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Fri, 27 December 2024

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教育スタイルの違い [1] - 初等・中等レベル

教育スタイルの違い① − 初等・中等レベル

今回は、イギリスの教育スタイルの違いについて触れたいと思います。

前置きとしまして、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドではそれぞれ独自の学校制度がありますが、ここではイングランドを取り上げています。

日本ではご存知のように、文部科学省規定の学習指導要領に沿って、検定教科書の使用や教科毎の授業時間数が決められていて、地域、公立、私立を問わず統一化されたカリキュラムを履修することにより卒業資格を得ることができます。イギリスでは私立と公立ではシステム自体が多少違っていることや、ナショナル・カリキュラムはあるもののカリキュラムの組み立てや教授方法は各学校、教師の判断に委ねられており、検定教科書もなければ満たすべき授業時間数の規定もありません。その代わり、学習到達度がナショナル・テストによって客観的にチェックされることになります。生徒も学校も教師も、履修資格となる全国統一試験(GCSE試験、およびA‐Level試験)で努力の成果が問われる、といっても過言ではありません。

留学生受け入れは私立校のみで、早いと8歳くらいから受け入れる学校があります。基本的には寮のあるボーディング・スクールへ入学します。各私立校にはそれぞれ独自の教育理念がありますが、学問はもちろんのこと、スポーツ、音楽、美術なども同等に評価し、本人の得意な分野を探して伸ばしながらも、学力・体力・人格的にバランスの取れた全人教育を行うことを基本としています。また入学試験では必ずインタビューがあります。校長先生が直々に、自発的に勉強するか、積極的にクラブ活動やボランティア活動に参加するかといった生徒の姿勢や将来のポテンシャルを見るのが主な目的です。

学業面では基礎を教える講義に加えて、実験やディスカッション、リサーチやグループでのプロジェクトを多く取り入れています。様々な問題を自分で考えて、解答を導き出すプロセスを重視し、創造性や問題解決能力を養います。人格面ではスポーツやイベント、そして寮での共同生活などを通して、積極性、自主性や協調性などを育成します。社会にデビューする一人前の大人になるための育成という考え方が教育の根底にあり、未成年といえども小さな大人と扱われるのは、「紳士・淑女」の国ならではです。

上級レベルである6thフォームになると、より学業に重きを置いた授業になります。ここでも教科書なるものは存在せず、課題をリサーチし、分析・評価し、そして表現するという方法で学習を進めていきます。試験ももちろん○×式ではなく、多くが自分の考えをまとめるエッセイ式。いかに自分の考えを持てるかは、自分で調べて、様々な回答を導き出し、考えて解釈する能力とスキルが必要となります。教師はその導きやサポートを行うのみです。

6thフォーム・レベルの成果発表が18歳の時に受験する統一試験、A‐Level試験となりますが、受験科目は必然的に大学で学びたい専攻分野となります。なぜなら大学は自分の専門分野をより深く学ぶ、または研究する機関という位置づけなので、その基礎となる過程は大学入学前に既に学習していることを前提としているからです。大学進学は、専攻分野に必須のA‐Levelの選択科目における結果、推薦状、そしてエッセイなどをもとに大学側が書類審査(必要に応じてインタビュー)をすることになります。イギリスでは日本の高校のような「普通科」も存在しなければ、大学において「一般教養課程」も存在せず、専門家を育てるための、レベル別・分野別の階段が資格フレームワークとしてちゃんと整備されています。アートや演劇、ダンスや音楽などといった多種多様なコースも、大学や大学院レベルで専門性を深めていきます。それぞれが専門を持つことによって社会的分業が成り立つ国家を形成するという考え方の下でできた、個々の能力と個性を伸ばし活かすための教育制度と言えるのかもしれません。



アフィニティ
著者プロフィール
中畑 寿子
アフィニティ・エデュケーショナル 
留学・キャリアコンサルタント

ロンドンの語学スクール、カレッジ、大学留学で合計約5年間を過ごし、現在、この経験をもとに、イギリス留学、語学研修、帰国後の転職に関するセミナー、相談、サポートを行っています。

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参照:「サン」紙、「デーリー・メール」紙ほか

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