも含まれている。 www.eta.co.uk/insurance/cycle
全国規模で行われている、無料の所有物登録システムを利用しよう。これは盗難に遭ったとき、警察と連携して回収を試みてくれる心強い味方だ。また、自転車専用であるトラッキング用電子タグも販売されている。 www.immobilise.com
定期点検
自転車は、ちょっとしたバランスや部品の噛み合わせが性能に影響するデリケートな機械。せめて半年に1回はサイクル・ショップで定期点検をしてもらおう(点検代は平均35ポンド)。
Cycling Light
Gekko Light £16.99
Frog Light £8.50
ライトは投資にケチらず、できるだけ明るく性能の良いものを
Helmet
Sawako Furuno £60
いざという時、頭を守るために着用する
Reflector £10
Reflector Badge £15
肩から掛けたり、カバンに付けたりすることで、車のヘッド・ライトを反射し、ドライバーの注意を惹く
Gloves £29.99
夏は指なしタイプがおすすめ。衝撃を吸収してくれ、滑り止めにもなる
D-lock £26.99 Dの形をしていて、支柱などに自転車をロックできる。これは「Abus」社のもの |
Chain-lock £44.99 自由に形を変えられるため、どんな場所にもロックしやすい |
Cable-lock £9.99 取り外されやすい車輪などの部分に通し、他のロックと併用する |
Immobi Tag Electronic Cycle Protection Kit £13.99 盗難時のトラッキング・タグ・システム |
防犯グッズのおすすめサイト: www.discountbicycles.co.uk
サイクリストから絶大な支持を受けているのが、ロンドン交通局が運営するウェブサイト内にある自転車ルート・サービスだ。最短かつ安全な経路を地図で確認することができる上、申し込むと、ロンドン周辺のサイクリング・ガイド・マップを無料配送してくれる。自転車トレーニングや関連イベント情報もここでチェックできる。
ロンドン交通局のウェブサイトwww.tfl.gov.uk/cycles にアクセス。左側にある「Journey Planner」をクリック。
出発地と目的地を入力、下までスクロールし、「Cycling options」からオプションを選択
所要時間とともにルートの確認ページが表示されたら「View」をクリック。
右側にある「Maps」の下をクリックすると、 地図が表示される。
画面上でマウスを動かせば、ルートを辿ることもできる。
必要であれば、左下の「Print route」で印刷しよう。
景色を楽しみながら爽快ライド!走ってみよう、運河沿い
車と接触することなく主要エリアに簡単にアクセスできる運河沿いの道は、ベテランにも初心者にもおすすめのルートだ。ここでは、絶景ポイントや見所が点在するカムデン地区~リトル・ヴェニス地区間を紹介しよう。
運河沿いを走行時の注意事項
・ 幅の狭い道が多いので、常に道を譲る用意を
・ 歩行者や他の自転車への配慮を忘れずに。接近するときには声をかけるか、軽くベルを鳴らす。特にトンネルを出入りする際に注意
・ 2列走行をしない
・ 日没以降の走行は避ける(一部の区域は、夏18:00、春秋17:00、冬16:00に閉鎖される)