第198回
FRS102での原状回復費用の処理
― 原状回復費用とは何ですか。
原状回復費用は、賃借人に対して物件の修繕、維持管理、改装部分の原状回復、およびリース終了時または中途解約時に物件を所定の状態に戻すことを義務付けるリース条項に基づいて発生します。請求は、通常はリース終了時に発生しますが、原状回復の義務そのものは占有期間を通じて積み上がります。
― 原状回復費用はどのように会計処理されますか。
セクション21に従い、引当金として会計処理します。引当金は、以下の要件を満たす場合に認識されます。
- 現在の法的または推定的な義務が存在
- 経済的便益の流出が発生する可能性が高い
- 信頼性のある見積りが可能
重要な点として、原状回復義務の発生事象となるのは物件への損耗または改装であり、正式な原状回復請求を受領することではありません。貸主が原状回復費用の請求書を発行した時点で初めて引当金の計上が必要になるという考え方は、FRS102では誤りです。
― 引当金はどのように算定しますか
引当金は、報告日時点で当該義務を履行するために必要な費用の最善の見積り額で算定します。これには通常、以下が含まれます。
- リース契約の修繕条項と原状回復条項の検討
- 想定される修復工事の範囲の見積り
- 必要に応じてインフレ調整を行った現在の費用見積り
原状回復義務の履行時期が重要であり、かつ割引の影響が大きい場合には、引当金は適切な税引前の割引率を用いて現在価値に割り引く必要があります。
― 費用は賃借期間中にどのように認識されますか。
賃借人が改装(リースホールド改良)を行った場合、原状回復の見積り費用は通常、資産取得原価の一部として資産計上され、それに対応する引当金が認識されます。通常の経年劣化や特定の損耗については、引当金は通常、占有期間を通じて積み上がります。一部の企業は定額法を採用していますが、これは義務発生事象の発生パターンを必ずしも反映しているとは限りません。引当金の計上が適切な場合、その費用は通常は営業費用として認識されます。
― 引当金は再評価しますか。
原状回復引当金は各決算日に見直し、以下の事項で再評価する必要があります。重要な変更は、ただちに損益として認識されます。
- リース条件の変更(延長または中途解約オプション)
- 最新の費用見積り、またはサーベイヤーによる報告書
- 履行時期の見通しの変更
― 監査人はどういう点を期待していますか。
原状回復費用は、しばしば会計上の重要な見積りとして扱われます。監査人は通常、以下を期待しています。
- 修繕および原状回復の義務を証明するリース契約書
- 引当金算定方法に関する経営陣の評価文書
- 独立したサーベイヤーによる報告書、または十分に裏付けられた社内見積り
- 範囲、費用、時期、および割引率に関する明確な前提条件
- 過年度との一貫性、または変更点についての説明
*この記事は一般的な情報を提供する目的で作成されています。更なる情報をお求めの場合は、別途下記までご相談ください。
ジョン・フィッシャー監査・会計 パートナー Ernst & Young、野村證券を経て現職へ。高度な会計技術に加え、ビジネス日本語も得意とする。社内のみならず日系顧客からも高い信頼を寄せられている。日本語スピーチコンテストでは2年連続入賞。



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