アンドリュー王子が性スキャンダルで公務を停止 - 区切りをつけるためのインタビューが逆効果に
エリザベス女王の次男アンドリュー王子(59)の動向が、このところメディアで大きく取り上げられるようになりました。問題視されているのは、未成年者に対する性的虐待などの罪で起訴され、今年8月、拘留中に死亡した米富豪ジェフリー・エプスタイン被告との親交です。
王子自身も未成年者に対する性犯罪に関与していたのではないかという不審の念を与える中、9月にはエプスタイン被告を訴えている女性の一人、ヴァージニア・ジュフリー(旧姓ロバーツ)さん(35)が、自分は17歳から王子に3回も性的に暴行されたとメディアに告白し、一気に注目度が高まりました。シャツ姿の王子が10代のジュフリーさんの腰を左手で抱くようにしている衝撃的な写真も公表されました。
王子はこれまでジュフリーさんとの関係を否定してきましたが、疑惑報道が収まらず、BBCのインタビューに応じることにしました。事情を話すことで、疑念を解消しようとしたのでしょう。解説番組「ニューズナイト」でのインタビューが放送されたのは、11月16日です。
王子の期待を裏切り、番組は新たな問題を生み出しました。未成年を売春に勧誘・あっせんした罪をエプスタイン被告が認めた2年後の2010年、被告の家に滞在したことを王子は「便利だったから」と述べ、被告との親交も「非常に良い成果もあった」と弁護。ジュフリーさんとの行為については真っ向から否定しました。そしていくつものつじつまが合わない答えをした上に、被告の犠牲者の痛みや悲しみに対し、気持ちを和らげるような言葉はありませんでした。王子の言動を批判する声が一斉に沸き起こる中、インタビューから4日後、王子は当分の間公務から退くという声明文を発表。インタビュー放送後、王子とつながりのあった大学、慈善団体、企業などがこぞって関係解消を発表しました。
スキャンダル発生後に王子の存在を知った方もいらっしゃるかもしれません。王子は1960年、バッキンガム宮殿で生まれ、エリザベス女王の第3子にあたります。チャールズ皇太子、アン王女の次ですね。王位継承順位は第8位になります。
1979年にスコットランドの名門寄宿学校ゴードンストウンを英語・歴史・経済学の3科目でAレベルの成績で卒業。学業優秀な生徒でした。同年9月、王子は海軍兵学校に入学します。1982年3月、アルゼンチンとの間にフォークランド紛争が勃発し、王子はヘリコプターのパイロットとして従軍。航空母艦「インヴィンシブル」に乗艦しながら、対潜戦や対水上戦を他の将兵と同様に遂行したことで、高い評価を受けました。
また、かつては「プレイボーイ王子」と呼ばれたこともありましたが、1986年にセーラ・ファーガソンさんと結婚し、ヨーク公に。ベアトリス、ユージーンという二人の娘が産まれましたが、1996年に離婚しています。
公的役割では、王子は数々の慈善組織を支援し、2011年までは英国貿易・投資局(UKTI)の特使でもありました。この年、エプスタイン被告との親交が大きく報道され、「仕事はもう果たした」という理由で特使役を降りています。王子はUKTIから給与を受け取っていませんでしたが、旅費や他の経費は国が負担する形でした。2010~11年度では15カ国を訪問し、616の会合に出席。その4分の3は貿易関係でした。保守系メディアの一部は「年中、世界を飛び回り、贅沢の限りを尽くしている」として、「エア・マイル・アンディ」というニックネームで呼んでいたそうです。
今後、エプスタイン事件の全容解明のために米国で行われる捜査に王子がどれだけ積極的に関与するのか、またこの捜査を通じてジュフリーさんとの関係がどこまで明らかになるのかが気になるところです。