ベーコン・サンドイッチ
Bacon Sandwich
日曜の朝、キッチンからベーコンの焼ける良い匂いがしています。今日の夫の朝食は「ベーコン・サンドイッチ」のようです。朝からこれを食べるということは、どうやら昨日は友人と出掛けたパブでビールをたくさん飲んだに違いありません。というのも、英国人の多くは、飲んだ翌日(特に二日酔いの場合)に、フル・イングリッシュ・ブレックファストや、このベーコン・サンドイッチなど、「しっかりめ」の朝食を選ぶことが少なくないからです。
北イングランド地方などでは「ベーコン・バティ」とも呼ばれますが、いずれにせよ、これはパンに焼いたベーコンを挟んだだけのもの。レタスやトマトなどの野菜は一切なし。バターはたっぷり塗るのが英国流です。
素材のせいか製法のせいかは分かりませんが、英国のベーコンは、日本のものに比べて格段においしい気がします。でも、普段そんなに「肉食」を欲するわけでもない私は、あえてベーコン・サンドイッチを食べたいと思うことはありませんでした。
機会がやってきたのは、十数年前、音楽の祭典、グラストンベリー・フェスティバルに行ったとき。予想通り、期間中、大雨に降られました。睡眠不足と雨の中の移動のせいか、家に帰る日は朝からへとへとでした。お腹もペコペコです。おまけに駐車場が広大すぎて、いつまでたっても車にたどり着かず、半泣きになりそうなときに見つけたのが、ベーコン・サンドイッチの屋台。とにかく空腹を満たそうと、とりあえずサンドイッチを注文。やや焦げ気味で、縁のあたりが特にカリッと香ばしく焼けた熱々のベーコンと、ふわふわの白い食パンの組み合わせは、バターとベーコンの塩辛さがプレーンなパンによく合い、そのおいしかったこと! このとき、私はようやく英国人のベーコン・サンドイッチに対する思い入れの深さを体感したのでした。
重要な問題は、ベーコン・サンドイッチの食べ方です。食パンか、それともロールパンか。白いパンか、全粒粉やライ麦パンか。パンをトーストするのかしないのか。ケチャップやブラウン・ソースをつけるか、ソースは無しか。そして肝心のベーコンは、ストリーキーという三枚肉を使った脂身の多い細長タイプか、バックと呼ばれる肩ロース部分を使ったものか。
BBCが伝えるところによると、リーズ大学で、食品科学の研究者4名が、700種以上のベーコン・サンドイッチを1000時間以上かけてテストし、ついに完璧な作り方を究明したのだそうです。それによれば、240度に予熱したオーブン・グリルで2~3枚のバック・ベーコンを7分焼き、それを1~2センチ幅のファームハウス・タイプのパンで挟むというもの。実際試してみると、確かにおいしい。でも、私はやっぱりパンをトーストして、ブラウン・ソースを少しつけるのが好みです。皆さんはいかがですか?
ベーコン・サンドイッチの作り方(1人分)
材料
- 食パン(白) ... 2枚
- ベーコン ... 好みで2~3枚
- バター ... 適量
- ブラウン・ソース、ケチャップなど、好みのソース
作り方
- 食パンにたっぷりバターを塗る。
- グリルでベーコンを焼く(焼き加減はお好みで)。
- ❷を❶に挟んで、好みのソースなどをつけて召し上がれ。
memo
英国のベーコンは本文で述べた肉の部位による違いのほかにも、燻製したものとしないもの、厚さの違いなど、様々な種類があります。ロンドンの市場へ出荷するための大規模なベーコン生産が英南部ウィルトシャーで始まったのは18世紀後半と言われています。