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Mon, 23 December 2024

「The Financial Times」紙って、
一体どんな新聞なの? - 小林恭子

永住権・市民権の取得申請時の変更

今回は、永住権・市民権の取得に向けて申請を行う際の変更事項について説明致します。英国で仕事を持っている人であれば、旧労働ビザに相当するポイント・ベース制Tier2で定められた英国滞在期間が満了するのを控えて、永住権または市民権の取得を検討している方は少なくないでしょう。この申請方法が、10月28日から変更されます。

これまで、永住権または市民権の取得の申請に際しては、「Life in the UK」に合格する(一定のレベルの英語力を保持しているか、技能または高技能移民として英国に滞在している場合)か、英語と市民権に関するコースを受講し、合格する(英語力がない場合)か、いずれかの方法を選ぶことができました。しかし10月28日以降はLife in the UKテストと内務省が指定する英語力テストの両方を受験し、定められた条件を満たす必要があります。そこで、各々のテストの内容について改めて簡単に振り返ってみましょう。

● Life in the UK

「Life in the UK」は、飲酒年齢や一般車道における自動車の法定速度など、英国で暮らす上で必要とされる基礎的な一般常識を問うテストです。永住権または市民権の取得の申請を行う多くの在英邦人が過去にこのテストを受験しています。設問は公認ハンドブックから出題される問題に対し、二択あるいは四択で解答するスタイル。すべての質問項目の75%に正解すれば合格ですが、このテストへの合格が永住権または市民権の取得を意味するわけではなく、あくまでもそれぞれ申請するための権利の一部が得られるということなのでご注意ください。

多くの移民関連の法律が改正されているのと同様に、「Life in the UK」テストの制度自体にも数々の変更がなされています。またテストを受けたものの結果が不合格となり、再試験が必要となった場合には、前回受験したときから少なくとも7日間が経過していなければならないなど留意すべき点が多くありますので、申請の時期を考慮した上で受験の計画を立てましょう。

● 外国人を対象とした英語テスト

永住権または市民権を取得するためには、さらにケンブリッジ英検、IELTS、TOEIC、TOEFLなど、内務省が指定する、外国人を対象とした英語テストを受験しなければなりません。10月28日以降に申請を行う場合は、これらのいずれかのテストのスピーキング試験とリスニング試験において、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)と呼ばれるガイドラインが定めるレベルB1以上の内容を持つ試験に合格またはB1以上にあると見なされるだけの点数を取る必要があります。この英語力テストに関しても、永住権または市民権の取得に向けての申請を行うために定められた条件の一つに過ぎないことをあらかじめご理解ください。

尚、英国の政府は、これまでTier2を保持し5年間英国に滞在した場合に認められていた永住権への切り替えを、2016年4月以降は一部の例外を除いて受け付けないとの方針を既に発表しています。日本人に限らず、欧州経済領域(EEA)以外の国籍を持つ人にとっては厳しい時期であると言えるでしょう。市民権の申請についても今後更なる変更が加わることは十分に考えられますので、申請をお考えの方にとって今回の変更前のタイミングは申請上の大きなポイントとなります。英国への滞在許可を確実に取得するためにも、手続きは専門家と二人三脚で、取得のタイミングなどを熟慮しつつ、計画を立てて着実に進めることをお勧めします。また一連の手続きには一定の時間を要するので、滞在許可に関する案件については早い段階で検討を開始しましょう。

 

小林恭子小林恭子 Ginko Kobayashi
フィナンシャル・タイムズの実力在英ジャーナリスト。読売新聞の英字日刊紙「デイリー・ヨミウリ(現ジャパン・ニュース)」の記者・編集者を経て、2002年に来英。英国を始めとした欧州のメディア事情、政治、経済、社会現象を複数の媒体に寄稿。著書に「英国メディア史」(中央公論新社)、共著に「日本人が知らないウィキリークス」(洋泉社) など。

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