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Fri, 22 November 2024

A GUIDE TO THE BRITISH PUB 読めばさらに行きたくなる 英国のパブ Part 2 実践編

英国に来て間もない人でも、パブが英国人にとって大切な存在であることはすぐ気付くはず。ただ、レトロな内装が英国らしくて良いと感じることはあっても、パブのシステムについて調べることはあまりないのではないだろうか。今回は1651号に引き続き、パブ特集第2弾として、ビールの種類やマナーなど実際パブで使える知識をご紹介する。
(文: 英国ニュースダイジェスト編集部)

参考: https://pub-rooms.co.ukhttps://londondrinksguide.com ほか

目的別に利用できるパブの種類

パブは単にお酒を楽しむだけでなく、食事をしたり、家族との団らんを過ごす場所としても広く活用されている。目的に合わせてパブの形態を選ぶとより楽しめるはず。

Independent Pubs近所にあったら応援したい インディペンデント系のパブ

個人経営によって運営されており、ビールの定期的な入れ替え、イベントの頻繁な開催など、客を呼び込むためにあらゆる工夫と努力が垣間見られるのが特徴。また、大手に比べパブが運営される地域の客層に合わせた取り組みが数多く行われている。パブが人気になれば地元のタクシー会社と提携して送迎サービスの体制が整うなど、その地域の経済活性化につながるため、地元の人々にとっても大切な存在である。2019年には英国全土にある約40パーセントのパブがインディペンデント系として運営されていた。

Chain Pubs安定したサービス チェーン・パブ

その名の通り、大手の会社により経営されているパブ。「仕事が終わった後にくつろげる場所」「厳選された食材を使ったメニューを提供する」など、経営会社のコンセプトが反映され、提供されるビールやメニューが厳密に管理されていることが多い。もともとあったパブを買収している場合、パブの独自性を維持するために経営会社のコンセプトは反映させないケースもあり、会社ごとの運営方針に左右される。

Inns飲んだら即ベッドへ 宿泊施設のあるパブ

宿泊施設のあるパブ

小規模な宿泊施設が一緒になったパブ。英国の歴史においてインは日本の旅籠のようなもので、長旅の途中で旅人を宿泊させ飲食を提供する場所として活用されてきた。田園地帯や幹線道路沿いに建てられている。ロンドンなどの大都市にも存在するが、モダンな内装に改築されていることもあり、より伝統的で趣のある体験をしたいなら地方に行くのがお勧めだ。また、その土地で収穫された野菜や名物をメニューとして提供していることも多い。

Gastropubsおいしい体験がしたいなら ガストロパブ

一部のパブは素早く簡単に提供するために簡素なメニューのみを用意し、「パブのご飯はマズイ」という印象を人々に植え付けてきた。これに対抗する形で30〜40年前に生まれたのがガストロパブ。高級レストランで楽しめるような本格的な料理を提供し、パブでの食事に喜びを与えることを目的としている。この発想が市民の間で定着するまでに順風満帆とは行かなかったようだが、時間をかけてその地位を築いた。おいしい料理に加え、種類豊富なビールの選択肢があることが、レストランとの大きな違いだ。

Family and Child Friendly Pubs子連れも安心! ファミリー向けのパブ

ファミリー向けのパブ

小さな子どもがいる家族連れも安心して楽しめるよう、さまざまなサービスが提供されるパブで、郊外に多い。子ども用の椅子やキッズ・メニューが用意されていることはもちろん、滑り台などの遊び場や色鉛筆の貸し出しなど、食事以外の時間も飽きさせない工夫が施されている。また、保護者へも配慮が行き届いており、広大な駐車場やジュースの無料提供のほか、親同士の社交の場としてコーヒーやソフトドリンクなどの提供があるなど至れり尽せりだ。

