英国の内務省は、3月13日、英国への移民に発給される滞在許可に関連した変更措置を発表しました。発表内容には、在英邦人にも影響を与え得る変更事項が多く含まれています。今回はこれらの変更点の概要をお伝え致します。
● Tier 1(高度技能労働者ビザ)
高度技能労働者を対象に発給される Tier 1 においては、以下の変更措置が発表されました。
・「Exceptional Talent」の適用範囲を拡大
芸術、科学、人文科学、工学の分野において世界的に認められた、あるいはその可能性のある人を対象に発給される Tier 1 の「Exceptional Talent」のカテゴリーに、3月13日よりデジタル・テクノロジーの分野が含まれることになりました。
・「General」の滞在許可延長措置が終了
「General」のカテゴリーにおいてはこれまで回数の制限なく滞在許可を更新することが可能でしたが、2015年5月を最終期限として更新ができなくなります。
・「General」からの永住権への申請措置が終了
このカテゴリーから永住権の申請を行う場合は、2018年4月5日が最終期限となります。同日までに必要とされる資格を満たさない場合は、同ルートから永住権を申請することはできません。
● Tier 2(就労ビザ)
欧州経済領域国(EEA)の出身でない、日本人を始めとする移民が、英国での就労を目的に入国または滞在する際に必要となるTier 2においても変更があります。
・取得可能期間が拡大
4月6日より、これまで3年と定められていた取得可能期間が5年へと拡大されました。ただし、延長を行うことができるのは、予め定められた条件を満たした方のみです。
・最低給与が引き上げ
4月6日より、「General」のカテゴリーにおける最低給与が2万300ポンド(約343万円)から2万500ポンドへと引き上げとなりました。ただし、それぞれの職業別に定められた最低給与の金額がより高く設定されている場合は、高い方の金額が適用されることにご注意下さい。また「Intra Company Transfer」のカテゴリーにおいては、各種類によって最低給与の設定金額が異なります。
● Tier1、2、 4、 5(就労、学生、被扶養家族など)
滞在許可の発給を請け負うスポンサーシップの獲得など滞在許可の取得に必要な各条件が点数化された「ポイント・ベース」制度の対象となっているTier1、2、4、5においては、事前に十分な資金を用意していると証明することが求められます。この資金の必要額が引き上げとなる旨が発表されました。また学生やその扶養家族に関しては、居住地がロンドン市内かそれ以外の地域であるかによってこの金額が変わることに注意する必要があります。
カテゴリーによって異なる金額が設定されているので、詳しくは内務省のウェブサイトを参照するか、または専門家までご相談ください。
英国における滞在許可をめぐる事情は目まぐるしく変更を繰り返しており、滞在許可の取得及び延長を申請する際には、これらの変更内容を踏まえた上で資料をそろえる必要があります。せっかくの機会をふいにしないよう、できるだけ早い段階で準備を開始し、申請手続きは専門家と二人三脚で着実に進めることをお勧めします。