英国国境局は6月29日、オーバーステイ(ビザで定められた在留期限の終了後も、出国せずに英国に滞在すること)に関する現行の法律が改正されることを発表しました。これまではオーバーステイをしながらビザの申請をしても、審査をしてルールに則っていると判断されれば許可が下りる場合がありました。しかし、法改正後は、ビザの期限が切れてから28日を超えて英国内から提出された申請を一切受け付けません。つまり、法改正後、英国内でビザの申請を却下された場合は、28日以内に英国からいったん出国し、自国から再申請しなければなりません。(ただし申請をビザの期限が切れる以前に行い、申請を却下された時点でアピールした場合を除く。オーバーステイの詳細についてはケースによって多岐にわたりますので専門家にご相談ください)。この法律は10月1日から施行される予定です。
7月5日付のBBCウェブサイトによると、ビザの申請が却下された外国人のうち約15万人のその後の行方が分からないままであるとされ、その多数が英国内にいまだ滞在しているのではないかと考えられています。
また、今年の5月11日には、2014年からファミリー・ビジター・ビザ申請者に対して、ビザ申請が却下された際の裁判所への全面的不服申し立て(アピール)の権利が与えられなくなるとの決定も発表されており、ビザの再申請やアピールが次第に難しくなってきていることを感じさせます。上記の法改正については追って詳細を取り上げることにし、ここではビザ申請時期におけるいくつかの注意点を、英国内で行う学生ビザ(Tier 4 General)申請について英国国境局のウェブサイトに記載されている内容を例に取り、見ていきましょう。
申請時期
● スポンサーとなる学校からのConfirmation of Acceptance for Studies(CAS)番号を受け取った時点で、ビザ申請が可能になります。
● 手持ちのビザの期限日から1カ月以内に開始されるコースであれば英国内で次のコースへの申請を行うことができますが、1カ月を超える期間が経過した後に始まるコースを取る際にはいったん自国へ戻らなくてはいけません。更に、CAS番号を受け取ったあと6カ月以上ビザ申請せずに放置しておくと、そのCAS番号は無効になるのでご注意ください。
● 申請結果を受け取る前に現行のビザが切れてしまった場合でも、結果を受領するまでは滞在が可能です。ただこれは、ビザ期限終了前に申請していることが必須です。
待ち時間
●「申請日」とは、郵送の場合は投函した日(スタンプにポスト・マークが印された日)、バイク便の場合は配達受領日のことを指します。
●プレミア・サービスとして、自分で国境局のオフィスへ行く場合は、予約が必要です。予約を取る作業自体に時間がかかる可能性もあるため、どちらにしても早めの準備が必要と言えるでしょう。
ただ以上に関してはあくまでも一例であり、学生ビザの手続き一つをとっても申請を行う場所やコースの期間、学校の種類によって、必要とされる手続きは異なります。また待ち時間に関しても、英国国境局側の見通しと実情の間に大きな差が見られる場合も多いようです。これらの理由から、手続きは専門家と二人三脚で計画を立てて着実に行うことをお勧めします。