The Times
女性宰相であることの意味とは
サッチャー元首相の思想、行動、そして成功は、自身が女性であったことと無縁ではない。彼女は、子育てをしながら日々の生活に追われる母親たちの気持ちを理解できた。また女性であることは体制の外側に位置することをも意味した。彼女は同じ年代の男性保守党党員たちと、さらに結婚後は所属階級の人々とのみ交際することもできたはずだ。しかし、彼女はこうした付き合いを好まなかった。この「他者とは違う」という点こそ、政敵には厄介だったのである。(4月9日)
The Guardian
分裂と拝金主義を残した首相
サッチャー元首相は、首相就任時に「不一致があれば、そこに調和をもたらす」と述べた。だが彼女が追い求めた調和とは、富裕層の利益となるものばかりであった。彼女が「私たちの人々」と言うとき、それは英国民を意味したのではない。彼女と同じように考え、その偏った考えを共有する人のみを指したのである。彼女は、国民の分裂と利己主義、そして拝金主義をこの国にもたらした。これの遺産は、人間的な精神を解き放つどころか、自由を束縛するものである。(4月9日)
Independent
庶民の生活から乖離した首相
サッチャー元首相のすさまじいまでの信念は当初こそ強みであったが、やがてその妥協を許さない姿勢は弱さとなった。食料雑貨店を営む家庭で生まれ育ち、男性社会の中を生き抜く女性として体験した困難を通じて、彼女は何が世の人々を動かしているかを学んだ。しかし、やがて自身の権力の基盤である選挙区からも彼女は遊離していく。人頭税の導入に際して起きた暴動は、彼女がそれまでその利益を擁護していた庶民の生活から乖離したことを証明したのである。(4月9日)
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