(本誌編集部: 村上祥子)
ウィリアム・アーサー・フィリップ・ルイス王子
1982年6月21日、ロンドンのセント・メアリーズ病院で生まれる。28歳。父はチャールズ皇太子、母は故ダイアナ元妃。王位継承順位第2位。現英国君主であるエリザベス2世は祖母に当たる。弟に2歳年下のヘンリー王子がいる。バークシャーにあるラドグローブ小学校を経て、95年からイートン校へ進学。97年、15歳のときに母のダイアナ元妃がパリでの交通事故により死亡。ギャップ・イヤーでチリやアフリカなどを訪れた後、スコットランドのセント・アンドルーズ大学に進み、美術史を専攻(後に地理学へ変更)する。卒業後、2006年1月にはサンドハースト王立陸軍士官学校に入学。同年12月に少尉として近衛騎兵隊のブルーズ・アンド・ロイヤルズ連隊に入隊。ウェールズのバレー空軍基地での19カ月に及ぶ訓練を終え、10年9月に空軍の救難ヘリコプターのパイロットとなった。
キャサリン・エリザベス・ミドルトン(通称ケイト)
1982年1月9日、イングランド南部バークシャーのレディング出身。29歳。英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ職員(当時)の父、マイケル・フランシス・ミドルトンと、同社で客室乗務員をしていた母、キャロル・エリザベスの間に生まれる。妹のフィリッパ・シャーロット(通称ピッパ)と、弟のジェームズ・ウィリアムの5人家族。地元パングボーンにあるセント・アンドルーズ校に通う。ウィルトシャーにある共学校、マールボロ校を卒業後、スコットランドのセント・アンドルーズ大学に進学し、ウィリアム王子と出会う。大学では美術史を専攻し、2006年に卒業。その後は英ファッション・ブランド、Jigsawでアクセサリーのバイヤーとして働き始めるが、翌年には退職し、以降は両親の経営するオンラインのパーティー・グッズ販売会社を手伝うなどしていた。
ウィリアム王子の結婚相手、将来の英国王妃として、一挙手一投足が世界中の注目を集めるケイト・ミドルトンさん。ケイトさんって一体、どんな女性? Fashion、Family、Educationという3つのキーワードを基に、ケイトさんのこれまでたどってきた人生と人柄を探ってみた。
ツボを押さえた英国ブランドPR大使
美脚をさりげなくアピールしつつも、健康的で上品なファッションで嫌味に見せない術を知っているケイトさん。特に婚約発表後は、あくまで英国発を基本に、Burberry、Issa London、Reiss、Whistlesなど、高級ブランドから誰もが手の届くハイストリート・ブランドまで、幅広いセレクトで英国ファッションの普及に貢献。立場を心得たそのセンスは、英ファッション界の御大、ヴィヴィアン・ウエストウッドに「まだまだね」と言われようが、なかなかもって見事なもの。「質はいいけど野暮ったい」英国ファッションのイメージを払しょくすべく華麗に表舞台に飛び出した、新たなるトレンド・セッターの登場だ。
Katherine Hookerで今ドキの正当派
婚約後、ウィリアム王子との初の共同公務となったウェールズの救命ボート完成式典でケイトさんが着用したスマートなツイード・コートが、メディアで大評判。5年前から着ているコートの丈を短くリメイクしたものだと後に判明し、不況時のプリンセスとして大いに名を上げた。
勝負服は Issa London
ご存じ、婚約会見時に披露した、目の覚めるようなブルー・ドレスの生みの親。ケイトさんは以前から、ここぞのときの勝負服として同ブランドのドレスを好んで着ている。なんでも婚約発表後、同ブランドの売上は45%増となり、今後はブラジルに6店舗をオープン、米ニューヨークへの進出も視野に入れているのだとか。
シースルー・ドレスがすべての始まり
ドレスというより、黒のビキニの上に羽織る網、といった方が適切なシースルー・ドレス。大学在学中に開催されたチャリティー・ファッション・ショーでこのドレスを着たケイトさんを、ウィリアム王子が最前列かぶりつきで見ていたというのはあまりに有名な話だ。この「ドレス」、3月にオークションにかけられ、7万8000ポンド(約1000万円)で落札された。
教育ママの下で青春を謳歌
教育ママの庇護の下、自宅の隣に公立小学校があったにも関わらず、8キロほど離れたパングボーンにある私立校、セント・アンドルーズ校で学んだケイトさん。卒業後は、カトリック系の全寮制私立女子校に通い始めたものの、間もなくウィルトシャーにある共学校のマールボロ校へ転校。そこでは水泳、ホッケー、テニスなど何でもバリバリこなすスポーツ万能少女としてならしたという。その後は、スコットランドのセント・アンドルーズ大学へ進学し、美術史を専攻。ウィリアム王子を含む数人の学生とフラットをシェアし、心ゆくまで学業と恋愛に励んだ(と思われる)。
写真)大学の卒業式に出席するケイトさん
男子生徒におしり!?
