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Sun, 24 November 2024

英国の紅葉をもっと楽しもう

長い冬を前にして、英国の秋は駆け足で過ぎていきます。気候が違うため日本と同じような色彩は望めませんが、それでも秋らしい美しい紅葉をゆっくり散策しながら楽しめるのは、雄大な自然公園が多い英国ならではの醍醐味。木々の香りやマイナス・イオンが満ちた素敵な場所で、しばし日常を離れ、あなただけの「秋」を見つけてみませんか。(うまごえ尚子)

最終更新日:24 October 2022

イロハモミジを堪能しよう
Westonbirt ウェストンバート

ウェストンバート

ヨーロッパの紅葉は、日本に比べて色のグラデーションが楽しめないとよく言われます。たしかに黄色く色づく樹が多く、燃えるような赤を見かけることは少ないようです。でも、ウェストンバートは別格。世界的にも紅葉で有名なこの植物園は、美しい田園風景とかわいらしい街並みが広がるコッツウォルズ地方のテットベリーの南にあり、年間35万人が訪れます。その人気の理由は、すばらしい樹々のコレクションにあります。

19世紀中ごろに貴族のロバート・ステイナー・ホルフォードによって創設されたこの植物園は、息子のサー・ジョージに引き継がれ、次第にその敷地は広がり、1956年には森林委員会に引き継がれました。彼ら親子は初めての植樹の時、秋の色をテーマに樹を選んだのですが、その中にジャパニーズ・メイプル(イロハモミジ)が含まれていました。これが有名なナショナル・ジャパニーズ・メイプル・コレクションの始まりです。2人の植樹技術とデザイン・センスは大変素晴らしく、優れた樹の種を集め、それを繰り返し育てることでさらに品質を向上させ、その中から最高の樹を1番適切な場所に植樹することで植物園を造り上げました。それだけに、ここの樹々の美しさは賞賛に値するものがあるのです。まさに2人の植物への愛情の結晶と言えます。

そして近年脚光を浴びているのは、ロータリー・グレード。植物園とロータリー・クラブ・オブ・サウス・コッツウォルドが共同で始めたこの活動は、2005年の同クラブの100周年を記念したもので、今後10年間で、世界最高のメイプル・コレクションを作ることを目的としています。この特別な区域のデザインは秀逸で、ゆったりと配置された小道を美しい樹々を眺めながら歩くことで、心も体もリフレッシュできるように設計されています。時にはウサギ、鹿などに会う素敵なハプニングも起こるとか。ウェストンバートならではの美しい日本の紅葉と時間を、ぜひ楽しんでください。

ウェストンバート

見どころ


樹々が最も美しく色づき始める季節であり、11月中旬までは見事な紅葉を楽しむことができます。そのカラー・バリエーションは、黄、橙、赤、赤紫と実に多様で、特にナショナル・ジャパニーズ・メイプル・コレクションの独特の響きあう色彩の妙をじっくりと堪能できます。1年を通じてイベントも多いので、家族でもカップルでも楽しめます。植物センターの在庫も豊富ですから、あなただけのガーデンを自宅で作ることも可能です。メイプルズ・レストランでは、屋内とオープン・エアーの好きな場所で、美しい自然に囲まれながら食事を楽しめますし、結婚式や会議のための施設も充実しています。
住所 The National Arboretum, Tetbury, Gloucestershire GL8 8QS
TEL 0300 067 4890
開園時間 9:00~17:00(要事前予約)
入園料 季節によって入場料は異なります(5歳未満無料)
行き方 車で:M5に乗り、Junction13からA419(Stroud方面へ)。A46へ入り、Tetbury方面のA4135へ。Tetburyに入ったらA433へ。Doughtonを過ぎて約5キロ
website www.forestry.gov.uk/westonbirt

英国で日本庭園を愛でる
Giggle Alley ギグル・アレー

ギグル・アレー

カンブリア州の西にある英国で2番目に高い山、スコ-フェルの麓にある、かわいらしくて不思議な魅力のある小さな森、それがギグル・アレーです。ここには実は日本庭園がひっそりとたたずんでおり、訪れる人々をその魅力でとりこにしています。この日本庭園は、貴族のリーに委託されたトーマス・マーソンズと彼のデザイン・グループが1914年に設計しました。中心には池が点在し、その周りを美しい竹、マグノリア、カエデが囲んでいます。注目したいのは大きなカエデ。秋になると燃えるような赤に紅葉し、その美しさには目を見張るものがあります。小道を緋毛氈(ひもうせん)のように艶やかな色で彩るもみじや、カラー・バリエーションを誇る樹々に囲まれて散策していると、「紅葉狩り」という和語を、久しぶりに思い出すことでしょう。

