報告期間終了後の事象
報告期間終了後の事象、もっと一般的には「貸借対照表日の後の事象」として知られる事象は、企業の財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。報告期間終了後の事象に関するガイダンスは、FRS102の第32節に記載されています。
報告期間終了後の事象とは何ですか。
貸借対照表日から財務諸表の発行が承認される日までの間に、発生する可能性がある事象のことです。これには次の二つのタイプがあります。
• 修正を要する後発事象: 報告期間の期末日時点で存在していた状況を証明する事象
• 修正を要しない後発事象: 報告期間の期末日以降に発生した状況を示す事象
こうした事象は、新しい報告期間で扱わなくてよいのですか。
会計期間終了後の事象は、財務諸表の利用者が数値や開示に対して行う解釈、またそれらの数値に基づく利用者の意思決定に重要な影響を与える可能性があります。このため経営陣は、その事象が修正を要する後発事象か修正を要しない後発事象か、またその結果として生じる修正や開示について慎重に検討する必要があります。
報告期間の期末日後に発生した修正を要する後発事象については、どのような修正が必要ですか。
企業は、関連する開示を含めて財務諸表で計上する金額を修正しなければなりません。
修正を要する後発事象の例を教えてください。
修正を要する後発事象には、以下のようなものがあります。
• 期末日後の顧客の倒産により、期末時点で存在した売上債権が回収不能となったことが確認された場合
• 期末日後に在庫品を原価割れで売却した場合
• 貸借対照表日の後に、財務諸表が正しくないことを示す不正や誤りを発見した場合
• 貸借対照表日の後に裁判の和解が成立し、貸借対照表日の時点で負債が存在していたことが確認された場合。その結果、企業は以前に計上した引当金を修正するか、新たに引当金を計上することになります。企業は、こうした修正を要する後発事象の結果として偶発負債だけを開示することはできません
報告期間の期末日後に発生した修正を要しない後発事象については、どのような修正が必要ですか。
企業はカテゴリーごとに、以下の事項を開示する必要があります。
• 当該事象の性質
• 財務上の影響の見積もり、またはそうした見積もりができない旨の表明
修正を要しない後発事象の例を教えてください。
会計期間の期末日後の修正を要しない後発事象には、以下のようなものがあります。
• 貸借対照表日から財務諸表の発行が承認されるまでの間に、投資の市場価値が著しく下落した場合。市場価値の下落は、通常は貸借対照表日の投資状況を反映しないため、企業は通常では財務諸表の金額を修正しないが、追加で開示を行う必要が出る場合もあります
• 貸借対照表日の後に主要工場が火災により焼失した場合
• 貸借対照表日の後に発生した事象にのみ起因する、重要な訴訟を開始した場合
•当期税金資産・負債と繰延税金資産・負債に重要な影響を与える税率、または税法で変更の制定や発表があった場合
最後になりましたが、謹んで新春のお祝いを申し上げます。
イアン・ロウ
監査・会計 パートナー
会計監査部署に所属。25年以上の経験を様々なビジネスにて駆使し、また財務会計に関して企業の立場からアドバイスを提供する姿勢から、多くのクライアントの信用を得ている。