Football Pubs熱狂的なサポーターと共に フットボール・パブ

スポーツ観戦を主とするパブなど、英国にはさまざまなテーマに基づいたパブがある。なかでも非常に英国らしいのがフットボール・パブだ。主にサッカー・スタジアムの近隣にあり、スタジアムをホーム・グラウンドとする特定のチームのファンの入場のみ許可している。店のドアには「〇〇チームのサポーターのみどうぞ」と挑戦的な張り紙に尻込みしそうになるが、これは単にファンが交流を楽しむための店側の配慮に加え、ライバル同士のけんかを防ぐため。試合前、試合後にはチーム・カラーのユニフォームを身に着けたファンでいっぱいになる。

コンセプトはさまざまチェーン・パブの種類

初めて訪れる店でも安定したサービスを期待するなら、チェーン・パブが安心だ。ここでは大手から小規模ながら広く流通しているビールを醸造するパブまでを紹介。

ロンドンの主力ビールの製造元Fuller’s Brewery

ロンドン西部チズウィックに1845年に創業し、現在は日本のアサヒグループホールディングスの子会社として運営されている老舗ブリューワリーで、テナントを含む約400のパブを管理・経営している。主力のビールは国産の材料を100パーセント使ったエールで、赤いパッケージでおなじみのロンドン・プライド(London Pride)。名前はロンドンで見られる雑種の花、ユキノシタ×ウルビニウム(Saxifraga × urbium)の一般名がロンドン・プライドであることに由来。ロンドンを象徴するこのエールはロンドン各地のパブで飲むことができる。
www.fullersbrewery.co.uk

Fuller’s Brewery

緑の看板が目印Greene King

英国全土で2700軒以上のパブ、レストラン、ホテルを経営する、英南東部サフォークのベリー・セント・エドマンズに拠点を置く1799年創業のブリュワリー。Fuller’s Brewery同様、直営パブの経営とパートナーシップを結んだテナントを管理しているが、リブランドの一環で歴史あるパブの看板を撤去したり、パブの名称を強制変更したりと少々強引な買収事業に対し、一部の人々からは批判の声も上がっている。主力のビールはすっきりとした味わいのグリーン・キングIPA(Greene King IPA)と琥珀色のビターのアボット・エール(Abbot Ale)。
www.greeneking.co.uk

Greene King

ホスピタリティーを最優先Young’s

1831年創業のブリュワリーで、ロンドンとイングランド南部で約230軒のパブとホテルを経営している。2006年に当時英国最古といわれていた醸造所が閉鎖したり、21年にパブ事業の一部を他社へ売却したりと、この20年あまりで経営面での著しい変化があった。現在経営されているパブやホテルは独自性に重きを置き、ホスピタリティーを重視した運営を続けている。羊がトレードマークで、主力ビールは19年にYoung’s Bitterから名称が変更されたヤングス・ロンドン・オリジナル(Young’s London Original)など。
www.youngs.co.uk

女性同士で気軽に行けるAll Bar One

約50軒と老舗チェーン・パブに比べブランチは少なめだが、英国全土でバーやパブを運営するチェーン・パブ会社。独身の女性だけでパブを訪れるのがまだメジャーでなかった1990年代に、女性が気軽に行けるパブとして創業された比較的新しい会社で、ガラス張りのフロント、オープン・テラスのスペースなど、風通しの良い店構えが特徴だ。また、従来のパブというよりバーに近い雰囲気で、ビールのほかワインやロゼ、カクテルなど女性受けしそうなドリンクを多く提供している。また、サステナビリティーを優先的に考えたメニュー作りを進めている。
www.allbarone.co.uk

安くビールが飲めるJ D Wetherspoon

1979年にロンドン北部のマズウェル・ヒルからスタートしたチェーン・パブ会社で、英国全土に約900軒の店舗がある。大衆向けのパブとして運営されており、同じ地域のほかのパブと比較し安い価格設定であることが強み。学生や年金生活を送っている人など、多くの年齢層が訪れる。低価格の魅力に加え、同社のユニークな取り組みとしてパブの建物が挙げられる。建物の多くはかつての銀行や郵便局、映画館などの歴史的建造物が積極的に使われており、歴史ある華やかな建築や装飾は必見だ。
www.jdwetherspoon.com

Wetherspoon

チェーンとインディペンデント系のパブを見分けるには?

