プローン・カクテル
Prawn Cocktail
クリスマスを含め、パーティーの機会が多くなるこの時期。英国のパーティー・フードはどんなものだろう? と気になりませんか。英国内の主要スーパーでは、10月ごろにはクリスマスに向けたパーティー・フード注文用のカタログが置かれます。その中に必ず登場するのが「プローン・カクテル」。「カクテル」といっても飲み物ではありません。マヨネーズとケチャップを混ぜたピンク色のソースで海老とレタスを和えた前菜です。
英国人に「プローン・カクテルは好き?」と尋ねると、イエスかノーかの返事をする前に必ず「あー、1970年代に流行っていたね~」と誰もが懐かしがる、レトロな料理。60~80年代には、レストランでもホーム・パーティーでも、なくてはならないというほど人気の前菜だったそうです。
今や英国料理の「クラシック」と評されるこの食べ物。スーパーでは、ヨーグルトかと見間違えそうな容器に入ったプローン・カクテルが常に並んでいるところを見ると、今や日々の食卓にのぼる「普段のおかず(サラダ?)」とも言えそうです。また、ポテトチップスなどに「プローン・カクテル味」があることからも、人々に親しまれている味だということはよく分かります。
セレブリティー・シェフのヘストン・ブルメンタール氏があるインタビューで、「仕事から戻った夜中に冷蔵庫をあさって食べるのはプローン・カクテル」と告白していたり、シェフでフード・ライターでもあるサイモン・ホプキンソン氏が共著書に「The Prawn Cocktail Years」と名付けていたりと、食のプロたちにとっても無視することのできないメニューのよう。
一方でなぜか、これを好きだと告白するのはちょっとはばかられる、といったイメージがあるのも事実。材料に砂糖だらけのジャンクな調味料(?)、ケチャップが使われているせいか、どう頑張っても見た目がぐちゃっとして洗練されているとは言いがたいせいかは分かりませんが……。
さて、英国にこの料理が知れ渡ったのは、TV シェフの先駆けとして60年代に大活躍をした女性、ファニー・クラドックさんが1967年にレシピを紹介したから、というのが通説。1962年にご長寿テレビ・ドラマ「コロネーション・ストリート」の台詞に既にこの料理の名前が登場していたという説もあり、何より元々は米国の「オイスター・カクテル」を真似たものだとも。とはいえ、国内での知名度を上げたのは、ドスの利いた声に派手な衣装とメイクアップで料理を披露し、人気を博していたファニーさんのおかげというのは広く信じられているようです。
ところで、この料理のソースには「マリー・ローズ」という美しい名前が付いています。これは、ヘンリー8世の命によって建造された軍艦に由来するとか。確かにシーフードに合わせるのにふさわしい名前かもしれませんね。
プローン・カクテルの作り方(4人分)
材料
- 海老 ... 250g
- レタス ... 好みの量で
- マヨネーズ ... 大さじ4杯
- ケチャップ ... 大さじ2杯
- ウスターシャー・ソース ... 少々
- レモン果汁 ... 大さじ1~2杯
- 塩・胡椒 ... 少々
- パプリカ ... 少々
作り方
- マヨネーズ、ケチャップ、ウスターシャー・ソース、レモン果汁、塩・胡椒をボウルに入れてよく混ぜる。
- 海老は調理済み(cooked)のものを使用するか、生のものの場合には茹でて頭と尾を取り、殻をむいて冷ましておく。
- レタスを0.5~1cmくらいの幅に切る。
- ❶ に冷ました海老と❸の一部を入れて混ぜる。
- ステムのあるガラスの器に残りのレタスを敷き、その上に❹を入れる。
- 上からパプリカを振りかけて出来上がり。
memo
サーブするときには、このプローン・カクテルと一緒に、くし形切りにしたレモンと、バターをたっぷり塗ったブラウン・ブレッドを添えるというのが、7 0 年代の典型的なプレゼンテーションだったそうです。