2013年も残りわずかとなりました。今回は、私たち在英邦人を含む英国への移民の滞在許可に関連した、2013年の主な変更点を振り返ってみたいと思います。
●英国国境庁の廃止
英国への移民の管理に関連した業務を行ってきた英国国境庁が、4月に廃止されました。同庁が管轄していた「滞在許可証の発給サービス」と「不法移民の取り締まり」は、現在は内務省内の別々の部署で執り行われています。またこの変更に際して、英国国境庁において以下のような様々な問題が発生していたことが改めて明らかになりました。
・少なくとも31万2000件あると見込まれている未処理案件の山積
・ロンドン郊外クロイドンにある本部でのシステム・ダウンによる業務の遅滞
・滞在許可証申請者の関連書類の喪失トラブル
組織改編後も移行作業に際しての混乱などで同様のトラブルが発生している可能性があり、滞在許可証の申請を行う際などには、引き続き細心の注意が求められます。
●永住権・市民権の申請方法の変更
永住権・市民権の申請方法が、10月から変更されました。これまで永住権または市民権の申請に際しては、「Life in the UK」テストに合格する(一定のレベルの英語力を保持しているか、技能または高技能移民として英国に滞在している場合)か、英語と市民権に関するコースを受講し、合格する(英語力がない場合)か、いずれかの方法を選ぶことができました。しかし、現在ではLife in the UKテストと内務省が指定する英語力テストの両方を受験し、定められた条件を満たすことが求められています。
また永住権に関しては、これまで「Tier2」(就労ビザ)を保持し5年間英国に滞在した場合に認められていた永住権への切り替えを、2016年4月以降は一部の例外を除いて受け付けないとの方針が既に発表されています。
●移民・入国管理法の改定
10月より、移民・入国管理法が改定されました。この改定により、就労または学生ビザの申請者が純粋に就労または学業目的でビザ取得を目指しているかどうかを当局が確認する過程が強化されています。特に英国に留学する日本人学生にとっては、「Tier4」(学生ビザ)の延長を求める申請者の英語力が十分ではないと見なされた場合、当局はビザ延長を拒否することができるようになった点について注意が必要です。
不法移民を取り締まる法案の導入
さらに政府は10月、移民に関する新たな法案を導入すると発表しました。同法案が成立すれば、政府は不法移民をより容易かつ迅速に強制退去させることができるようになります。
これらの例から明らかなように、英国の政府は移民の取り締まりを一層強化する方針を掲げており、この傾向は来年も維持またはさらに強まる見込みです。滞在許可の申請に際してはこれまで以上に細心の注意が求められることになるでしょう。また移民規制に関する法改正は来年も引き続き頻繁に行われることが予想されます。英国への滞在許可の申請に関しては、できるだけ早い段階で準備を始め、専門家に相談することを強くお勧め致します。