Billy Elliot(2000 / 英)
リトル・ダンサー
炭坑ストで揺れる英国北部の町で、ふとしたきっかけからバレエに興味を抱いた11歳の少年ビリーと、その家族の姿を描いたドラマ。
監督 | Stephen Daldry |
---|---|
出演 | Jamie Bell, Gary Lewis, Julie Walters |
ロケ地 | Easington, Durham |
アクセス | London・King's Cross駅からDurham駅まで 列車で約3時間 |
- はぁ……久しぶりに観てしまったよ「リトル・ダンサー」。もう何度観たか分からないが、何度観てもやっぱり号泣だ。
- デカ長、瞼がめちゃめちゃ腫れてます。
- うーん、このまま寝たら明日の朝タイヘ〜ン……って俺はギャルか。とにかく、この映画で描かれているすべての瞬間が好きなのだ。何度観ても、早送りしてすっ飛ばすシーンが1つもないのだ。
- おお、大絶賛ですね。
- 1984〜85年の、サッチャー政権下で起こった炭坑ストライキを背景に描かれている本作の舞台は、英国北部ダラムの炭坑町エヴァリントンですが、実際にはエヴァリントンという町は存在しておらず、ダラム州のEasingtonというかつての炭坑町で撮影が行われています。レンガの家並みが続く通りの景色はすべてここですね。
- しかしEasingtonの鉱山は既に閉鎖されてしまっていたため、炭坑のシーンはEllingtonという、ニューカッスルからさらに北に30キロほど行った場所に当時現存した炭坑で撮影が行われた模様です。こちらも結局、2005年に閉鎖されていますが。あ、それからビリーがウィルキンソン夫人にバレエの手ほどきを受けるシーンですが、実はロンドンにあるHanwell Community Centreが使われているようです。
- ところでダラムといえば大聖堂が有名だが、ビリーがロンドンでオーディションを受けるシーンで、少年に「ダラムって大聖堂があるところでしょ?」と聞かれ、「知らない、行ったことない」って答えてるよな。
- つまり、それだけ彼らは閉鎖的な世界に住んでいたってことでしょう。この町に男として生まれたら炭坑夫になるしかないと、誰に言われたわけでもないのに全員が思い込んでいるような町ですからね。
- そう、それだけにビリーのバレエ・ダンサーになりたいという思い、そしてその才能と可能性が、希望の光のように感じられてくるんですね。
- クリスマスにお父さんの目の前で、僕を見てくれと言わんばかりに訴えかけるように踊るシーンなんかもう、たまらんね。
- その後のお父さんの行動も、ほんと泣けてきますよね。
- ラスト・シーンに至るまでね。生まれて一度もロンドンを訪れたことがなかった炭坑夫のお父さんが、ビリーの初舞台を観にロンドンにやってくるわけだが……。
- 長〜いエスカレーターに呆然としたりして。あれはCanary Whalf駅ですね。
- 待ちに待ったショーが開催される劇場は、The Theatre Royal Heymarketです。幕が上がるまでのお父さんの感極まる表情に、これまた心を鷲掴みにされますが。
- そしてクライマックス、アダム・クーパーの舞! くぅー、もう言うことなしだ。そういえばこの映画を観てて気付いたんだが、登場人物の話し方とかアクセントが、日本の東北弁に似てないか? もっと言うと、気質も似ているような。口数が少なくて頑固なんだけど心はあったかい、みたいな。
- 科学的に立証されているかどうかは分かりませんが、どこの国でも北の方に住んでいる人たちは、寒いあまりに、口をあまり開かずに喋るらしいんですね。だから発音が自然に似てしまうとか。
- はは、あり得るかもな。でもほんと、日本で東北弁の吹き替え版をリリースしてほしいよ。雰囲気が出ると思うんだよなあ。
炭坑ストで闘争する父と兄のもとで育ちながら、その鬱積する感情を表現する手段を暴力ではなくダンスという芸術に見出したビリー。2000人のオーディションから選ばれたジェイミー・ベルの演技が本当に素晴らしくて引き込まれてしまうね。それにしても、まるで自分の中に電気が走るような感覚で夢中になれるもの、言い換えれば自分の中に眠る才能を11歳で発見できたビリーはラッキーだ。我を忘れて楽しむ悦びを味わうことこそ、人生の醍醐味……じゃない?
< 前 | 次 > |
---|