全寮制私立女子校では校風になじめなかったと言われるケイトさん。共学校に移ってからは生き生きとした学生生活を送っていたようだ。のびのびするあまり、窓から外を歩いていた数人の男子生徒に対し、おしりを見せたこともあるといううわさも。後のシースルー・ドレスでの大胆さの萌芽がここにあった。
学業だって忘れていません
学生の本分とも言うべき学業成績はと言えば、中等教育修了試験のGSCEで11科目に合格、大学入学資格試験のAレベルでは2科目でA(当時の最高成績)、1科目でBを取得したという優等生。大学卒業時も、上から2番目である「2:1」の好成績を収めた。やはり才色兼備でなければ、将来のお妃様は務まらないのだ。
大学で 「お見合い」!?
スコットランドのこぢんまりとした街にあるセント・アンドルーズ大学。日本人にとって目立つ存在とは言えないが、この学校、実は「マッチメイキング」の大学として有名。ケイトさんの母親、キャロルさんがウィリアム王子と同じ大学に通わせるために選んだという、これまたうわさがあるが、真相や、いかに。
ミドルトン家は女性強し!?
婚約会見後のミドルトン夫妻
イングランド南部バークシャーに、5つの寝室付きの邸宅を構えるミドルトン家。父、マイケルさん(61)は、英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)勤務後に、オンラインでパーティー・グッズを販売する会社、Party Piecesを経営。一気に富豪へと上り詰めた。そして母、キャロルさん(56)は、同じくBAで客室乗務員をしている際にマイケルさんと職場結婚。現在は同会社の共同経営者として活躍している。妹のピッパさん(27)、弟のジェームズさん(24)も同社の経営に関わっており、家族の結びつきはかなり強いと思われるが、何よりの疑問は、パーティー・グッズの販売とは、それほど儲かるものなのか、という点だったりして……。
悪女転じて究極のセレブ・ママ
エリザベス女王に対して失礼な発言をしただの、ウィリアム王子のパレード時にガムを噛んでいただのと、一時メディアからバッシングを受け、「悪女」イメージが付きまとったキャロルさん。しかしその苦労も何のその。先祖には炭鉱夫もいるという労働者階級から、究極のセレブ・ママへと華麗なる転身だ。
セレブ予備軍の妹、ピッパさん
控えめに表現して、ケイトさんの顔のパーツを愛嬌ある雰囲気に組み替えたような風貌のピッパさん。パーティー・プランナーとして活躍する一方、両親の会社の重役としてPRに貢献。いまや男性に大人気の彼女だが、メディアには「結婚式の招待状目当て」ではと言われることも。式後もセレブでいられるか!?
地味目な弟、 ジェームズさん
大学中退後、両親の会社の傘下でケーキ製造用具会社、Cake Kitを設立した典型的なおぼっちゃま。その後、某投資会社にビジネス開発マネージャーとして関わっていたが、その会社は昨年、金融サービス機構による調査を受けてしまった。王室の親戚となる今、もう少し地に足をつける必要アリ!?
誰が結婚式に出席するのか、どんな食事が出されるのか……。結婚式当日の情報が小出しに発表されつつも、依然、一般市民の知りたいネタは厚いベールに覆われたまま。ここではいくつかのキーワードを基に、現時点で明らかになっている結婚式のあれこれをQ & A形式でご紹介。
何人くらいの人たちが結婚式に出席するの?
公式発表によると、結婚式及びその後に行われるレセプションに出席する人数は下記の通り。なお、出席者の詳細は明らかにされていない。
ウェストミンスター寺院での結婚式 1900人
エリザベス女王主催のレセプション 600人
チャールズ皇太子主催のディナー 300人
呼ばれた人 / 呼ばれなかった人の悲喜こもごも
徐々に自己申告の形でその全貌が見えてきた出席者の面々。呼ばれたラッキーな人々は、故ダイアナ元妃と親しかったエルトン・ジョン(写真)やベッカム夫妻など、納得の有名どころ。そのほか、ケイトさんの地元のパブ・オーナーや肉屋などアットホームな面子に加え、ウィリアム、ケイト両人の元カレ、元カノという驚きのセレクトも。また、麻薬取引現場をメディアに暴露されたケイトさんの叔父は、見事招待の栄誉を賜った。
一方、呼ばれなかった人たちの筆頭と言えば、エリザベス女王の次男、アンドルー王子の元妻、セーラ・ファーガソンさん。また、オバマ米大統領夫人、ミッシェルさんは「もし呼ばれたら出席するのに」と未練たっぷりの様子。なお、在メキシコ英国大使館前で出席させろとハンストを決行していた19歳の学生は、残念ながら招待されなかった。
国を挙げての結婚式、誰が費用を支払うの?