実際訪れてみて雰囲気やサービスが良いと感じれば、チェーンとインディペンデント系のパブのどちらを訪れても結果ハッピーであることに変わりはない。しかし、あえてインディペンデント系のパブを選びたい場合は、入店前に店の看板をチェックすると良い。チェーン経営であれば看板や店のどこかにチェーン・パブ会社の名前が明確に記されている。また、時間があれば事前に店舗のウェブサイトをチェックしてみよう。チェーンであればサイトのどこかしらに親会社の名前が出ているはずだ。

各地のパブにも卸している小規模経営から急成長したブリュワリー

英国のパブのタップを見ると、老舗のビールやエールに混じってモダンなデザインのパンプ・クリップ(パンプ部分に取り付けられたバッジ)を見掛ける。代表的なものだと、赤と白のCamden Town Brewery、青い犬のBrewDog、カラフルなドクロ模様のBeavertown Breweryなどが知られている。この三つのビール・ブランドは2000年代に生まれた新興のブリュワリーで、現在休業中のBeavertown Brewery以外は独自のタップルームや店舗を所有している。歴史あるパブとは異なり、開放感あふれる雰囲気の中で飲みたい人は一度訪れてみてはいかがだろうか。
https://camdentownbrewery.com
www.brewdog.com/uk
https://beavertownbrewery.co.uk Camden Town Brewery

好きなビールはどれ?パブで飲める代表的なビール

日本で一般的にビールと呼ばれるものは、英国では事細かな種類で呼ばれ親しまれている。英国でよく飲まれている代表的なものは以下の通り。

ここ数十年で盛り返してきた IPA

インディア・ペール・エール(India Pale Ale)は、1780年代から飲まれているビール。その始まりには諸説あるが、当時英国占領下だったインドまでの長旅に耐えられるよう、防腐剤として余分なホップを加え、同国で働く英軍人たちの間で人気が出たことが通説。1990年代ごろには流行遅れとなりIPAを見掛けることは難しくなったが、新興のクラフト・ビール会社の参入により、再び息を吹き返した。ホップの苦味が感じられ、アルコール度数は5~7.5パーセントと高め。

幅広い種類があるPale Ale

1600年代に生まれ、柑橘系からキャラメルのような濃厚なものまで幅広いフレーバーがあるのが特徴。色は金〜琥珀色で、アルコール度数は4.5~6.2パーセントと低く、バランスの取れた味わいに仕上がっている。先に紹介したIPAはペール・エールのカテゴリーの一つ。しかしペール・エール、IPAの標準化された基準はなく、定義はブリュワリーによってまちまちだ。似たような種類にビター・エールがあるが、こちらはホップの味がペール・エールに比べ強い。

最も人気のビールLager

透明に近い淡い色で苦味が少なく、炭酸が強めなすっきりとしたさわやかな味わいで、滑らかな飲み口が特徴のビール。ラガーは通常、5〜15度と低い温度で発酵させるため、雑菌が繁殖しにくく製造管理がしやすい点から多くの主要なビール会社で販売されている。英国では20世紀後半から人気が急上昇し、現在国内で最も消費されているビールとなっている。フルーティーさは少なめ。ラガーの種類にもよるが、少し冷えた状態で出されたものが1番おいしく飲める。

苦味がクセになる!?Bitter

英国の国民的飲み物と称されているのがビター。ホップによる独特な苦味があり、キャラメルやビスケットを連想させる風味がある。こちらも区分はペール・エールだ。樽で熟成されたものを伝統的にビターと呼ぶが、近年は瓶詰めのものもある。ビターの中には、さらに苦味が感じられるスペシャル・ビターなどがあるが、この程度はブリュワリーごとに異なる。英国各地で醸造されているビターは、地域によって味が大きく変わってくるのも特徴の一つだ。

