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Tue, 19 November 2024

知って楽しい建築ウンチク
藍谷鋼一郎

原子力発電所の新設

The Financial times
費用と環境どちらを選ぶか

新規原発を建設しなければ停電に陥るというが、それは英国が二酸化炭素排出量を削減しようとそのほかの発電方法を選択肢から除外したためである。新規原発建設にかかる費用が明らかになった今、政策立案者たちは改めて二酸化炭素排出量の削減目標を維持する意味を説明しなければならない。もしそれができないのであれば、方針を変更すべきだ。今さら方針を変換するのがみっともないというだけで、英国は支払い不可能な借金を背負ってはならない。(10月22日)


The Times
原発は圧倒的に安全な技術

原発は、二酸化炭素の排出規制に適応する発電技術としては最も安価なものである。福島第1原子力発電所での事故直後にドイツが原発撤退を決定した例が象徴するように、原発に対して世論は移り気な一方で、参加企業は長期的に資本を投下することになるのだから、政府による保証は必要だ。しかも原発とは厳しく規制された、圧倒的な安全性を誇る技術である。新規原発建設は良きニュースであり、むしろもっと早いタイミングで進めるべき計画だった。(10月22日)


The Guardian
税金の無駄遣いの意義とは

デイビー・エネルギー気候変動相は、新規原発が発電する電力を価格保証することで結果的に総費用は安くなると主張する。しかし実際には政府がお金を調達し、ヒンクリー・ポイント発電所自体を再建した方が安い。また「民間企業の方が優秀」というのが売り文句のようだが、価格や安全規制などで世界中のすべての原発建設には政府が関わっている。フランスと中国が保有する民間企業への委託を通じて発生する税金の無駄遣いの意義が判明するのは数十年後だろう。(10月22日)

 

藍谷鋼一郎:九州大学大学院特任准教授、建築家。1968年徳島県生まれ。九州大学卒、バージニア工科大学大学院修了。ボストンのTDG, Skidmore, Owings & Merrill, LLP(SOM)のサンフランシスコ事務所及びロンドン事務所で勤務後、13年ぶりに日本に帰国。写真撮影を趣味とし、世界中の街や建築物を記録し、新聞・雑誌に寄稿している。
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