現在公園は森林協会と地方団体に所属するボランティアの方々によって管理されており、1年を通じて無休で訪れる人々を温かく迎え入れています。また、ここには近年数が減少している希少動物である英国原産の赤リス、ノロ(鹿の一種)、アナグマなどが生息しており、スタッフはこれらの種の保存にも尽力しています。穏やかな丘がなだらかに続く地形なので、小さい子供連れや年配の方々の散歩にも適してい ます。

見どころ


日本庭園が色づき始めます。赤、オレンジ、ゴールドに煌めくカエデが池に映る美しい風景を堪能してください。早朝のバードウォッチングを始め、ウォーキング、自然観察など、子供から年配の方々までが楽しめるさまざまなアクティビティーを用意しています。レストランでは地元料理を味わうこともできます。
住所 Giggle Alley, Eskdale Green, Cumbria
TEL 01768 778 469
開園時間 常時
行き方 車で:A595からEskdale Green方面へ。
Eskdale Green Park内の郵便局100メートル東に駐車場あり
電車で:最寄駅Ravenglass(駅から西へ約1キロ)
website https://www.facebook.com/GiggleAlley

針葉樹に癒されよう
Bedgebury National Pinetum and Forest
ベッジベリー国立松栽培園

ベッジベリー国立松栽培園

国立針葉樹コレクションとしてベッジベリー国立松栽培園が創設されたのは1925年。その後、今日に至るまで世界でも有数の松栽培園として知られています。広大な敷地には世界中から集めた1万本以上の針葉樹が茂っており、貴重種や絶滅しかけている種も数多くあります。

針葉樹の生育には澄んだ空気が必要とされるため、大気汚染が進むロンドン近郊やキュー・ガーデンなどでの栽培は難しく、栽培園として清澄な空気と水が豊富な湿地帯であるベッジベリーが選ばれました。1919年に当地が購入され、1925年と1926年にキュー・ガーデンで育てられた樹が古くからの樹々と共生させるべく植樹されたのです。この園に最も貢献したのは、ウィリアム・デイリームーアです。キュー・ ガーデンを1936年に退職した後も、彼のたゆまない努力は続けられました。適切な樹を地形を活かしながらバランスよく配置する腕は、まさに天才的でした。そのおかげで、わたしたちは今、素晴らしい樹々の色のハーモニーと景観との見事な調和を堪能することができるのです。

さらにこの園では、様々なアクティビティーを楽しむこともできます。サイクリングやマウンテン・バイクでのツーリングを禁止している植物園が多い中で、ここは異色の存在です。針葉樹というと落葉・黄葉しないというイメージがありますが、ここでは見事に紅葉した樹と深い緑のままの針葉樹の美しいコントラストを楽しむことができます。

ベッジベリー国立松栽培園

見どころ


美しい色彩のコンビネーションが沼地に映える光景を楽しめます。針葉樹が生育する地域にしか見られない様々なきのこを発見することができるのもこの時期です。針葉樹ときのこは、お互いに依存しながら育っています(採取はお控えください)。そんな生命の不思議な繋がりを身近に感じてみてください。
住所 Goudhurst Cranbrook, Kent TN17 2SJ
TEL 01580 879820
開園時間 8:00~ ※閉園時間は季節により異なる
(公式サイトの情報をご確認ください)
行き方 車で:M25に乗り、Junction 5でA21へ入りHastings方面へ。B2079へ入り、Flimwell の手前。
website www.forestry.gov.uk/bedgebury

ロンドンで見つける私だけの秋

出かける時間と余裕がなくても、あなただけの秋は見つけられます。いつもの通勤時や通学路からちょこっと寄り道するだけで、そこには素敵な紅葉との出会いが……。

都会のオアシスで優雅なひととき
The Regent's Park 
リージェンツ・パーク

410エーカーにも及ぶロンドン最大のこの王立公園は、ロンドナーの自慢。1811年に、後のジョージ4世であるリージェント皇太子が、都市計画の一環として、もともと狩猟場だった場所を建築家ジョン・ナッシュに公園に改造させた。バラ園や人造湖が有名だが、オープン・エア・テラスやロンドン・ズー、レストランなど、さまざまな施設が充実している。

開園時間 05:00 - 17:00 ※閉園時間は季節により異なる
(公式サイトの情報をご確認ください)
最寄り駅 Baker Street、Regent's Park、Great Portland Street、St John's Wood、Camden Town
website www.royalparks.org.uk/parks/the-regents-park

