経済的に厳しい時期における英国の法人税の問題
新型コロナウイルスによって引き起こされた経済的な損失が積み重なるにつれて、窮地に陥った企業にはさまざまなコストが発生します。また、こうした窮地が好機となることもあります。今回は、このような状況下で企業が直面する可能性のある法人税の問題について説明します。
会社は不良債権に対する税の軽減を請求できますか。債権の減損見積もりが回収不能額を反映した信用に値するもので、借り手が貸し手とは同じ支配下にはなく、その債権が正当な商業目的により生じた場合、企業は税の軽減を請求できます。
厳しい時期を乗り越えるため、私の会社が友人や子どもが所有する会社に融資をすることはできますか。はい、できます。ただし、あなたの会社が破たんした場合、あなた自身が融資を返済するよう債権者が要求する可能性があり、その融資が返済されない場合には税の軽減を利用できる可能性は低くなります。
会社は資産の減損に対して税の軽減を請求できますか。通常、株式や債務、あるいはリースでの使用権など「流動」資産の減損に対しては、税控除ができます。これとは対照的に、不動産や車両、あるいは株式投資などの「固定」資産の減損は、一般的には税控除の対象にはなりません。
会社は詐欺や窃盗による損失に対して控除を請求できますか。会社が一般従業員の手により損失を被った場合、税の軽減を請求することができます。ただし、損失が取締役や株主により引き起こされた場合は、税の軽減は却下される可能性が高くなります。
会社は余剰人員整理の費用に対して税の軽減を請求できますか。余剰人員整理の費用は、法定の余剰人員整理額の3倍、または純粋に取引を行うためだけに支払われる金額(後者のほうが大きい場合)を超えない限り、税控除の対象となります。 会社の取引全体を停止するために 余剰人員整理を行う場合、 法的金額の3倍を超える金額は控除されない可能性が高くなります。
私の会社が苦境にあるサプライヤーを買収する場合、自社の利益に対してサプライヤーの損失を利用できますか。いいえ、できません。赤字事業を抱える企業を買収し、ロス・ストリーミングと呼ばれる方法で新しい所有者に損失が引き継がれる場合、利用できる税の軽減は極めて限定的です。赤字事業がサプライヤー企業に残されているとしても、その損失を利用することができるのは、買収から3年以内に取引の性質や内容に大きな変更がない場合のみです。この3年間は、買収する側の大半の企業にとって、事業の好転を目指す年月より長いものです。
何かポジティブな点はありませんか。税金の観点からは、厳しい時期はしばしば事業の再編には良い時期となります。資産価値の低下により、事業再編で発生する税金が最小限に抑えられるためです。今は、特定の資産を年金に移すことや、子どもに贈与を検討するのにも良い時期です。
アンディー・トール
税務ダイレクター
税務と税務会計コンプライアンス、HMRCへの照会、オーナーの利益抽出と出口戦略、R & D優遇の請求、キャピタル・アローワンスの請求、税務デュー・ディリジェンス、M & Aの税務など幅広い経験を持つ。