総額は1000万ポンド(約13億6400万円)に及ぶとも言われる結婚式の主な費用は、王室及びミドルトン家が持つとされている。しかし、当日の警備や道路封鎖、道路清掃などにかかる費用は国や地方自治体持ち。ロンドン警視庁筋によると、警備費用は昨年のローマ法王渡英時とほぼ同じ、500万ポンド前後になるとみられる。
英国経済には吉と出る?凶と出る?
小売や旅行などの業界で、今回の結婚による経済効果が期待される一方で、休みの多い4月末の平日を祝日にしたことによるダメージを危惧する声もある。産業連盟(CBI)によると、長期休暇やズル休みによる結婚式当日の従業員不足や、休日出勤の特別手当発生などで、予想される経済損失は50億ポンドに上るとか。
サファイア人気が急騰
(イメージ写真)
一方で、ケイトさん効果も捨てたものではない。小売大手のテスコがオンラインで販売した婚約時のドレスのレプリカ(16ポンド)は、販売開始1時間以内で完売。また、婚約指輪に使われているサファイア人気が沸騰、数十ポンドのものから千ポンド以上のものまで、様々なレプリカが英国内外で飛ぶように売れたという。ケイトさんが公の場で着た服のブランド名が数時間後にはインターネット上で判明し売上は急上昇という状況が続く今、この結婚が経済にとって吉と出るか、凶と出るかは、まだ未知数だ。
ヘンリー王子やピッパさんが何かと注目されているけれど、 結婚式で何をするの?
欧米の結婚式で付き物なのが、友人らで構成された「世話人」集団。結婚式までの準備や当日の式の統括などを主に行う。今回は、新郎側の付き添い代表である「ベスト・マン」にウィリアム王子の弟、ヘンリー王子が、新婦側の付き添い代表である「メイド・オブ・オーナー」にはケイトさんの妹、ピッパさんが任命された。
期待と不安の混じるベスト・マン
パーティー好きで知られるやんちゃなヘンリー王子。今回の結婚式でも何かやらかしてくれるのでは、と期待がかかる。当の王子は、結婚式当日のスピーチでは女王の存在を意識して「言葉を選び」ながらも、兄ウィリアム王子の「髪の毛がちょっと抜けてしまう」(!!)くらい驚かせようと思う、と既に衝撃発言をしているから、ウィリアム王子は今ごろ気が気じゃないのでは。また王室は、教会内で聖書を祭壇まで運ぶ「ページ・ボーイ」や新婦の付き添い「ブライズメイド」を務める少年少女を発表。子供ながらにそうそうたる顔ぶれだ。
ルイーズ・ウィンザー
(7歳、エリザベス女王の三男、ウェセックス伯爵の娘)
マルガリータ・アームストロング=ジョーンズ
(8歳、リンリー子爵の娘)
グレース・バン・カッツェン
(3歳、ウィリアム王子の友人 ヒュー・バン・カッツェンの娘)
エリザ・ロペス
(3歳、カミラ夫人の娘 ローラさんの娘)
ウィリアム・ロウザー=ピンカートン
(10歳、ウィリアム、ヘンリー両王子の個人秘書 ジェイミー・ロウザー=ピンカートンの息子)
トム・ペティファー
(8歳、ウィリアム、ヘンリー両王子の乳母ティギー・ペティファーの息子)
結婚式当日には英国各地で「ストリート・パーティー」が行われると聞いたけど、一体、何?
「ストリート・パーティー」とは、国内で大規模なイベントが行われる際に、市民が地方自治体の承認を得た上で一般道を一部借し切り、食料や飲み物を持ち寄って友好関係を深める催しのこと。起源は第一次大戦直後、1919年のベルサイユ条約締結を祝った「ピース・ティーズ」と言われている。
王室制度反対派もパーティー!