ダイアナ妃と紅葉のコラボ?!
Hyde Park 
ハイド・パーク

4000本もの木々が350エーカーの敷地に生育するこの場所は、ロンドンのど真ん中。ヘンリー8世がウエストミンスター寺院から1536年に取得したのが始まりだ。公園の一角には2004年7月6日に故ダイアナ妃を偲ぶモニュメント、ダイアナ・プリンセス・オブ・ウェールズ・メモリアル・ファウンテンがお目見え。この場所の黄葉はとくに人気が高く、秋の日差しと紅葉を楽しむ人が多い。

開園時間 05:00 - 00:00 ※閉園時間は季節により異なる
(公式サイトの情報をご確認ください)
最寄り駅 Lancaster Gate、Marble Arch、Hyde Park Corner、Knightsbridge
website www.royalparks.org.uk/parks/hyde-park

世界で最も有名な植物園
Royal Botanic Gardens, Kew
キュー王立植物園

キュー王立植物園

ロンドン中心部から南西に約10キロ足を伸ばしたところにある王立植物園は、1759年に宮殿併設の庭園としてその歴史が始まった。1840年には国立植物園となり、改修を重ね、現在の300エーカーの広さに。2003年にはユネスコ世界遺産にも認定されている。長い歴史を重ねた当園は、世界で最も有名な植物園として700万種以上もの植物を有しており、また、貴重かつ膨大な資料を誇る。平成7年には勅使門の修復と日本庭園の築造が日本の協力によって行われ、文化交流に役立っている。

開園時間 10:00~ ※閉園時間は季節により異なる
(公式サイトの情報をご確認ください)
最寄り駅 Kew Gardens
TEL 020 8332 5655
website www.kew.org

宮殿を遠景に紅葉狩り
St. James's Park 
セント・ジェームズ・パーク

セント・ジェームズ・パーク

ウエストミンスター、セント・ジェームス、バッキンガムと3つの宮殿に囲まれたロンドン最古の公園は、1532年にヘンリー8世によって買い取られた歴史を持つ。もともと沼地だったため、アヒルや鴨の楽園としてだけでなく、昆虫や鳥が多いことでも知られている。映画の撮影も多く、最近封切られたウッディ・アレンの「マッチ・ポイント」も、ここがロケ地。黄色く染まった公園は、映画鑑賞のあとの散歩にうってつけかも。

開園時間 05:00 - 24:00 ※閉園時間は季節により異なる
(公式サイトの情報をご確認ください)
最寄り駅 St James's Park、Westminster、Green Park、Victoria
website www.royalparks.org.uk/parks/st-jamess-park

英国ならではのプラント・ガイド

英国暮らしをしていて気付くのは、自然や植物が実に忠実に気候や緯度に支配されているという事実です。たとえば街路樹や公園の樹々も、日本とは微妙に違っていることに気付いていましたか。身近な樹々の種類の違いは、人々の歴史の違いをも物語ります。建物や家具、彫刻などの素材が違えば、当然ながら表現方法や作り出される創作物も異なり、それが文化の違いへと発展するのです。ここでは、英国やヨーロッパで多く見かける樹々を紹介します。あなたの通勤路や身近な公園で見かけたら、是非その樹々の後ろにひっそりとたたずむ歴史や背景に思いを寄せてみてください。

Oak オーク

oak

ブナ科コナラ属の樹の落葉性のものの総称。
和名: カシまたはナラ

オークというよりも、どんぐりの樹といったほうがお馴染みかも。英国を代表するこの樹は、多くの公園で見かけることができる。切り込みが特徴的な葉の形と、深い縦溝のある樹皮が目印の針葉樹。200~400年の樹齢のものが多く、1000年以上の樹齢を誇るものもある。堅くて重い素材が重宝され、昔から船舶、車両、農具、家具などに使われてきた歴史を持ち、とくにアンティーク家具にはこの素材を使ったものが多い。ロンドン郊外のオークス競馬場は、その領地に多くのオー クがあり、地名をオークスと名づけられたことに由来する。

Beech ビーチ

Beech

ブナ科ブナ属
和名: ブナ

温帯域に多く生息する落葉広葉樹。灰褐色のなめらかな樹皮と先端が少しとがった卵型の葉が特徴で、大きいものは30メートルにまで達する。実は三角形で食用に用いられる。ヨーロッパでは森の女王様と呼ばれ、昔から親しまれてきた。英国では3000年ほど前から生息していたと言われ、多くの場所で見かけることができるが、特にコッツウォルズ地方に多い。落葉時には美しい赤茶色に紅葉する。乾燥に弱いため、針葉樹と比べて利用しにくいと言われてきたが、近年人口乾燥法が発達したため、新たに木工家具の素材として注目されている。ちなみに英国王室御用達のハンガーは、RUSSEL社製で、ブナ材が使われている。

