FacebookツイッターRSS feed
フランスニュースダイジェスト
バナー
mar 23 décembre 2014

2012年 フランス大統領選の行方  J-38

2002年より、5年ごとに行われるフランス共和国の大統領選挙。2012年5月16日にニコラ・サルコジ大統領の任期が満了するため、現在、大統領立候補者が選挙戦を行っている。4月22日(日)の第1回投票で過半数を得る候補がいない場合、上位2人の立候補者が5月6日(日)の第2回目の決戦投票で争い、得票率の高い一方が大統領に選出される。新しい共和国大統領が誕生するのか、はたまたサルコジ大統領の再選になるのか、行方に注目が集まる。(Texte: Satomi Kusakabe)


大統領選の立候補者になる第一歩

3月9日時点では12人が主な立候補者として挙げられるが、正式に立候補者と認められるためには、異なる30県の市区町村長や県、地方議会議員、上院議員などの推薦者500人以上の署名を集めなければならない。その理由は、立候補が現実的かつ真剣であることを証明し、地域に偏らず、手続きに透明性を保証するためだ。この署名は匿名では受け付けられないため、署名を得にくい候補者がいる。例えば、世論調査で支持率の高い極右政党の国民戦線(FN)党首マリーヌ・ルペン候補だ。同候補は、3月2日時点で48人の署名が不足しているが、実名での署名を求められた議員などが圧力を受けることを恐れ署名に応じない可能性があると主張。この意見には右派のコリーヌ・ルパージュ候補らも同調するが、1962年11月に定められ、76年に改正されて今も存続するこの立候補手続きの法を、今年2月21日、憲法評議会は「合憲」と判断している。3月16日までに500人の署名を集められない場合には、大統領候補者として認められない。

フランス大統領選

これまでの支持率推移

大統領選候補者の支持率に関して、前社会党第1書記のオランド氏は社会党公認候補に決まった2011年10月より2月まで、多くの世論調査でトップを独走している。2番手にはサルコジ氏、続いてバイル氏かルペン氏となり、上位4人はほぼ不動だ。

大手調査機関による2012年3月1日時点での支持率

2012年3月1日時点での支持率

大統領選第1回投票得票率予想(Harris Interactive調査より)

大統領選第1回投票得票率予想

現政府への不信感

TNS Sofresの調査では、2009年6月にサルコジ大統領(UMP)とフィヨン首相(UMP)とも、国民から最高の信頼度44%、41%を得ていたが、12年3月に入ってからそれぞれ32%、26%にまで落ちている。サルコジ大統領が再選を目指して立候補を表明した2月15日以降も、この信頼度が回復することはなかった。社会党のオランド氏が支持されている理由には、「失政」と批判も多いサルコジ大統領が率いる現政府への国民の不信感が表れたためとの見方もある。

大統領と首相の信頼度(TNS Sofres調査より)大統領と首相の信頼度

大統領選の争点

今回の大統領選では経済危機の下、約10%で高止まりする失業率と雇用問題が大きな争点の1つとなる。  

オランド氏は今年1月26日、60項目の選挙公約を発表し、それには若年層を中心に15万人の雇用創出、サルコジ政権が公務員改革で削減した教員を6万人増員、治安や司法分野で年1000人分新設するなどの雇用対策が盛り込まれている。また、富裕層や大企業への課税を強化し、増加した税収を景気・雇用対策の財源に充てるとした。2月27日には民放テレビに出演し、大統領選に当選した場合、年収100万ユーロを超える所得部分に75%という高い税率で課税すると公言。既に選挙公約にある「15万ユーロを超えた分への45%課税」と合わせると、超高所得者への課税と2区分の課税法を新設することになる。これに政界右派やスポーツ界では、「富裕者や優秀な選手が国外に移住する」と反発が出ている。  

一方、オランド氏の対抗馬とされるサルコジ氏は、オランド氏にリードされている国民の支持率を盛り返すため、3月と予想された出馬表明を2月中旬に前倒しし、本格的に選挙活動を開始した。その表明の中で、ヨーロッパの景気対策では現政権の指導により、フランスがギリシャやスペインなどヨーロッパの近隣国を導いた形で経済危機を回避したとの功績を強調。また、出馬表明以前にフィガロ誌上のインタビューでは、オランド氏との政策の違いを明らかにした。失業者の手当について、職業訓練や社会奉仕活動へ参加を拒否した場合の支給打ち切りの是非を問う国民投票を提案、地方選での外国人の投票権を否定し、同性婚反対や厳しい移民制限、共同体主義の否定など保守的政策を打ち出す。更に大企業への増税などを財源とするオランド氏の雇用対策を批判。選挙演説の中で宿敵オランド氏を意識した発言が目立つ。


大統領立候補者12人 (2012年3月9日現在)

Nathalie Arthaud極左
Nathalie Arthaud
ナタリー・アルトー

1970年2月23日生まれ
LO(Lutte ouvrière: 労働者の闘争)
2007年、大統領選にLOから立候補したラギエ氏のスポークスマンを務め、その後08年より同氏の後継者となる。革命共産主義の立場を取る。失業ゼロ、年金支給額の引き上げ、収入の底上げ、金融機関の透明化など、労働者のための政権を目指す。
Philippe Poutou 極左
Philippe Poutou
フィリップ・プトー