パブ飯といえばこれパブで食べられる料理

ビールを提供するパブだからこそ、ビールにぴったりのメニューを用意している。ここではガストロパブでも提供される伝統のパブ飯を紹介。

Sunday Roast肉も野菜も満遍なく食べたい人へ サンデー・ロースト

サンデー・ロースト

ロースト・ビーフやチキン、ラムなどの肉とグレービー・ソース、ロースト・ポテト、ニンジン、パースニップなどの野菜、ヨークシャー・プディングとボリュームたっぷりの料理で、伝統的に日曜のランチやディナーとして食べられている。近年ではベジタリアンでも楽しめるよう、肉の代わりに野菜のパイなどを提供する店も増えてきている。

Fish & ChipsThe 伝統の味 フィッシュ&チップス

フィッシュ&チップス

タラなどの白身魚のフライに、フライドポテトを添えた定番のファストフード。英国ではたっぷりのモルト・ビネガーと塩をかけるのが伝統の食べ方だ。油で揚げている料理なので、すっきりとした味わいのラガーやペール・エールなどがよく合う。パブによっては1人前でもかなり多い場合があるので、少食の人は2人で分けていいかもしれない。

Pieとろとろのお肉がたまらない パイ

Pie

スイーツを連想するかもしれないが、英国でいうパイは通常、肉や野菜が詰まったセイボリー(おかず系)を指す。時間をかけて焼き上げられたステーキや野菜入りのSteak&Ale Pie、ビーフやラムの上にマッシュ・ポテトをのせて焼き上げたShepherd’s Pieや具が魚介類のFish Pieなど、パイの種類は実に豊富だ。ほくほくで、冬になると無性に食べたくなる一品。

Full English Breakfast朝食だけど提供は1日中 フル・イングリッシュ・ブレックファスト

Full English Breakfast

ソーセージ、ベーコン、グリルされたトマト、目玉焼き、ベイクド・ビーンズ、マッシュルームなどにトーストが付く。ブレックファストと呼ばれているが、多くのパブではオール・デイ(All day)として朝以外にも提供されている。ボリューミーで塩味も強く、英国では二日酔いの翌日に食べられる料理としても知られている。

Bangers & Mashソーセージ好きには外せない バンガーズ&マッシュ

Bangers & Mash

ソーセージ&マッシュとも呼ばれ、立派なソーセージがマッシュ・ポテトの上にごろりと載り、グリンピースと共に提供される。たっぷりのグレービー・ソースとハーブを効かせたソーセージに、バターたっぷりでクリーミーなマッシュ・ポテトの相性は抜群。簡単に作れることから英国では家庭料理の一つとして親しまれている。

Jacket Potatoesカリカリ×フワフワが楽しめる ジャケット・ポテト

Jacket Potatoes

英国ではベイクド・ポテトの皮の部分は「ジャケット」と呼ばれており、ポテトを丸のまま皮をむかずにそのままオーブンでじっくり焼き上げたもの。そこまでお腹が空いていないときにぴったりだが、店によりポテトの大きさが異なるので注意。外はカリカリ、中はフワフワの食感が楽しめる。バターやチーズ、マヨネーズなどさまざまなトッピングがある。

初心者でも物おじしない!パブでのオーダーの仕方

パブでの作法やマナー、 知っていたら得する情報をまとめてみた。これを読めばドリンクのオーダーは完璧だ!

パブでのオーダーの仕方

入店から退店までの流れ

入店

パブに入ったら、日本の居酒屋のように入り口でスタッフを待つ必要はなく、自分で席を探して勝手に座ってOK。週末など混雑する時間帯で事前に予約された席には「Reserved」などのタグが置かれているのでその席には座らないようにしたいが、何時から予約なのかスタッフに聞くのは全くもって問題ない。時間まで余裕があれば座ってもいいと言われることもある。席が見つかったら、ビールや食事の注文のためにカウンターへ行こう。

