今月6日、ホーム・オフィスが移民・入国管理法の改定を発表しました。改定は今年10月1日から施行されることになっています。今回は、この改正でどのような変更がなされるのかを具体的にご説明したいと思います。
● 企業及び被雇用者が、より柔軟性をもつことができるようになる変更点
- 英国に進出している日本企業の英国支店や子会社で駐在員として働く場合に必要となる
「Tier2 ICT(Intra- Company Transfers)」(企業内出向者ビザ)を申請する際、これまで要求されてきた英語力の証明が必要なくなります。 - MBA取得者または認定機関から適切な事業案を持つと認定された学生を対象とした
「Tier1 Graduate Entrepreneur」保持者による「Tier2」(就労ビザ)へのビザ・ステータスの変更が容易になります。 - 一部の重役の株所有制限が撤廃されます。
- 英国内における政府公認の教育
- 研究機関において1年または2年間学ぶことのできる「Tier 5 Government Authorised Exchange Scheme」(政府認可交換スキーム・ビザ)保持者の一部が、インターンとして就労できるようになります。
● 観光旅行客及び商用訪問者にとって有益となる変更点
- 観光旅行客または商用訪問者が、主目的ではない場合に限り、英国滞在中にある程度の学業に携わることができるようになります。
- 商用訪問者(ビジネス・ビジター)が英国滞在中に許可される活動範囲が拡大します。
● そのほかの変更点
- 就労または学生ビザの申請者が純粋に就労または学業目的でビザ取得を目指しているかどうかを当局が確認するチェック過程が強化されます。
- 「Tier4」(学生ビザ)の延長を求める申請者の英語力が十分ではないとみなされた場合、当局はビザ延長を拒否することができるようになります。
- 「Tier5 Youth Mobility Scheme」(ワーキング・ホリデー・ビザ)の2014年度の割り当てが新たに設定されます。
- 芸術分野で将来有望な卓越した才能を持つ人たちが「Tier1 Exceptional Talent」(例外的技能者ビザ)に申請できるようになります。
- 前科のある難民申請者の認定手続きが変更されます。また、当局は複数の罪を犯した犯罪者または凶悪犯の英国滞在の権利をはく奪する権限をもつようになります。
これらの変更以外にも、既に発表されているように10月28日からは、永住権または市民権の申請方法も変更されます。近年では、これまでにも増して頻繁に移民・入国管理法の改正が行われています。ビザ取得、また延長の申請時には、わずかな見落としが大きな問題につながる可能性もありますので、手続きは専門家とともにタイミングを計りつつ確実に行うことをお勧めします。また一定の時間を要するものもあるので早い段階で専門家に相談し検討を開始しましょう。