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5歳からお酒を飲んでいいって本当?
ロックダウンの規制が緩和されて以降、友人たちとの久しぶりの再会が続きました。その中に、友人トムの娘、ルビーがいました。ルビーと前回会ったのは確か10年前。当時は幼児だったのが、すらりと背が高く、見違えるほど大人びた女性になっていました。夕食の時間になって、飲み物は何がいいかを聞いたとき、「もしサイダーがあれば、それをください」とルビーは言いました。
サイダーとは、日本でいうシードルのこと。リンゴから作られたアルコールです。「あ、そっか、英国ではもうお酒飲んでもいい年齢なんだっけ!」。英国の飲酒年齢についてすっかり忘れていた私は聞きました。というのもルビーはまだ15歳なのです。
「そういえば、パブやレストランでも親と一緒ならお酒飲んでいいんだよね? それは何歳から?」「家では何歳から飲んでいいんだっけ?」英国ではずいぶん若いうちからお酒が飲めるということを思い出した私は、矢継ぎ早に質問してしまいました。私の好奇心の強さにルビーはちょっと苦笑いしながら、「食事と一緒にならレストランとかで、ビールかサイダーかワインなら16歳から飲めるはずです。でも大人と一緒じゃないとダメだけど」と教えてくれました。家で何歳から飲めるかは学校で教わったけど、はっきり覚えていないと言うので、ルビーの両親や夫にも質問してみました。でも、誰も正確な年齢を知りません。結局、その場でトムがオンラインでリサーチ。すると、なんと英国政府のウェブサイトには「5歳未満の子どもにアルコールを与えるのは違法」と出ています。「ということは5歳以上なら家でお酒飲んでもいいの!?」私が大声をあげてしまったのも無理ないと思いませんか?
英国でアルコールを購入できる年齢は18歳からで、それ未満の人がパブやレストランで自分でお酒を買って飲むのは禁止(ただし親同伴の16、17歳の子どもは食事の際の飲酒は許可されています)。また自分で買うのが違法なだけでなく、18歳未満の子どもにアルコールを売ったり買ってあげたりした場合には、それも違法行為です。そのため、お店側の警戒も厳しく、容姿が若く見られがちな日本人は、30~40代でもお店やパブで身分証明書を求められる人も少なくありません。
日本では民法改正により2022年から成年年齢が18歳に引下げられるとのことですが、飲酒解禁に関しては20歳のままだそうです。とはいえ、日本でも、冠婚葬祭時や家族に勧められての飲酒経験がある中高生は(小学生も)少なからずいるというデータもあるよう。となると、英国と日本、どちらの規制が厳しいかの判断はつきかねますね。