2002年6月1日、エリザベス女王
戴冠50周年を記念して
4月上旬の時点で、パーティーの申請数は全国で約4000と、やや少なめ。とはいえ、キャメロン首相夫妻がダウニング街でパーティーを開くほか、ケイトさんの地元バックルベリーは、町を挙げての大パーティーを計画。一方、王室制度廃止を求める団体「リパブリック」は「『ロイヤル・ウエディングじゃない』ストリート・パーティー」と銘打ち、ロンドン中心部コベント・ガーデンでパーティーを開催予定だったが、カムデン自治体の許可が下りず、現在、メディアも巻き込んでバトル中だ。
正式なストリート・パーティーを行うためには、地元自治体から道路封鎖の許可を得る必要があり、ときには封鎖のために多少の使用料が課されたり、保険が要求される場合も。しかし、そうした手間をかけずとも、一般家庭の裏庭などに集う「ストリート・ミート」といった手もあるので、せっかくの機会、英国ならではの雰囲気を満喫してみては?
巷に出回る記念品の数々。どれが王室公認なの?
王室が認めた公式の記念品か否かを見分けるポイントは、王室の紋章が、商品に使われているかどうか。王室の公式訪問や結婚式などの管理を担当するロード・チェンバレンズ・オフィスが、「品格があるか」「宣伝目的ではないか」などといった判断基準を基に決めている。長期使用が可能な、マグカップやプレートなどは典型的な公式記念品として知られるが、エプロンやTシャツなどの消耗品は「品位を損ねる」として、通常は許可されない。
独自の道をひた走るユニーク記念品
公式かどうかなんて関係ない──商魂たくましい人々は、アイデア勝負のユニーク商品に、不況脱出の勝負をかけている。そんな中でも一番の注目商品はと言えば、「Crown Jewels: Condoms of Distinction」。見つめあうケイトさんとウィリアム王子の写真が印象的なケースに収められているのは、何とコンドーム(写真)。これ、王室に訴えられないのだろうか……。
2人のラブラブぶりを見るのはもう辟易(sick)、という人にお勧めなのは、グラフィック・デザイナー、リディア・リースさん作のエチケット袋(sick bag)。当日はこれを持って「うんざり」アピールをするのもアリだが、ちょっとむなしくなるかも。
エリザベス王女 (エリザベス2世)と フィリップ |
チャールズ皇太子と ダイアナ・スペンサー |
ウィリアム王子と ケイト・ミドルトン |
日時 | ||
1947年11月20日 11時30分 |
1981年7月29日 11時20分 |
2011年4月29日 |
場所 | ||
ウェストミンスター寺院 | セント・ポール大聖堂 | ウェストミンスター寺院 |
招待客 | ||
約2000人 | 約3500人 | 約1900人(予定) |
ウエディング・ドレス (デザイナー) | ||
英デザイナー、ノーマン・ハートネル卿により制作される。ちなみに同卿は女王の戴冠式のドレスのデザインも手掛けた | 英デザイナー、エリザベス/デービッド・エマニュエルにより制作される。1万個の真珠が縫い付けられたベールの長さは7.62メートルに及んだ | 英デザイナー、ジャスパー・コンランや英ブランド、Alexander McQueenのサラ・バートンなど、様々な憶測がなされているが、詳細は当日明らかにされる。また、秘密が漏えいした場合に備えて、3種類のドレスを制作するとのうわさも |
ウエディング・ ケーキ | ||
公式ケーキはスコットランドの菓子メーカー、マクビティ &プライス社(現ユナイテッド・ビスケット社)が制作。そのほかプレゼント用に11個のケーキも用意された | 公式ケーキは英国海軍制作。そのほか、26個のケーキが作られ、うち一つのケーキの一片が後にオークションで1000ポンドで落札された | 公式ケーキはレスターシャ―の菓子職人、フィオナ・ケアンズさんが制作する伝統的なフルーツ・ケーキ。もう一つ、マクビティ社のチョコレート・ビスケット・ケーキも制作される予定 |
ウエディング・ ブレックファスト | ||
カレイのフィレ、山ウズラのキャセロール、アイスクリーム | ブリル(ヒラメ)のクネル(すり身団子)ロブスター・ソース添え、鳥の胸肉ラム・ムース詰め、イチゴのコーニッシュ・クリーム | ??? |
婚約指輪 | ||
宝石デザイナー、フィリップ・アントロバスの手によるプラチナとダイヤモンドの指輪。新郎の母が所有していたティアラのダイヤモンドを使用 | 14のダイヤモンドに縁どられたサファイア | 故ダイアナ元妃の婚約指輪を譲り受ける |
結婚指輪 | ||
ウェールズにあるClogau Gold社のセント・デービッド鉱山から採掘されたゴールドを使用したリング | ウェールズにあるClogau Gold社のセント・デービッド鉱山から採掘されたゴールドを使用したリング | ウェールズにあるClogau Gold社のセント・デービッド鉱山から採掘されたゴールドを使用したリング(予定) |
Source: BBCほか