ドリンクのオーダー

混雑時のカウンター前はごちゃごちゃしがちだが、なんとなくの列はあるのでそれを見極めよう。ドリンクを受け取った客から順次移動するので、流れを見てカウンターに近付いていくのがポイント。混雑していても、大きな声を出したり、指などでスタッフにサインを送ったりするのはご法度だ。試飲はごく普通に行われているので、試してみたいビールがあればスタッフに気軽に尋ねてみよう。ビールは1パイント(=568.26ml)、ハーフ・パイント(=204.13ml)でオーダーできる。ボトル入りのビールや奥に置かれているアルコールももちろん頼める。

パブで使える英語

タップにある銘柄の味について知りたい
・What does this beer taste like?
タップのビールを試飲したい
・Could I try this one first, please?
ストックのボトルのビールの種類を確認する
・What bottled beer do you have?
・Do you have a bottle of 〇〇(銘柄)here?
ウイスキーやスピリットなどタップにないアルコールを聞く
・What type of whisky do you have?

オーダー完了!

カードで支払う際、場合によってはチップを自分で入力または選択する画面が出る。チップの支払いは完全に個人の自由なので、払わなくても特に気にすることはない。あとは席でビールを楽しむだけ!テラス席がある場合は問題ないが、ない場合で喫煙やちょっとした外出で外に行く場合、ビールの持ち出しはできないので室内にグラスを置く必要がある。心配ならスタッフに一言伝えカウンターで見ていてもらうか、紙ナプキンをグラスの上にかけておくこと。飲み終わったら、グラスはテーブルにおいたたまま退店して大丈夫だ。

知っておくと便利!オーダーやマナーに関する豆知識

日本人は若く見られる傾向があるので、入店時やオーダー時に年齢確認をされることがある。イングランドとウェールズのパブは通常22〜23時ごろまで営業しており、ディナーの時間を過ぎてのオーダーは特にチェック率が上がるので念のため年齢を確認できる証明書を持っていくと安心。


英国人とパブに行くと、ラウンド(Round)と呼ばれる特殊な買い方を体験するかもしれない。これはグループでパブを訪れた際、1人が全員の分のドリンクを一括で購入し、2杯目は次の人がまた全員分払うというシステム。最終的に全員が支払う平等なルールだが、途中でアルコールはもういいや、となればソフトドリンクを頼むと良い。


カウンターでアルコールを買えるのは19歳から。ただし、テーブルに着席して食事を取る際、大人が同伴であれば16、17歳もビール、ワイン、サイダーを飲むことができる。

ロンドンにあるお勧めのパブ8軒

ロンドンの数多くあるパブの中から、歴史的に重要な店、内装が美しい店など英国の伝統のパブを感じられる店を8軒ピックアップしてみた。近くを通る際はぜひ訪れてみてほしい。

ロンドンに到着した人、去る人を見送るThe Euston Tap

The Euston Tap

ユーストン駅のバス乗り場前にあるパブ。1960年代に旧ユーストン駅が取り壊されたときに残されたアーチ状の建物をパブとして使っている。パブとしてオープンしたのは2010年と比較的最近だが、室内のこじんまりとしたカウンターわきの席や、螺旋階段を登ってたどり着く2階席など、モダンなパブには見られない独特の構造や雰囲気があって良い。47ものビールやサイダーが飲めるタップがあり、いつ訪れても飽きない品ぞろえだ。

190 Euston Road NW1 2EF
Euston駅
www.eustontap.com

荒くれ者が集ったパブThe Lamb & Flag

The Lamb & Flag

今でこそ観光地のコヴェント・ガーデンだが、18世紀は危険な地域であり、このパブはその様子を見てきた。店のそばで時の英王室を風刺した詩を詠った詩人が兵による襲撃で死にかけた一方で、パブ内の上階では賞金をかけて素手で殴り合うベアナックル・ボクシング大会が行われ、パブは「血のバケツ」というあだ名まで付けられた。現在は穏やかな雰囲気で、地産の食材を使ったメニューを提供している。

