Eastern Promises(2007 / 英・米・加)
イースタン・プロミス
子供を身ごもった状態で倒れ、病院に運ばれてきたロシア人の少女。助産婦として働くロシア系英国人のアンナは、出産後、息を引き取ってしまった少女の身元を調べようとするが……。
監督 | David Cronenberg |
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出演 | Viggo Mortensen, Vincent Cassel, Naomi Wattsほか |
ロケ地 | The Farmiloe Building, 28-36 St John Street London EC1 |
アクセス | 地下鉄Farringdon駅から徒歩 |
- 今週は「裸のランチ」などで知られる鬼才、デービッド・クローネンバーグ監督が、ロンドンに暗躍するロシアン・マフィアの世界について描いた作品です。
- テーマとなっているのは人身売買であります。タイトルの「イースタン・プロミス」とは、東欧組織による人身売買契約を意味してるんだそうです。
- そう聞くだけで相当ダークな匂いがするが、実際かなりキテるよな、この映画。さすがというか何と言うか、生々しい描写がとにかく多いし。
- マフィア映画ですが銃が一切出てこないんですよね。その代わり、めっちゃ切れ味の良さそうな鋭利な刃物が頻繁に登場し、エグさを強調していますよね。
- 公開時、クローネンバーグ監督は「できるだけ観た人の気分が滅入るような作品にしたかった」とか言ってたらしいですよ。
- なんちゅうコメントだ、ちょっと面白いぞ。しかしオープニングの床屋のシーンからいきなり「スウィーニー・トッド」な展開で、思わず息を呑んじゃったよ。
- あの床屋「Azim's Hair Salon」は、ロンドン東部、HackneyのBroadway Market 54番地にある「Broadway Gents Hair Stylist」です。Broadway Marketはロンドンでも最も古いマーケットの一つですが、最近は界隈がヒップなエリアになってきたことで、完全にリバイバルしてきてますね。毎週土曜に賑わいを見せています。
- そんな楽しそうなマーケットの雰囲気をすっかり忘れさせるシーンだったがな。
- 続きまして、物語の要となる少女が、助けを求めてふらふらと薬局へ入ってゆくわけですが、こちらはBrent Park界隈のCraven Park Roadからちょっと入ったLibrary Paradeの7番地にある「Serena Chemist」という薬屋さんが使われています。その後、出血して倒れた少女は、ナオミ・ワッツ扮するアンナが助産婦として働く病院「Trafalgar Hospital」に運ばれますが、ここは250年以上の歴史をもちながら2005年に閉鎖されたロンドン中心地の病院「Middlesex Hospital」で撮影されました。
- ナオミ・ワッツは役づくりのため、HighgateのWhittington Hospitalで助産婦の取材をしたらしいですよ。しかも彼女、このとき実生活で妊娠していたんですね。まだ本人は気付いていなかったようですが。
- そんな彼女がバイクを飛ばして向かった先が、マフィアのボスが経営する「Trans Siberian」レストラン……。
- 同店にはClerkenwellのSt. John Streetの28-36番地にあるヴィクトリアン・ハウス、Farmiloe Buildingが使われてますね。この建物は「バットマン・ビギンズ」などにも起用されてまして、映画およびTVのロケ地として最もよく使われる場所の6位に選ばれています。ちなみにナオミ・ワッツ、単車に乗るのは人生初めてだったそうで「今までで最も大変な仕事の一つだった」などと発言しております。
- お疲れさまですな。しかし大変だったのはやっぱりヴィゴだろう。なんといってもトルコ式風呂にて、全裸で血みどろな格闘を繰り広げちゃうんだから。
- あれには圧倒されますよね。いろんな意味で釘付けです、ええ。あそこはIslingtonのIronmonger Row 1-11番地にある「Ironmonger Row Baths」です。男女ともに利用できる、れっきとした公衆浴場ですよ。
クローネンバーグ監督は「ヒストリー・オブ・バイオレンス」に続きヴィゴ・モーテンセンを起用。彼とは相当ウマが合うらしく、プライベートでも仲良くしてるんだとか。ヴィゴは本作出演にあたり、通訳さえつけずに単身でロシアを訪れ、ロシアン・マフィアについて取材し、役づくりに励んだそうだ。その甲斐あって本当に見事なロシア語およびロシア訛りの英語を身に付けてるよな。ところでこの作品、現在、続編を企画中らしいぞ。楽しみに待ちたいね。
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