政府が着々と推し進める移民削減政策は、欧州経済領域国(EEA)の出身ではない私たち日本人のビザ取得をますます難しいものにしています。昨年夏には、政府は諮問機関とのコンサルテーションを開始。特に就労ビザ保持者の永住権取得制度などについて、今後の方針を話し合ってきました。
そして先月末、ダミアン・グリーン移民担当閣外相は、ポイント・ベース制Tier2を保持し5年間英国に滞在した場合に認められていた永住権への切り替えを、2016年4月以降、一部の例外を除き受け付けないとの発表を行いました。
これにより、Tier2から永住権への切り替えを希望する場合、政府が示した一定金額の年収が保証されていることなどが必須条件となります。
以下は、今回発表された改革案の主旨ですが、下記の内容は現在も引き続き協議中であるため、今後随時変更が行われていく予定です。現段階の改革案であることをご了承ください。
* Tier2から永住権の申請を希望する場合、3万5000ポンド以上の年収、もしくは歩合制でそれを上回る給与額が望めることが条件となります。
* Tier1(Exceptional talent)、(投資家)、(企業家)については、今後も永住権の申請が認められます。ただし、投資家については英国内で100万ポンドの投資を行った場合、また企業家については10人の正社員を雇い、500万ポンドの収益を上げた場合に限られます。
* 政府が設定した「不足している職務」に就いている場合、また博士課程レベルの科学者と研究者については、設定された最低年収の金額を満たさずとも、永住権を申請することができます。
* Tier2の延長によって許可される英国滞在期間が、最長で6年となります。
* Tier2については、許可された滞在期間が終了した後に12カ月間の「クーリング・オフ期間」が課され、その間は同様のビザの再取得ができなくなります。
若い企業家や中小企業の取締役たちにも、チャンスが与えられます。卒業後に、英国内で5万ポンドを投資できる場合は、英国に滞在する許可が下ります。
英国に滞在中の学生と就労移民は、自立して暮らしていくための十分な資金があることを証明する必要がありますが、この提示金額が、2008年以降初めて、上乗せされることになります。
グリーン移民担当閣相は発表に際し、以下のように述べています。
「英国に永住できることは、『特権』です。我々は、英国で就労しさえすれば永住する権利が得られるといった考えを一掃し、この重要な権利を最も優秀な人材のために確保することにしました。
「この改革は、英国に入国してくる人々についてだけでなく、滞在が許される人々に関しても、我々が選択的でいられることを保証するのです」
政府は、10万人単位から1万人単位への移民総数削減に向け、すべての入国ルートの見直しを図るとしています。日本人を始めとするEEA諸国外からの移民に対しては、既に様々な厳しい改革が実行されていますが、特に今回の大胆とも言える変革は、永住を夢見て英国内で就労してきた人たちに、大きな打撃を与えるのが確実です。
移民削減政策によってますます狭き門となるビザ獲得への道。しかし、確固たる目的を持ち、心から渡英・在英を望む人たちにとってはチャンスとも言えます。準備不足でせっかくの機会をふいにしないよう、申請手続きは専門家と二人三脚で、着実に進めることをお勧めします。