「木村正人のロンドンでつぶやいたろう ライブ」第3回講演が開催
「英国におけるインフラ再整備事業が
日系企業にもたらすビジネス・チャンスとは」
3月10日、ロンドンの金融街シティにある国際保険ブローカーWillisのオフィスにてWillis、Lloyds Banking Group、Reynolds Porter Chamberlain LLP主催のビジネス・セミナーが開催された。在英ジャーナリストの木村正人氏がメイン・パーソナリティーを務める全4回シリーズの第3回となる今回のテーマは、「英国におけるインフラ再整備事業が日系企業にもたらすビジネス・チャンスとは」。投資を検討する側である日系企業や、企業を誘致する側である英国の金融機関などから多くの参加者が集まった。
セミナーは、英国のインフラ投資の成功例として、以前はトイレとして使われていた場所がカフェに改装された例などを木村氏がクイズ形式で発表するという意表を突く形でスタート。その後、Synaps Partners LLPのシニア・パートナー、イアン・リーヴス氏が英国の建設業界及びインフラ事業の歴史を説明した。すべてのインフラ事業が私会社により行われていたという1800年代から、インフラの再構築が不可欠となった第二次大戦後、そして労働党政権によりすべてのインフラが国有化されるようになった20世紀半ばと、時代の流れに沿って英国のインフラ事情を分かりやすく解説。また、以降の建設業界の状況を自らの体験を含めて語るとともに、官民が協力する形でプロジェクトが進められている現状を説明した。
また、国際市場において英国が優位性を持つ理由として、法制度、言語、教育などに言及。世界中で話されている英語が母国語である強みや、様々な国に英国の価値観や文化が「輸出」されてきた点などに触れた。
続いてスピーチを行ったSynaps Partners LLPのパートナー、マドック・バットカップ氏は、現在の英国経済におけるインフラ事業の重要性について語った。建設業界内の雇用や関連製品/サービスなどに関する具体的な数値を挙げて、インフラ事業の重要性を指摘。英国における下水設備や鉄道、空港、電力などのインフラの老朽化が問題となっていると述べ、既存インフラの再整備・強化の必要性を説いた。その上で、英国の建設業者が小規模であるのに対し日本の建設会社は規模が大きいことに加え、先端技術や優れた労働慣行を持つことなどを挙げ、英国のインフラ事業における日系企業のビジネス・チャンスについて力説した。
最後は木村氏が、2人のスピーチを総括。日本では近年、国内に目が向くことが多いが、グローバル・リーチの効く英国と力を合わせて互いの強みを生かせば、ジャパン・ブランドをリニューアルし、再び世界に羽ばたくチャンスがあるのではと自説を展開した。その後に行われたQ & Aでは、英国経済の持続性に関するものから、欧州連合(EU)脱退と経済の関連性を問うものまで、様々な質問が寄せられた。ときには、日系企業との豊富なビジネス経験を持つスピーカーたちが、日本が今後グローバルに活躍するには、相手国の(ビジネス)文化に適応することがポイントではないかと語る場面も。スピーカー、参加者ともにインフラ事業における日系企業の今後の可能性を真摯に追求する姿勢が印象的なセミナーとなった。
ビジネスセミナー第4回のお知らせ
「情報最前線!インテリジェンスと危機管理
―ビジネスパーソンが今身につけておきたい知的護身術」
木村正人のロンドンでつぶやいたろうライブ
政府のみならず企業の危機管理が必要不可欠となった現在。シリーズ最終回となる第4回は、第1回のセミナーでスコットランドの独立問題について論じた在エディンバラ日本国総領事館総領事で、かつインテリジェンスの専門家である北岡元氏、そして世界各国でセキュリティー・ソリューションを提供する民間警備会社オリーブ・グループのプログラム・マネージャー柴田なぎさ氏を迎えて拡大バージョンで行われる。
2015年5月15日(金)17:00‐20:00
全4回シリーズセミナー 第4回
開催場所:The Willis Building, 51 Lime Street, London EC3M 7DQ
主催:Willis / Lloyds Banking Group / Reynolds Porter Chamberlain LLP
セミナーに関する詳細、お問い合わせ:
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