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Tue, 19 November 2024

知って楽しい建築ウンチク
藍谷鋼一郎

児童性的虐待調査委員会 委員長の辞任

The Times
「タイムズ」紙 11月3日

混乱の原因は膨大な調査規模

本調査にまつわる一連の問題は、過去45年間における各省庁、議会、各大臣、警察、私立及び公立校、児童機関、病院、刑務所、教会、政党、軍隊における行動という調査対象の膨大さに起因している。調査委員会に提出された虐待の申し立ては警察にも報告、証言者は全員保護されるという。これほど厄介な仕事に取り組めるのは非常に有能な人材に限られるが、被害者グループの人々は体制側に近い人間の管轄下でこの調査が行われることに異議を唱えている。


The Daily Telegraph
「デーリー・テレグラフ」紙 10月31日

手続きを見直すには既に手遅れ

調査委員会の初代委員長も渦中の人物と家族関係にあるとの理由で辞任したことから、本委員会は公平かつ広く人望のある人物を後釜に据える必要に迫られている。問題は、公的文書や司法文書を調べ上げ、証言者の尋問を取り仕切ることになるこうした人物は、法曹界または政治的支配層に属しているにもかかわらず、それら体制側の行動が疑問視されていることにある。恐らく一連の手続きを見直すにはとき既に遅し、政府は間違いなく苦労を強いられるだろう。


The Guardian
「ガーディアン」紙 10月31日

一連の過程は政治劇と化した

内務省による児童性的虐待の包括的調査は混乱状態に陥った。調査開始前に、フィオナ・ウォルフ氏を含む2人が続けて委員長を辞任するとは惨事だ。内務省は調査委員会の趣旨を理解していないか、もしくは調査における政府の管理を強めようとしているかのように見える。一連の過程は政治劇と化した。各々の利権や思惑、実ることのない野心が渦巻く結果となった。必要とされているのは、被害者の心の浄化と加害者の処罰、そして再発を防ぐための効果的な対策である。


 

藍谷鋼一郎:九州大学大学院特任准教授、建築家。1968年徳島県生まれ。九州大学卒、バージニア工科大学大学院修了。ボストンのTDG, Skidmore, Owings & Merrill, LLP(SOM)のサンフランシスコ事務所及びロンドン事務所で勤務後、13年ぶりに日本に帰国。写真撮影を趣味とし、世界中の街や建築物を記録し、新聞・雑誌に寄稿している。
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