Cemetery Junction
セメタリー・ジャンクション (2010 / 英)
コメディアンで俳優のリッキー・ジャベイスが共同脚本・監督を務めた青春映画。1970年代、レディング近郊の小さな町を舞台に、3人の若者の成長を描く。
Yoshihiro Kogure
監督 | Ricky Gervais, Stephen Merchant |
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出演 | Christian Cooke, Tom Hughes, Jack Doolan ほか |
ロケ地 | Victoria House |
アクセス | 地下鉄Holborn駅から徒歩 |
- 今週はいつになく!? さわやかな英国発の青春映画です。
- リッキー・ジャベイス & スティーブン・マーチャントという、人気シットコム「The Office」組が共同脚本・監督で撮ってるんだよな。このメンツってことはコメディー映画? と思いきや……。
- けっこうマジメな、正統派の青春映画ですよね。あのリッキー・ジャベイスが柄にもなく「とにかく感じのいい作品を撮りたかった」なんて言ってますし。
- 舞台は1973年、レディング郊外のセメタリー・ジャンクション。労働者階級出身のフレディ、ブルース、スノークの3人は、昔からバカばっかりやってた仲間だったのですが、そのうちフレディが「親父みたいに一生、地元で工場働きなんていやだ」と自我に目覚め、野心を抱いて保険会社に就職、セールスマンとして働き始めます。
- 裕福な成功者の暮らしを目指して頑張ろうと意気込むフレディ。ボスの娘が、かつて憧れていた同級生だったことも彼のやる気を煽ります。今までつるんでいた友達も子供っぽく見えてしまい、我が道を進んでいこうとする。ところが、様々な経験を通して、徐々に目標としていた人たちに幻滅を感じてしまい……という、まあ、よくある話なんですが。
- そう、よくある話なんだけど、けっこう飽きずに観ちゃったのは、フレディ君を演じたクリスチャン・クックの、美形なんだけどどっか野暮ったい感じに好感を持っちゃうのと、ブルース役のトム・ヒューズのリアム・ギャラガーっぽい風貌についつい目がいっちゃうからか。ちなみにリッキー・ジャベイスは、レディングのWhitleyっていう町の出身らしいね。3人が不動産の看板にアホな落書きをするシーンがあるけど、よく見るとそこには「Buy a Whitley Home」と書かれてる。本作のストーリーも自身の経験を少なからず反映してるらしいし、地元を舞台にノスタルジックな映画を撮っちゃうあたり、心憎いね。
- 映画に出てくる「セメタリー・ジャンクション駅」は実在しませんが、同名エリアは実在しています。歴史に名を残す地元の著名人が眠る大きな墓地があることから、この名が付いているようですよ。
- 「セメタリー・ジャンクション駅」にはグレート・ウェスタン鉄道の「Loughborough Central駅」が使われています。こちらの駅は、そのレトロっぽい外観から「めぐりあう時間たち」を始め、様々な映画のロケ地になっているんですね。
- そのほか、ロンドンでもちょこちょこ撮影されてるみたいだよね。
- はい、会社の送別パーティーが行われた宴会場のシーンは、ブルームズベリー・スクエアにある「Victoria House」が使われています。また、旅に出ることを決めた3人が、その前夜に踊りに行くクラブは、カムデンのライブ・ベニュー「KOKO」ですね。
- フレディが就職した保険会社のビルも、実はクラウチ・エンドにある「Hornsey Town Hall」だったりします。そういえば当初、フレディが入社する保険会社を「プルデンシャル生命保険」として、映画のタイトルも「The Man from the Pru」にする予定だったらしいのですが、脚本を読んだプルデンシャル側が、会社の描き方が喜ばしくないという理由で、社名の使用を不許可としました。結果的には、現タイトルにしてよかったように思うんですけどね。
舞台が70年代とあって、エルトン・ジョン、T・レックス、ロキシー・ミュージック、ツェッペリン、ボウイなどなど当時の英国音楽が全編に使われていて、雰囲気を盛り上げてくれるんだけど、 むしろなぜか80年代の、しかも米国の青春映画を観ているような気分にさせられるんだよね。物語が分かりやすくてハッピーエンドだからか(笑)。まあ、派手さはないけど「感じのいい」青春映画の一本ではあるんじゃない?
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