33 Rose Street WC2E 9EB
Covent Garden/Leicester Square駅
www.lambandflagcoventgarden.co.uk

メイフラワー号が行き来した地The Mayflower

The Mayflower

英東部ロゼハイス近くにあり、テムズ川沿いにある最古のパブの一つとして親しまれている。ロゼハイスは、1620年7月、米国へわたったメイフラワー号が同地から出発して英南西部プリマスに向かい、翌年の5月に戻ってきた場所として知られており、乗組員たちはこのパブで出航の仕度をしたそうだ。現在は1780年代に再建された趣ある建物で、食事は定番からモダンなメニューまで楽しめる。

117 Rotherhithe Street SE16 4NF
Rotherhithe駅
www.mayflowerpub.co.uk

ナショナル・トラスト所有のパブThe George

The George

The George

17世紀に建てられたインで、現在ロンドンに現存する唯一の馬車宿(Coaching Inn)。正面に見えるアイコニックな回廊(写真右)は当時のインのスタイルを今日まで伝えている。現在はインとしての経営は行っておらず、チェーン・パブのグリーン・キングがテナントとしてパブを運営している。英小説家チャールズ・ディケンズも訪れた場所として知られており、自身の小説の中でも言及している。

75-77 Borough High Street SE1 1NH
London Bridge/Borough駅
www.greeneking.co.uk/pubs/greater-london/george-southwark

外界から切り離された異空間The Fox & Anchor

The Fox & Anchor

1897〜99年に建てられた3階建てのパブ。アール・ヌーヴォー様式のファサードが見事な建物で、上層階にはホテルが完備されている。平日の営業が朝7時からと早いのは、近隣のスミスフィールド市場で働く人や訪れた人を迎え入れていた名残。舌が肥えた人が集まるからなのか、朝食のレベルが高いと評判だ。早朝に訪れると、街の喧騒から遠ざかり、まるで昔にタイムスリップしたかのような錯覚を覚える。

115 Charterhouse Street EC1M 6AA
Farringdon / Barbican駅
www.foxandanchor.com

アーツ・アンド・クラフツ運動の傑作建築The Blackfriar

The Blackfriar

アール・ヌーヴォー様式でグレードII指定の建物にあるパブ。1905年ごろ、ドミニコ修道院の跡地にあった建物を、アーツ・アンド・クラフツ運動の活動に取り組んでいた建築家H・フラー・クラークと芸術家ヘンリー・プールが改装。そこかしこにプールによる彫刻やモザイク、レリーフなど、修道院を思い出させるさまざまな意匠が現在も見られる。常時大勢の人でにぎわう人気のパブだ。

174 Queen Victoria Street EC4V 4EG
Blackfriars駅
www.nicholsonspubs.co.uk/restaurants/london/theblackfriarblackfriarslondon#/

突如現れる路地裏の隠れ家The Cockpit

The Cockpit

ブラックフライアーズ修道院の門の一角を改築した小さなパブで、1865年ころに建てられた。形状は闘鶏場(コックピット)を再現しており、店内の壁には闘鶏にまつわるアイテムが飾られている。週末休業のパブが多い地域にありながら土日も休まず営業しており、ビールを楽しみにしている地元の人々が多い印象。広くはないが、静かな環境とレトロな雰囲気が好きな人にはぜひ訪れてほしい場所だ。

7 St Andrew’s Hill EC4V 5BY
Blackfriars駅

堅牢な外観と内装のギャップに驚きCittie Of Yorke

Cittie Of Yorke

Cittie Of Yorke

モダンなビルが立ち並ぶ通りにあり、1430年代からパブとして運営されてきた。現在の建物は1920年代にチューダー・リバイバル様式で再建されたもので、グレードIIに指定されている。入り口から通じる細い通路を奥へ進んでいくと、天井の高い中世の大広間のような空間が広がる。英北部タドカスター(Tadcaster)にあるブリュワリー、サミュエル・スミスによる経営で、ビールも同社のものが提供されている。

22 High Holborn WC1V 6BN
Chancery Lane / Farringdon駅


 

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*本文および情報欄の情報は、掲載当時の情報です。

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