第2回 世界一の窓拭きになったおじさん
Terry Burrows
テリー・バローズ
清掃会社社長
1955年生まれ、54歳
エセックス州出身/在住
窓拭きで世界一の速さを誇るのが、テリー・バローズさん(53)。清掃業界の祭典「ザ・クリーニング・ショー・2005」にて、9.24秒の窓拭き世界最速記録を達成している。「人生はゲームのように楽しまないと」をモットーとするテリーさんに、窓拭きに対する思いを語ってもらった。
世界最速の窓拭きをデモンストレーション中のテリーさん
なぜ窓拭きの速さで世界一を目指そうと思ったのですか。
今は亡き僕のおじさんが清掃業界で働いていたことがきっかけとなって、現在、窓拭きやカーペットの清掃を請け負う「BSCクリーニング・サービス」という清掃会社を運営しているんだ。11歳の時からボクシングをやっていて、体を速く動かすことは昔から得意だったこともあって、世界一速く窓を拭ける男になりたいなって思うようになったんだよ。やっぱり、夢は大きく持たないと。
あなたにとって「窓拭き」とは何ですか。
今に至るまでの僕自身の源、人生そのものかな。窓拭きこそが神様から授けられた天職だと思っているよ。
世界記録を達成する舞台となった、「クリーニング・ショー」について教えてください。
大会は英国内だけに留まらず、米国やフランスを始めとして世界各地で開催されているんだ。そうした大会にこれまで数え切れない程多く出場してきたな。僕が世界記録となる9.24秒のタイムを記録した大会は、2005年にバーミンガムで行われたもの。このときは世界60カ国以上から参加者が来ていた。
大会では、実際に何が要求されるのですか。
ルールは簡単。縦横45インチ(約1.14メートル)ある3つの窓とその枠を拭き終えるまでのタイムを競うんだよ。簡単そうに見えるかもしれないけど、やってみると、意外と時間が掛かるものなんだ。
清掃以外で何か趣味はありますか。
僕は多趣味なんだ。ギターを弾いてバンド活動をしていた頃もあったし、ボクシングは11歳からやっているし、あとはスキューバ・ダイビングも好きだな。またお金を盗まれる目に遭った直後にブルース・リーの映画を観て、「武術を習ってもっと素早く動ける体を手に入れよう」ってひらめいたんだ。今では空手の黒帯を持っている。特に空手は、体力を養えたということと、精神統一して集中力を高める術を学んだという点で、窓拭きの達人になるためには大いに役立ったと思う。
窓拭きや趣味とは別に、レポーター職も務めていらっしゃるそうですね。
清掃関連の番組を始めとして、これまで様々な番組に出演させてもらったんだけど、今後はレポーターとしてもキャリアを積んでいくことができたらいいな、と考えている。テレビの仕事は、小さい頃からの憧れでもあったしね。僕はとにかく楽しいことをするのが大好き。人生はゲームのようなものだと思っているんだ。色々経験して、生きているうちにできるだけこの人生を楽しみたいな。
(取材・執筆: 高橋百合子)
< 前 | 次 > |
---|