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Tue, 23 July 2024
今回のテーマ

2024/25税年度の個人向け税制について

新税年度が始まりました。賃金が上昇しているにもかかわらず税率や所得バンドは変更なしですが、NIC率が下がるのは吉報です。また外国人に対する海外所得の税制が翌年度から大きく変わると発表されました。税制改正について学びましょう。

所得バンドが上がらないのはよくないことなのですか。

税率や対象となる所得金額幅(Earning Bands)は2021/22年度から据え置きとなっており、2027/28年まで変更なしの見込みです。一方、賃金は毎年、特にここ数年はインフレ率が高く大幅に上がっているので最高税率が40パーセントや45パーセントへ上がってしまった方は少なくないと思います。お給料が増えても税込みの所得はその6割、5.5割のみの増加ということになります。

控除額と所得税率(勤労所得)

2024/25
個人控除額(Personal Allowance) £12,570
ただし、右記を超える所得£2に対し
£1控除額が減少
£100,000
所得税率(控除額を差し引いた後の所得に対し)
基礎税率: 20%のかかる所得 〜£37,700
高税率: 40%のかかる所得 £37,701〜125,140
高税率: 45%のかかる所得 £125,141〜

最近渡英しました。National Insurance Contributions(NIC)について説明してください。

国民年金や失業保険などの社会保険に対する社会保険料です。会社勤めの方は所得税同様毎月の給与から天引きされていまして、会社も社員のためにNICを払っています。16歳から国民年金受給年齢(現在66~68歳)まで勤労所得のある方は支払い義務があります。NIC率も所得に連動しており、上記20パーセントの税金がかかるバンドの方の率が大幅にさがります。下記表を参照ください。

NIC ー 雇用者・従業員(Class 1)

Salary2023/242024/25
~ Lower Earnings Limit(LEL) Up to £6,396 0% 0%
LEL ~ Primary Threshold(PT) £6,397〜£12,570 0% 0%
PT ~ Upper Earnings Limit(UEL) £12,571〜£50,270 12%* 8%
UEL ~ £50,271〜 2% 2%

*2023年1月6日~24年1月5日までは10%

Lower Earnings Limitとは。

Lower Earning LimitとPrimary Thresholdの間の所得の方はNIクレジット(National Insurance Credits)を得ることができ、社会保険適用になります。言い換えると、この間の所得の方はNICを払わずに国民年金などのベネフィットを受けることができます。所得がLEL以下の方はNICを払わなくてもよいですが、NIクレジットが得られず、ベネフィットを受け取る権利がありません。

今年からビジネスを始めました。自営業者のNICも変わりますか。

はい、上記で記載した所得バンドの方の率は3パーセントさがります。自営業(Self-employed)の方は従来Class 2という固定金額のNICと所得に連動するClass 4を支払っていましたが、本税年度からClass 4のみでよくなりました。ただ、所得が6725ポンド未満の方はClass 2(本税年度は週3.45ポンド)を払うことで国民年金などの社会給付金へのアクセスを得られます。6725~1万2570ポンドの所得の方はNIクレジットを得られるので支払いの必要はありません。

NIC ー 自営業者(Class 4)

Salary2023/242024/25
~ Lower Earnings Limit(LEL) Up to £6,725 0% 0%
LEL ~ Primary Threshold(PT) £6,726~ £12,570 0% 0%
PT ~ Upper Earnings Limit(UEL) £12,571~ £50,270 9% 6%
UEL ~ £50,271~ 2% 2%

主婦です。自費でNICを払い国民年金の受給権を得られますか。

はい、Class 3(任意拠出)を支払うことができ、今年は週17.45ポンド、年で907.40ポンドです。英国の国民年金は保守党のトリプル・ロック政策(賃金上昇、インフレ、2.5パーセントのどれか高い方に連動)のおかげで、ここ数年大幅に上昇しており、今年は8.5パーセントの上昇で満額で年1万1502.40ポンドとなっています。また、子どもの世話をしている方で児童福祉金(Child Benefit)を申請していますと、NIクレジットを得ることができますので、NICを払う必要はありません。

投資所得の税制に変更はありますか。

会社経営者を含む株式への投資家には不利な変更となりました。まず、配当控除(Dividend Allowance)が1000ポンドから500ポンドへ減額され、株式等の売却益に課せられるキャピタル・ゲイン税の非課税枠が半減され3000ポンドとなってしまいました。この枠は2022/23年度が1万2300ポンドでしたので大幅な減額といえます。銀行預金などの金利収入の非課税枠である預金利子控除(Savings Allowance = SA)は据え置きで、基礎税率納税者は1000ポンド、高率納税者は500ポンドまで非課税です。

金利・配当収入の税率

金利に対する税率配当に対する税率
基礎税率納税者 20% 8.75%
高税率納税者 40% 33.75%
追加税率納税者 45% 39.75%

外国人に対する税制が大幅に変更になると聞きましたが。

われわれ日本人は通常、非定住者として税法上定義されており、渡英後一定期間は国外所得は英国に送金しなければ非課税であるという特別な税制(送金課税)を選択することができます。しかし、春の予算案でこれが2025/26年度から撤廃されると発表されました。代わりに提案された案は国外所得・利益税制(Foreign Income and Gains Regime = FIG Regime)といい、渡英前に10年間英国非居住者であった方は、渡英後4年間は国外所得は英国に送金しても非課税となる見込みです。ただ、今年末の総選挙後に政党交代があると、この提案にも大きな変更が見込まれますので、今後の推移に注目です。


当コラムは2024年4月時点の法制と税制に基づき一般的なガイダンスのために作成されており、皆様のご理解を深めるために内容を簡素化してある場合もあります。専門家の助言なしに記載情報にのみ基づき行動することはお控えください。その場合、筆者は一切責任を負いません。投資助言を含まない税務助言はFCAに規制されていません。

※ 次回のマネー教室は2024年8月15日号に掲載致します。本コラムのバックナンバーはこちらからご覧ください

 

和枝ドゥルーリー APFS

© 和枝ドゥルーリー APFS

日本人ファイナンシャルアドバイザー(CFP)。十数年間の米英系投資銀行勤務を経て、IFAとして独立。日英両方の資格を有する。独立系FA会社に所属。

E-mail: enquiries@financialinitiatives.co.uk
Web: www.kazuedrury-ifa.co.uk
Financial Initiative Ltd is an appointed representative of Lathe & Co Wealth Advisers Ltd, which is authorised and regulated by The Financial Conduct Authority.


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