24時間営業のコンビニもなければファミレスもない。
英国に暮らしていて意外と難しいのは、夜が更けるほどに恋しくなる「夜食」の調達だ。
そこで今回は、お腹も舌も大満足の深夜営業レストランをご紹介。
残業や試験勉強の合間に、ライブを満喫した後の帰り道に。
ほっと一息つきに足を運んでみてはいかが?
手軽に豪華な気分が味わえる
The Wolseley
5ツ星ホテル「ザ・リッツ」や、高級デパート「フォートナム&メイソン」と同じ並びにあるブラッスリー。その立派な外観に、さぞ伝統があり格式高いのだろうと恐れをなしてしまいそうだが、オープンは意外にも2003年。元々は車のショールームとして1921年に建設されたものを、アールデコ様式の内部のイメージはそのままに、有名レストラン「ジ・アイビー」の仕掛人クリス・コービンとジェレミー・キングが、新たな伝統を作り出そうと立ち上げた。メニューは奇をてらうものではなく、ヴィクトリア時代から親しまれている伝統料理がメイン。「ケジャリー」という耳慣れない料理は、その昔、大英帝国が植民地インドの料理を英国風にアレンジしたという一品だ。ほぐしたタラが入った炊き込みご飯で、ほのかにカレーが香るところがインドらしい。フォークの先で半熟卵を崩し、流れ出た濃厚な黄身とともにいただこう。良質な空間で夜をしっとりと過ごしたいときに。
店名 | The Wolseley |
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住所 | 160 Piccadilly, London W1J 9EB |
TEL | 020 7499 6996 |
最寄り駅 | Green Park駅より徒歩5分 |
オープン | 月~金7:00-0:00 / 土8:00-0:00 / 日8:00-23:00 |
Website | www.thewolseley.com |
地下の隠れ家を思わせるビストロ
Joe Allen
コベント・ガーデンの交通博物館裏手にある狭い間口のエントランスは、派手な看板もネオンもなく、知らなければ気付かずに通り過ぎてしまう確率が高い。薄暗い階段を地下に下りると、タバコの煙が似合いそうなセピア色の店内に、清潔感のある白いクロスが掛かった丸テーブルが並ぶ。卓上にはケチャップの瓶が置かれ、リラックスした雰囲気だ。米ニューヨークの劇場街に本店が、パリに支店がある。ロンドン店は1977年にオープンしたが、この街のエッセンスが詰まった魅力的な空間は、35年という年月を経てこそでき上がったものと言えそう。ステーキが有名だが、隠れた人気メニューはハンバーガー。しっかり身の締まったビーフを、ホームメイドのブリオッシュ風バンズがサポートする、飾り気がなくシンプルな大人のためのバーガーだ。片隅で静かに演奏されるジャズのピアノとともに楽しみたい。日本からのゲストを案内したら、喜んでくれること間違いなし。
このお店は移転しました。新住所はウェブサイトをご確認ください。(記事は移転前の内容です。)
店名 | Joe Allen |
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住所 | 13 Exeter Street, London WC2E 7DT |
TEL | 020 7836 0651 |
最寄り駅 | Covent Garden駅より徒歩5分 |
オープン | 月~金8:00-0:45 / 土11:30-0:45 / 日11:30-23:45 |
Website | www.joeallen.co.uk |
スタイリッシュな魚料理をいただきに
Rivington Grill Shoreditch
季節の食材を生かした手頃な価格のメニューで、ロンドン東部のショーディッチ地区で人気を誇る一店。グレーと白で統一されたスタイリッシュな店内は、近隣で働くクリエイティブな人々だけではなく、シティのビジネスマンも引き寄せている。前菜のチコリ・サラダは、スコットランド産ブルーチーズ「ストラスドン」と、ローストされたヘーゼルナッツの味のバランスが完璧。爽やかで涼しげな見た目も美しく、作り手が楽しんでいるのが感じられるほどだ。マヨネーズとゆで卵をトッピングして食す「コーニッシュ・クラブ」は、カニ味噌とほぐれた身が意外な程たっぷり入って、魚介好きの日本人なら悶絶してしまいそう。ウェールズのアングルシー島近海で獲れたスズキは、素材の良さを壊さない適度な味付けで、日本の焼魚に限りなく近い味わいだ。軽く炙って焦げ目を付けたホタテはクリーミーなマッシュ・ポテトと一緒に。贅沢な夜更かしに時間を忘れて興じたい。