1967年3月14日生まれ
NPA(Nouveau parti anticapitaliste: 反資本主義新党)
2009年に解散したLCR(Ligue communiste révolutionnaire:革命共産主義同盟)の党員として07年に県議会選、NPA党員として10年に地方議会選に立候補した。解雇禁止や反原発、銀行の国有化などを訴え、労働者の立場で政策を考える、唯一、労働者の立候補者。
ジャンリュック・メランション極左
Jean-Luc Mélenchon
ジャンリュック・メランション

1951年8月19日生まれ
Front de gauche(左派戦線)
PG(Parti de gauche:左翼党)の党首の1人。86年から2000年、04年から10年まで上院議員、09年より欧州議会議員。11年1月に早々と大統領選挙への立候補を宣言し、共産党など多くの左派政党からの支持を集める。リスボン条約を廃止し新しい欧州の構築、富の社会への分配を訴える。
フランソワ・オランド左派
François Hollande
フランソワ・オランド

1954年8月12日生まれ
PS(Parti socialiste: 社会党)
79年よりPSに入党し、95年の大統領選で同党のジョスパンのスポークスマンを務める。有力視されていたストロスカーン前国際通貨基金(IMF)専務理事が不出馬となり、11年10年の予備選でオブリー第1書記を破り党公認候補となる。15万人分の雇用創出や、富裕層への75%の課税強化を盛り込む方針を発表。
エヴァ・ジョリ左派
Eva Joly
エヴァ・ジョリ

1943年12月5日生まれ
EELV(Europe Écologie Les Verts: 欧州エコロジー緑の党)
ノルウェー出身。90年、パリ裁判所の予審判事に任命され、エルフ事件や銀行や政治家の不正などの予審を行い、2001年、汚職撲滅に取り組む非政府組織から栄誉賞を受賞した。11年7月、 立候補を争ったユロ氏を下し、EELVからの党公認候補となる。金融機関の透明性、核に代わるエネルギーを使用する未来を目指す。
ジャック・シュミナド Jacques Cheminade
ジャック・シュミナド

1941年8月20日生まれ
S&P(Solidarité et Progrès: 連携と進歩)
81年から数回、大統領選の候補となるが500人の署名が集まらず、また95年には0.27%を得票したが落選。金融機関の体制の見直し、「寡頭(かとう)政治打倒」を掲げる。本人は右派でも左派でもないと言うが、07年の大統領選決選では社会党ロワイヤル氏に投票。
Corinne Lepage中道左派
Corinne Lepage
コリーヌ・ルパージュ

1951年5月11日生まれ
Cap21(Citoyenneté, action, participation pour le XXIe siècle: 21世紀市民行動)
環境法が専門の弁護士で、95年から97年まで環境相を務めた。2009年より欧州議会議員。遺伝子組み換え作物についての環境的、保健衛生的危険について情報や研究を行う組織を指揮するなど環境問題にかかわる一方で、非宗教化と男女平等を訴える。
ドミニク・ドヴィルパン右派
Dominique de Villepin
ドミニク・ドヴィルパン

1953年11月14日生まれ
République solidaire(共和国連帯)
外務省に入省し、大統領となる前のシラク氏の側近として外交に携わり、大統領就任時の大統領府の官房長官として抜擢された。その後2002年から04年まで外相、04年から05年まで内相、05年から07年まで首相を歴住する。省庁を減らし、政権の強化、新付加価値税の新設などを政策に掲げる。
ニコラ・サルコジ右派
Nicolas Sarkozy
ニコラ・サルコジ

1955年1月28日生まれ
UMP(Union pour un mouvement populaire: 民衆運動連合)
2007年、フランス第5共和政第6代大統領に就任。自由競争を推し進める新自由主義、新保守主義の政治政策を掲げる。2月中旬の出馬表明では、雇用創出への取り組みの他、同性婚反対など保守色を前面に出し、移民制限や宗教上の慣習をどこまで許容するかについて選挙戦で強く訴える。
ニコラ・ デュポンエニャン右派
Nicolas
Dupont-Aignan
ニコラ・
デュポンエニャン

1961年3月7日生まれ
DLR(Debout la République: 立ち上がれ共和国)
95年からエソンヌ県イエール市長、97年から同県議会議員。2007年、大統領選に立候補するが、500の推薦署名を得られず敗退する。12年の選挙戦では、政府が主要改革を行う際には国民の声が直接反映される国民投票を実施することを公約。ドゴール主義の立場を取り、統一通貨ユーロの廃止などを主張。
マリーヌ・ルペン極右
Marine Le Pen
マリーヌ・ルペン

1961年3月7日生まれ
FN(Front national: 国民戦線)
2011年の党大会で、父ジャンマリー・ルペン前党首の後任としてFNの党首に選出された。11年3月の世論調査では、サルコジ氏を抜いてトップの支持率を得た。FNから初めての女性の大統領候補者として、FNの一貫した政策である不法移民排除と統一通貨ユーロ廃止を訴え、欧州統合に反対する。
フランソワ・バイル中道派
François Bayrou
フランソワ・バイル

1951年5月25日生まれ
MoDem(Mouvement Démocrate: 民主運動)
93年から97年まで教育相を務める。議長だったUDF(Union pour la Démocratie Française: フランス民主連合)から2007年大統領選に立候補し、第1回投票では3位で落選。同年、MoDemを結成し党首となる。緊急に政府の立て直しを図り、恒久的な国内生産の促進などを掲げる。
 

  • Check

*本文および情報欄の情報は、掲載当時の情報です。

バナー
バナー バナー バナー バナー バナー バナー