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Tue, 19 November 2024

知って楽しい建築ウンチク
藍谷鋼一郎

ヒッグス教授のノーベル物理学賞受賞

The Times
今はまだ実用性がないとしても

ヒッグス氏の研究が実生活に応用される日がいつか来るとしても、それは遠い未来であろう。だが相対性理論を唱えたとき、アイ ンシュタインはGPS技術へ応用されるなど思いもしなかった。さらにはマクスウェルが電磁気学の方程式を導き出したとき、ラジオ・通信技術に応用できるとは夢にも思わなかっただろう。1964年に提唱した自身の理論を通じて、ヒッグス氏は科学本来の目的は宇宙についての理解を高めることにあると示してみせたのだ。(10月9日)


The Daily Telegraph
姿をくらますのが上手い

ノーベル賞の受賞が決定した際に、メディアの過熱取材から逃れようと携帯電話も持たずに旅行へ出掛けてしまうのがいかにもヒッグス氏らしい。そしてメディア対応の機会は、カメラに向かって穏やかなポーズを取ってみせた共同受賞者のフランソワ・アングレール氏に譲ったのである。ヒッグス粒子は、欧州合同原子核研究所の加速器で陽子同士を衝突させることで2012年にやっと発見できた。そんなヒッグス粒子と同じくらい、ヒッグス氏は姿をくらますのが上手い。(10月8日)


The Independent
ノーベル賞受賞に相応しい

初心者にとっては、ヒッグス粒子やヒッグス機構という単語が意味するところを理解するのは容易ではない。しかし、ヒッグス粒子 がなければ宇宙が存在し得ないという点は理解できるのではないか。ヒッグス粒子が発見されるまでは、現代素粒子物理学の根幹を成す標準理論に空白が存在していたのである。ヒッグス教授と共同研究者たちのお陰でその空白は埋まった。この宇宙の混乱に秩序をもたらしたヒッグス教授は、やはりノーベル賞受賞に相応しい。(10月8日)

 

藍谷鋼一郎:九州大学大学院特任准教授、建築家。1968年徳島県生まれ。九州大学卒、バージニア工科大学大学院修了。ボストンのTDG, Skidmore, Owings & Merrill, LLP(SOM)のサンフランシスコ事務所及びロンドン事務所で勤務後、13年ぶりに日本に帰国。写真撮影を趣味とし、世界中の街や建築物を記録し、新聞・雑誌に寄稿している。
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