「ガーディアン」紙のオンライン版は6日、日本の小説家である村上春樹氏の短編小説での描写に対して北海道の中頓別町の議員が抗議した件を取り上げ、ユーモアを交えながら同町に提言する記事を掲載した。
同紙は、村上春樹氏を「世界で最も尊敬を集め、人気のある作家の一人」として紹介。長編小説「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」の発売日には「iPhone愛好者さえもかすんで見える」ほど、何千人もの人々が徹夜での行列をつくったと伝えた上で「なぜ彼がノーベル賞を受賞しないのか誰もが不思議に思っている」と述べた。
続いて、村上氏が昨年に発表した短編小説「ドライブ・マイ・カー」において、北海道の中頓別町ではタバコのポイ捨てが日常化しているかのように受け取ることができる描写があったとして、同町の議員が謝罪を要求したというニュースを紹介。同紙はユーモアを交えたニュアンスで「よく分かる」「ショッキングだよね」といった言葉を並べた後で、ソドムとゴモラの2都市の評判を落としたという聖書が書かれた時代から、ウィリアム・シェイクスピアやオスカー・ワイルドといった作家たちが、様々な街を否定的に取り上げてきたことに触れている。
また同記事は、20世紀の作家であるフィリップ・ラーキンが、道が平坦でサイクリングに適していること以外には良い点はないと示唆したイングランド北東部ハルが、現在は文化事業に注力していることについても言及。「中頓別町も見習うべきなのかもしれない」と皮肉を込めて提言している。
Mon, 07 October 2024