在宅勤務の経費
現在、多くのスタッフが依然として自宅で仕事をしています。今回はスタッフの経費の税控除について説明します。
定期的に在宅勤務をしている従業員だけが、税控除の対象になると聞いたのですが。
はい、その通りですが、歳入関税庁(HMRC)は新型コロナウイルスのパンデミックの際に、この規則を緩和しました。これにより、雇用主のオフィスが閉鎖されたか、または自主隔離のために、自宅で仕事をする従業員も対象となります。
それは素晴らしいですね。こうした従業員に経費を非課税で支払えるということでしょうか。
はい。在宅勤務中に発生する妥当な追加費用を負担する従業員を支援するため、雇用主が従業員に支払う費用は非課税となります。つまり対象となる支払いには、英国の所得税や国民保険料がかかりません。
この仕組みについて詳しく教えてください。
対象の支払いとなるのは、在宅勤務中の従業員が負担する妥当な追加費用のみで、以下のいずれかの方法で支払います。
① 雇用主は次の固定額を支払うことができる: 週給制の従業員の場合には週6ポンド、月給制の従業員の場合には月26ポンド。
② 雇用主は、従業員が実際に負担した追加費用を支払うことができる。認められる費用には、追加の暖房・照明費、追加の保険料、従量制の水道代、電話代、インターネット接続料などがある。従業員が負担した費用の増加分のみを支払うことができる。
この措置の期限はいつまでですか。
この控除は、今のところ2020/21年度と2021/22年度の課税年度にのみ適用されます。
短期間の在宅勤務でも申請できますか。
はい、たとえ1日だけ在宅勤務をするように言われた場合でも、1年間の控除を受ける資格があります。
従業員の在宅勤務のために、会社が事務機器を購入しました。これには税金がかかりますか。
雇用主が必要な機器を購入して提供した場合、私的な使用が著しくなければ、従業員には課税対象となる現物給付は発生しません。雇用主は著しい私的な使用を認めないことを雇用規定で明示しておくとよいでしょう。
従業員が機器を購入し、会社が支払いを行った場合はどうなりますか。
HMRCは、従業員が購入した機器の費用を雇用主が支払った場合に、以下の両方条件を満たせば所得税と国民保険料が免除されると認めています。
① 新型コロナウイルスにより、在宅勤務を可能にする目的のためだけに提供したものであること
② 雇用主が直接提供していた場合に所得税と国民保険料の免除の対象となるものであること
また、支給された機器の私的な使用が著しいものであってはなりません。
これにも期限はあるのですか。
これは2022年4月5日までの一時的な措置です。
*この記事は一般的な情報を提供する目的で作成されています。更なる情報をお求めの場合は、別途下記までご相談ください。
チー・ラム
税務パートナーデジグネート
DeloitteとPwCに15年以上勤務し、駐在員税務に関するアドバイスを多くの多国籍企業に提供。英国税務のコンプライアンス、HMRCへの対応、渡英前の個人・企業税務計画なども得意とする。