魔法のような創作イタリア料理
Bella Cosa
ベラ・コサ
16 June 2015 vol.1461
「ロンドンで話題のレストランはもう行きつくした」という食通の人。「在英邦人の間ではまだあまり知られていないおいしい新規店を開拓したい」と願う好奇心旺盛な人。「日本人の好みに合う、日本食以外の料理を見付けたい」といったこだわりを持つ人。そんな人たちに向けて紹介したい一店が、このベラ・コサだ。
大規模な再開発工事が進行中のロンドン東部カナリー・ワーフの対岸に位置するモダン・イタリアン・レストラン。北側の側壁を埋める窓ガラスからは、シティ地区と並ぶロンドンの金融街の高層ビル群と、新たな摩天楼の建設に取り組むクレーン車、そしてヨットが浮かぶ波止場を見渡すことができる。視線をテーブルの上に戻すと、そこに並んでいたのは色鮮やかな創作イタリア料理。ウェイターはまるでとっておきのプレゼントを手渡すかのように料理を披露するといった具合に、とにかく高級感たっぷりだ。
鮮やかな黄色が特徴的なラビオリ(£13/£18)
まるでパズルのように食材を組み合わせたカルパッチョ(£18)
食事を進めていくうちに、やがてこの店が世界各地で見かけるいわゆる「高級イタリア料理店」とは随分と異なることに気付く。「どうやって配置したのだろう」と疑問に思わずにはいられないほど創意に満ちた盛り付け。有田焼の和食器。嘘みたいに繊細な味付け。何を隠そう、この店を支えるのは若くしてイタリアの各地域で修業を積んだ日本人シェフなのだ。しかも、その後はミシュラン星獲得店を含む世界中のレストランを渡り歩いてきた実績の持ち主である。
パルマ・ハムに包まれたブラック・コッド(£25)はイカ墨とともにいただく
この日本人シェフが、パスタや魚介類を用いた定番のイタリア料理に魔法をかけた。エビ、タコ、アンチョビなどの海産物とキャビアやカラスミといった珍味がパズルのように組み合わさった円形の「作品」とでも呼ぶべきものをレモン・ピューレとともにいただくカルパッチョ。角煮風に仕上がったポーク・ベリーは、カリッと音を立てる表面部分を破ると、ナイフが自ずと肉を通過していく。豚のほほ肉とトリュフに挟まれて登場した、5種類のチーズを使った黄色に輝くラビオリを口にしたときにはもはや昇天。
ダーク・エールとの相性抜群のティラミス(£8)
デザートにも驚きを用意しているのだから、心憎いと言うしかない。シェフ曰く「要素の分解と再構築」を経たという起伏に富んだティラミスに合うとお勧めされたのは、何とビール。確認したが聞き間違いではなく、本当にビールが出てきた。濃く焙煎した大麦麦芽を使用したダーク・エール独特のコーヒーのような苦味は、同店ならではのティラミスの優雅な食感と甘みを倍増させる。ちなみにワインに加えてクラフト・ビールの豊富さもこの店の特徴。可愛らしい見た目のミニ・バーガーやトリュフ・チップなどバー・メニューも充実しているので、酒好きの心をも満たすはずだ。
料理を眺めて、食べて、感想を語り合っていたら、あっという間に数時間が経ってしまった。昨年末にオープンしたばかりだが、近いうちに超人気店となること間違いなし。
窓の外には波止場と高層ビル群が見える
シェフを務める鳥居健太郎氏
店名 | Bella Cosa | |
住所 | Drewry House, 213 Marsh Wall London E14 9FJ |
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電話番号 | 020 7132 1212 | |
営業時間 | バー 12:00–23:00 レストラン 12:00–22:00 (15:00–18:00はクローズ) |
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最寄り駅 | South Quay駅 | |
web | www.bellacosarestaurant.com |
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