店名 | Rivington Grill Shoreditch |
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住所 | 28-30 Rivington Street, London EC2A 3DZ |
TEL | 020 7729 7053 |
最寄り駅 | Old Street駅より徒歩7分 |
オープン | 月~金8:00-23:00 / 土11:00-23:00 / 日10:00-22:00 |
Website | www.rivingtonshoreditch.co.uk |
暗闇でハンバーガーを頬張ろう
Meat Liquor
オックスフォード・ストリートにあるデパート「デベナムズ」真裏に位置するレストラン。窓のない建物の前で若い人たちが行列を作っている様子は、クラブなのかと勘違いするほど。中に入るとやはりクラブかギグ会場並みの暗闇で、目が慣れてくると次第に、皆が何かを頬張る姿が赤いライトの中に浮かび上がってくる。メニューの表記が面白く、例えば「ウサギのエサ」というのはベジタリアン・メニューのこと。「バッファロー・チキン・バーガー」の説明書きには、「ホット・ペッパー・ソースをどっさりかけたダーティーなチキン・バーガー」とある。ベーシックな「チーズ・バーガー」は、紙を敷いたトレイにそのまま置かれ、溶けたチーズがねっとりと牛肉を覆う、まさにアメリカン・スタイルだ。オニオン、ピクルス、ケチャップ、マスタード入りで、口の周りがメチャクチャなことになるけれど、暗いので大丈夫。暗闇で味わう罪悪感が何とも魅惑的な一店だ。
このお店は移転しました。新住所はウェブサイトをご確認ください。(記事は移転前の内容です。)
店名 | Meat Liquor |
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住所 | 74 Welbeck Street, London W1G 0BA |
TEL | 020 7224 4239 |
最寄り駅 | Bond Street駅より徒歩4分 |
オープン | 月~木12:00-0:00 / 金・土12:00-翌2:00 / 日12:00-22:30 |
Website | www.meatliquor.com |
ソーホーならではの無国籍カフェ・バー
Boheme Kitchen and Bar
現在ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」を上演中の、プリンス・エドワード・シアターの向かいに位置するレストラン・バー。同性愛者のメッカと言われる通りにあるが、客層は実に多彩。買い物帰りの年配のご婦人2人組から、海外からの観光客、真剣に話し込むサラリーマンまで、国籍・年齢・性別を問わず、それぞれに自分の時間を楽しむ姿がいかにもロンドンらしい。メニューは無国籍で、「スモール・プレート」は各5ポンド、3つオーダーすれば13ポンドというお得な仕組みだ。「スモール」と言ってもタパス・サイズではなく、少食な人には十分とも言える量。たっぷりのフムスと山盛りのルッコラ、プチ・トマトの載ったフラット・ブレッドに至っては、2人でシェアしなければ食べ切れないほどだ。ほかにも、チップスかサラダが付く「ソルト・ビーフ・サンドイッチ」が9ポンドなど、比較的良心的な値段設定なのがうれしい。カクテルも多種そろう。
*閉店しました
店名 | Boheme Kitchen and Bar |
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住所 | 19-21 Old Compton Street, London W1D 5JJ |
TEL | 020 7734 5656 |
最寄り駅 | Tottenham Court Road駅より徒歩5分 |
オープン | 月~水11:00-翌1:00 / 木~土11:00-翌3:00 / 日12:00-0:00 |
Website | www.bohemekitchen.co.uk |
開いてて安心の24時間営業
Vingt-Quatre
