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Thu, 21 November 2024

本当に使える会計

経営において会計は身を守る防具だけでなく、勝ち抜くための武器にもなります。英国日系企業の経営者が知っておきたい会計トピックを、会計のプロが分かりやすく解説。

固定資産の減損について

新型コロナウイルスのパンデミック(大流行)で企業は大きな混乱に直面し、今もそれは続いています。そのため大多数の企業が財務諸表への影響を評価し、これには固定資産の減損の判定も必要です。

会計での要件はどうなっていますか。

減損についての指針は、FRS102のセクション27および IAS第36号で規定されています。企業は、資産が減損しているという何らかの兆候が社内と社外の双方である場合、それぞれの報告日に評価する必要があります。経営陣は、財務諸表の発行を承認する日まで、これらの減損についての兆候を念頭に置く必要があります。そのような兆候がある場合は、企業は資産の回収可能額を見積もります。回収可能額は、FRS102では「資産(または資金生成単位)の正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の額」と定義されています。この回収可能額が会計記録上で現在の帳簿価格よりも低い場合には、資産は損益計算書で認識される減損損失により回収可能額まで評価額を引き下げます。

減損の判定が必要なのは、どのような資産ですか。

減損の判定の対象となる資産には、通常では不動産、プラント、設備といった有形固定資産と投資やのれん代などの無形固定資産があります。

現時点で関連する外部の情報源は何かありますか。

考慮するべき重要な事項としては、「企業に悪影響を及ぼす重大な変化が、その期間中に起こったか、または近い将来に起こるか」という点です。新型コロナウイルスのパンデミックは、事業の縮小、製品やサービスに対する需要の減退、ウイルスに関連するそのほかのコストの発生など、多くの企業にとっては明らかにこれが当てはまる可能性があります。 こうした兆候があれば、企業が減損の判定を実行する必要があります。

内部の情報源はどのように考慮する必要がありますか。

企業は、資産に陳腐化または物理的損害の証拠があるか、企業や資産の使用方法に悪影響を及ぼす可能性のある重大な変化があるか、または資産が予想通りに実行されていないと内部報告が示しているかを検討します。

資産の回収可能額と使用価値は、どのように算定するのですか。

資産の回収可能額は、正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の額になります。正味売却価額とは、知識のある自発的な当事者間の互いに対等な立場による取引で得られると想定される販売価格を算定し、そこから処分にかかる費用を差し引いた額となります。正味売却価額の最も良い証拠は、活発な市場における資産の市場価格、または独立した当事者間の取引における拘束力のある販売契約です。こうした証拠を利用できない場合は、利用可能な最良の情報を用いて企業が得ることができる額を反映させる必要があります。

使用価値とは、資産から生じると見込まれる将来のキャッシュ・フローの現在価値です。資産から見込まれる将来のキャッシュ・フローを確実に判定することは、現在の経済と市場の状況を考えると明らかに複雑で困難です。販売予想量、価格、為替レート、割引率などの想定とともに、国際貿易がいつ持ち直すか、また世界中のロックダウン(外出禁止措置)がいつ終了し始めるのかを慎重に検討する必要があります。

イアン・ロウ イアン・ロウ
パートナー
会計監査部署に所属。25年以上の経験を様々なビジネスにて駆使し、また財務会計に関して企業の立場からアドバイスを提供する姿勢から、多くのクライアントの信用を得ている。

財務
 

執筆者

  • 会計パートナー陣スティーブン
  • 会計パートナー陣ジョン
  • 会計パートナー陣イアン
  • 会計パートナー陣祐介
  • 会計パートナー陣チー
  • ショーナショーナ
  • 絵夢絵夢

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