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Thu, 21 November 2024

本当に使える会計

経営において会計は身を守る防具だけでなく、勝ち抜くための武器にもなります。英国日系企業の経営者が知っておきたい会計トピックを、会計のプロが分かりやすく解説。

第180回: ピラー2の重要性について

ピラー2とは何ですか。なぜ重要なのでしょうか。

経済協力開発機構(OECD)の加盟国は、多国籍企業(MNE)が事業を展開する全ての国で、少なくとも15パーセントの実効法人税率を支払うべきであるという合意に達していました。この世界的な取り組みは、不公正な競争を排除し、全ての国が適切な税収を得られるようにすることを目的としています。英国は、この合意を受けて、国内トップアップ税(DTT)と多国籍トップアップ税(MTT)という二つの税制を導入しました。英国法人(または支店)がある場合は、両方の規則を考慮する必要があります。

簡単に説明すると、DTTは英国企業が英国での利益に対して少なくとも15パーセントの法人税を支払うことを保証するものです。MTTは、海外での利益に対して少なくとも15パーセントの法人税が支払われることを保証するものです。

これは私の会社に影響しますか。

英国子会社が、年間売上高7億5000万ユーロを超える多国籍企業グループの一員の場合、この新しい規則に従う必要があります。この金額は、国別報告書の基準額と同じです。英国と日本の法人税の実効税率は、課税対象となる利益額の水準によって異なりますが、英国では19パーセント、日本では15パーセントを下回ることはありません。この税率はすでに「公正」とみなされているため、英国と日本を主たる事業拠点とする企業グループが法人税の「トップアップ」(追加課税)を検討する必要性は低いと思われます。日本に本社がある各企業は比較的独立して事業を行うことができますが、企業グループ全体の状況を把握することが重要です。ただし、英国で追加課税を負担する必要がない場合でも、英国歳入関税庁(HMRC)への登録は必要です。現時点では、この管理上の要件を免除されることはありません。

登録の期限はいつですか。

2023年12月31日以降に始まる最初の会計年度の終了から6カ月以内に、HMRCに登録する必要があります。したがって、会計年度が2024年1月1日から2024年12月31日までの場合は、2025年6月30日までに登録すればよいことになります。ほとんどの企業は来年の登録になりますが、何らかの理由で会計期間を短縮している場合は、この期限が早まる可能性があります。例えば、2024年6月30日までの6カ月間を会計期間としている企業は、2024年12月31日までに登録しなければなりません。

登録するにはどうすればよいですか。

対象企業は、HMRCにオンラインで登録する必要があります。最終的な親会社が英国外に所在する場合でも、原則として親会社が責任を負うことになります。ただし対象企業は、この要件をほかのグループ企業に引き継ぐよう指名することができます。企業グループの本社が日本にある場合、英国の企業が登録と報告手続きを担当するほうが現実的かもしれません。

申告と納税の期限はいつですか。

対象となる最初の会計年度に対する期限は、その年度の終了から18カ月後となります。その後は、各会計年度の終了から15カ月後となります。例えば、2024年12月31日に終了する会計年度の最初の申告と納税の期限は2026年9月30日です。2回目の申告と納税は、2025年12月31日に終了する会計年度が対象で、期限は2027年6月30日となります。

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