24時間オープンというロンドンでも珍しいこちらは、最近改装が終わってリニューアル・オープンしたばかり。アメリカン・ダイナー風のインテリアは、例えそれが真夜中であろうとも、女性客がふらりと入れるような気軽な雰囲気だ。24時間サーブされるブレックファスト・メニューや、フィッシュ&チップス、バンガーズ( ソーセージ)& マッシュといった軽食類のほか、ステーキなどのしっかり食べられるメニューまでそろっている。「サーロイン・ステーキ・サンドイッチ」は、食べやすいように小さくカットされたステーキがびっしりはさまり、甘いオニオンとホースラディッシュがその味を引き立てる食べ応えのある一品。フランス・パン風のざっくりとした食感のバンズを使うのは、具材のうまみや水分が急激にパンに染み込まないための工夫だろう。プチプチしたザクロの実や、柔らかな甘みのバターナット・スクウォッシュが入ったカラフルなサラダもお勧め。アルコールもそろっている。
店名 | Vingt-Quatre |
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住所 | 325 Fulham Road, London SW10 9QL |
TEL | 020 7376 7224 |
最寄り駅 | South Kensington駅より徒歩15分 |
オープン | 月~日 24時間営業 |
Website | www.vqrestaurants.com |
夏の夜にギリシャの家庭料理を
Andy's Taverna
ロンドン北部のカムデン・ハイストリートを一本奥に入ったところにある、ギリシャ料理の専門店。1967年のオープン以来、地元にしっかり根付いている、小さいながらもチャーミングなレストランだ。魚やラムのグリル、オードブルのタラモサラタなど伝統的なメニューが並ぶが、自慢の魚料理は本国ギリシャから週3回鮮魚を仕入れているそうで、「魚の好きな日本人なら、きっと違いを分かってくれるはず」とギリシャ人オーナーは胸を張る。シーバスのグリルは、ギリシャ特有の爽やかなハーブのシーズニングで軽く味付けされており、レモンをきゅっと搾っていただけば、冷えた白ワインとの相性も◎。店の一番人気というラム料理「クレフティコ」は、柔らかい肉が口の中でほろほろと溶けていく大満足の一品だ。このシンプルで良質な家庭料理を思わせる気取りのない料理が、地元で愛され続ける理由なのかもしれない。中庭にはテラス席があり、夏の夜を過ごすのに最適。
店名 | Andy's Taverna |
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住所 | 81-81a Bayham Street, London NW1 0AG |
TEL | 020 7485 9718 |
最寄り駅 | Camden Town駅より徒歩8分 |
オープン | 月~日 12:00-0:00 |
Website | www.andystaverna.com |
エキゾチックな店内も見所
Momo
タジン鍋やクスクスなどで、日本でも定着しつつあるモロッコ料理。そのモロッコ料理を飛び切りエキゾチックな内装に囲まれて食べられるのがこちらのお店だ。レストラン、カフェ、テラス、そして地下にはバーと、4つのスペースに分かれているが、いずれもアラビアン・ナイトを思わせる薄暗い洞窟のようなインテリアで、落ち着いてゆったりと過ごせる。「クスクス・モモ」は、クミンやコリアンダー、シナモンなどのスパイスを使った子羊のすね肉の煮込みに、ピリッと辛いメルゲーズ・ソーセージと炭火焼の小さな羊肉が付き、さらにクスクスがセットになった豪華な一品。お腹を空かして行っても満足すること請け合いだ。また、本来モロッコはアルコールご法度のイスラム圏だが、こちらはカクテルも有名。「モモ・スペシャル」はウォッカのベースにミントとレモン・ジュースが入った、ミント・ティーのアルコール版。すっきりした甘さが料理ともよく合う。
店名 | Momo |
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住所 | 25 Heddon Street, London W1B 4BH |
TEL | 020 7434 4040 |
最寄り駅 | Piccadilly Circus/Oxford Circus駅より徒歩7分 |
オープン | 月~日 12:00-翌1:00 |
Website | www.momoresto.com |
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取材・執筆: Haruko Tanaka
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