Drian Gray
ドリアン・グレイ (2009 / 英)
オスカー・ワイルドの傑作同名小説を映画化。何年経っても変わらぬ若さと美貌を持つドリアン・グレイ。その秘密は画家バジルが手掛けた彼の肖像画にあった。
Yoshihiro kogure
監督 | Oliver Parker |
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出演 | Ben Barnes, Colin Firth, Rebecca Hallほか |
ロケ地 | Wilton's Music Hall |
アクセス | 地下鉄Aldgate East / Tower Hill駅から徒歩 |
- 永遠の若さと美貌……欲しいような欲しくないような、ですね。
- そうかあ? 私は要らんな。
- でも、自分自身も思わず惚れ込んでしまうような美貌を持っていたらどうです?
- そうだなあ………って、ジロー君。キミ今、暗に失礼なこと言ったの、気付いた? 誰が何と言おうと、俺は俺の顔が好きだぞ!
- まあ、そうだとしても、やっぱり僕は要らないと思いますね。期間限定でジョ ニー・デップになれる、とかなら別ですが。
- おおっ、それなら私はジョージ・クルーニーになりたいぞ!
- 話がズレてきましたので仕切り直しまして、今週はご存知オスカー・ワイルドの代表作の一つ「ドリアン・グレイの肖像」を映画化したホラー・ファンタジーです。
- 亡き祖父の遺産である屋敷を相続すべく、田舎からロンドンへとやって来たドリアン・グレイ。到着時は、まさに右も左も分からないような青年であった。
- 冒頭場面はロケ地の定番、クラーケンウェルの精肉市場「Smithfield Market」で撮影されています。King's Cross駅に見立てたセットが組まれてるんですね。
- その後ドリアンは、 有望な画家のバジルに出会います。バジルはドリアンの美貌に魅せられ、肖像画を描きたいと申し出るのでした。さっそくドリアンを自宅のアトリエに呼び、制作に掛かります。このバジルの自宅には、チズウィックにある「Chiswick Town Hall」が使われたようです。
- そしてあのヘンリー卿に出会うんだな。バジルの友人でもあるヘンリー卿は、無垢なドリアンに享楽的な生き方を啓蒙する。田舎者のドリアンは、愛する女性とめぐり逢い、結婚まで誓った矢先に、上流階級のチョイ悪オヤジが放つ、いかにもな言葉に感化され、麻薬をたしなみ、娼窟へと足を踏み入れてしまうのだ。そしてめくるめく欲望と快楽の世界へ……ああー!!
- と、デカ長の興奮はさておき、ヘンリー卿がバジルとともに最初にドリアンを連れて行く酒場は、メイダ・ベールにある「Crocker's Folly」というパブで撮影されています。ここでシビルを見かけたドリアンは、後日、彼女が舞台女優であることを知り、シアターへと足を踏み入れます。この場面には、Aldgate East駅近くの「Wilton's Music Hall」が使われていますね。
- そして物語は進み……シビルの自殺後、ドリアンの背徳の日々はますますその度合いを増してゆきます。心が汚れていくたびに、彼の肖像画は恐ろしい形相へと変わってゆく。しかし肖像画が醜く変化するのとは正反対に、ドリアンの体には、何年経ってもその若さと美貌を保つという怪奇現象が起こっていたのでした。
- その秘密をバジルに知られ、成り行きで彼を殺めてしまうドリアン。もう後戻りはできない! どうするドリアン!!
- いや、どうするも何も、悪魔に魂を売っただけあって、素知らぬ顔でバジルの葬式に出席して弔辞まで読み上げてしまいます。この墓地での葬式のシーンは「Highgate Cemetery」で撮影されてますよ。
- 永遠の美は罪なり。しかし罪に心惹かれるのもまた人間なり、ってとこか〜。
- おっ、詩人ですねデカ長。オスカー・ワイルド入っちゃいましたね。何かとってつけたような感じは拭えませんが。
- オマエはいつも一言多いっつーの!
本来備わっていた美への執着と強い好奇心をヘンリー卿によって引き出されたドリアン。一方、哲学的な言葉でドリアンをそそのかしつつ、自身はあくまでも傍観者的な立場にいるヘンリー卿。この2人の関係が肝だね。それにしても、物語の世界では、悪魔と取引する=その人は悪人のように描かれがちだけど、基本的に悪魔と正式に取引できるのは、本来、無垢な善人だと思うんだよね。世の中には無意識のうちに悪魔に取り憑かれてる人もいっぱいいるからな。
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