2026/27年度の個人向け税制とマネー事項について
昨年11月末の秋予算案では、2028年からCash ISA(Individual Savings Account)の枠が下がるなど、私たちには不利な税制改正がいくつか発表されました。今回は次年度からの個人向け税制改正について見直してみましょう。
勤労所得に関する税金は変更なしですが、良し悪しは何ですか。
税率は上がりませんでしたが、2021/22年度から上がっていない所得金額幅(Earning Bands)はさらに2030/31年度まで合計10年間据え置きになりました。政府統計局(ONS)によると、2021/22年度からの賃金上昇率は20パーセントを超えるので、最高税率が40パーセントや45パーセントのバンドに入ってしまった方は少なくないと思います。お給料が増えても税込みの所得はその6割、5割5分のみの増加ということになりますので、実質は増税ということです。
2026/27年度 控除額と所得税率(勤労所得)
| 個人控除額 (Personal Allowance) | £12570* |
|---|---|
| * ただし、右記を超える所得£2に対し£1控除額が減少 | £100000 |
| 所得税率(控除額を差し引いた後の所得に対し) | |
| 基礎税率:20%のかかる所得 | £12571~37700 |
| 高税率:40%のかかる所得 | £37701~125140 |
| 高税率:45%のかかる所得 | £125141~ |
投資所得はどうですか。
配当控除(Dividend Allowance)と利子控除(Savings Allowance)は据え置きとなりました。しかし配当税率は2026/27年度より追加税率納税者を除き一律2パーセント上昇してしまい、投資家だけでなく、配当で所得を得ている会社経営者にとっても経済的なダメージとなります。さらに、利子と家賃収入に対する税率も2027/28年度からは2パーセント増加します。株式等を売却した際の利益に対する売却税(Capital Gains Tax)の税率は今回据え置きとなりましたが、非課税枠はすでに1万2300ポンドから3000ポンドへ大きく減額されています。非課税口座であるISAを利用することがますます重要になっています。
2026/27年度 金利・配当収入の税率
| 利子控除 (Savings Allowance) |
金利・ 不動産 賃料に対する税率* |
配当控除 (Dividend Allowance) |
配当に 対する税率 | |
|---|---|---|---|---|
| 基礎税率 納税者 |
£1,000 | 20% | £500 | 10.75% |
| 高税率 納税者 |
£500 | 40% | £500 | 35.75% |
| 追加税率 納税者 |
£0 | 45% | £500 | 39.75% |
*2027/28年度より2%上昇する
でもCash ISAの枠が減額されてしまうのですよね。
はい、残念ながら2027/28年度から預金で運用するCash ISAは年間2万ポンドから1万2000ポンドへ減額となります。ただ、65歳以上の方の限度額は2万ポンドのままです。また、Junior ISAの限度額は預金でも投資でも9000ポンドのまま変わりませんし、運用タイプの Stock & Shares ISA枠も2万ポンドと変更なしです。従って、2027/28年度からはCash ISAを1万2000ポンド、残り8000ポンドをStock & Shares ISAで消化し、ISA枠を全額利用することができます。
Stock & Shares ISAで損してしまうのが心配です。
預金でない株式や公社債は、投資元本が上下し短期的に元本割れする可能性はあります。ただ、そのときに慌てて売却せず静観し、長期の視野で投資ができるのであれば、預金利子より高い利回りを期待できます。下記グラフでは預金投資信託(C)はとても安定していますが、変動が激しいAやBの投信のリターンがはるかに上回っています。また、変動を抑える方法として株式のみでなく、公社債などの安定性の高い資産と混合された投信もあります。グラフBは株式比率を40パーセントから85パーセントまでに限定し、ファンドマネージャーが市場状況により比率を調整してくれる投信です。世界株式100パーセントで運用しているAより価格変動が低いので投資を始める方には適しているかもしれません。
海外居住者に対する、National Insurance Contributions(NIC)の追加支払い変更事項について説明してください。
英国国民年金の受給額を増やしたい方は、海外からでも追加NICを払うことができます。2026/27年度からはレートが低い自営業者用NIC2(週3.65ポンド/年189.80ポンド)は海外居住者は利用できず、Class3(週18.40ポンド/年956.80ポンド)のみとなってしまいます。加えましてNIC3支払いの資格も厳しくなります。10年間継続して英国に居住していた方、もしくは英国滞在中に10年間以上NICを払っていた方のみとなります。従来この制限期間は3年間であったので、私たち外国人にとって大変不利な改正となりました。帰国の際にはNIC支払い履歴を確認されることをお勧めします。なお、海外からのNIC3支払いは、www.gov.uk 内のsubmitting a CF83 formから申し込めます。
当コラムは2026年1月時点の法制と税制に基づき一般的なガイダンスのために作成されており、皆様のご理解を深めるために内容を簡素化してある場合もあります。専門家の助言なしに記載情報にのみ基づき行動することはお控えください。その場合、筆者は一切責任を負いません。投資助言を含まない税務助言はFCAに規制されていません。過去の運用成績は将来のそれを保証するものではなく、投資元本価値は上下し元本割れする事もあります。
※ 次回のマネー教室は2026年8月20日号に掲載致します。本コラムのバックナンバーはこちらからご覧ください



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