Birch バーチ

Birch

カバノキ科カバノキ属
和名: カバノキ

黄葉する落葉広葉樹。北半球の亜寒帯から温帯にかけて多く生息する。高さは10~20メートル、幹は太いもので45センチほどになる。灰白色で薄く紙のようにはがれる樹皮と、2重の切れ込みのある葉が特徴。白樺と言うとピンと来る人も多いのでは。三角形の葉は利尿・浄化作用があるフラボノイドを多く含むため、植物療法に用いられ、近年では化粧品に配合されることも。砂糖の主原料として重宝されてきた反面、花粉のために花粉症に苦しんでいる英国人も多い。ちなみに、世界で始めて花粉症が発見されたのは180年前の英国で、当時は枯草熱と呼ばれ た。ケルト文化では最も神聖視されている樹 のひとつでもある。

Rowan ローワン

Rowan ローワン

バラ科ナナカマド属
和名: ナナカマド

山地帯から亜高山帯に多く生息する落葉広葉樹。高さは7~10メートルになり、灰色がかった暗褐色の樹皮と、表面は緑で裏が薄緑の葉が特徴。葉の形はバラ科に属すことからもわかるように、バラの葉に似ており、とがった卵形で周辺にぎざぎざがある。実は球状で赤く熟し、秋には赤く紅葉する葉と共に、樹全体が真っ赤に美しく染まる。日本名のナナカマドは、7回焼いても焼け残るほどに燃えにくいことから名付けられたとされる。英国では家をちらかしたり片付けたりしてくれる妖精の魔法を防ぐのに、ローワンで作った十字架を身につければ良いとされている。

Larch ラーチ

Larch ラーチ

マツ科カラマツ属
和名: カラマツ

北半球の亜寒帯と中緯度の高山に広く分布する落葉針葉樹。高さ20~30メートル、直径60~100センチにまで生育する巨木。松より少し短い尖った針葉を持ち、黄色に紅葉する。公園樹や街路樹として植栽されることが多く、その素材が重くしっかりしているため、古くから建築、土木、船舶材、また枕木として用いられてきた。カラマツ属の学名Larixはヨーロッパカラマツの古代名であり、豊富な樹脂を持つことから、ケルト語のlar(豊富)に由来があるとされる。また、氷河期時代を生き延びた樹としても著名だ。

Small-leaved Lime スモールリーブド・ライム

スモールリーブド・ライム

シナノキ科シナノキ属
和名: シナノキ

日本では冬菩提樹、セイヨウシナノキ、リンデンと呼ばれる樹を指すことが多い。ヨーロッパから中央アジアに分布する落葉広葉樹。高さ20メートルに及び、北半球の温帯で見られる。街路樹や庭園樹として古くから使われてきた。葉は5~10センチで、樹の種類によって長さが異なるが、スペードかあるいは卵型をしている。蜂蜜を採取するための蜜源植物としても知られる。若葉は鮮やかな緑色で、秋には黄葉する。中世ヨーロッパでは「自由」の象徴とされ、シューベルトの歌「リンデンバウム(菩提樹)」としても知られる。葉はハーブティとして親しまれ、幹の繊維はその強度ゆえに、楽器や彫刻、ロープなどに多用されてもきた。

Ash アッシュ

Ash アッシュ

モクセイ科トネリコ属
和名: セイヨウトネリコ

ヨーロッパ南部に主に生息する落葉広葉樹。高さ30メートルにもなるヨーロッパでは最大級の巨木。英国からカフカス地方に分布し、卵型の葉は、夏は明るい緑色だが、秋は美しい黄色になる。堅くて強い性質と、木目がまっすぐなので、建築材、家具材に幅広く利用されてきた。その範囲はステッキ、ラケット、スキー板、自動車のフレームなどにも。公園樹としても親しまれてきたが、近 年は花粉症の原因とされ、多少人気は下がり気味。北欧神話の宇宙樹「イグドラシル(世界樹、生命樹)」とはこの樹のこと。

Black Poplar ブラック・ポプラ

Black Poplar ブラック・ポプラ

ヤナギ科ヤマナラシ属
和名: ポプラ

北半球の温帯に生息する落葉広葉樹。樹形が美しく、風が吹くと葉が触れ合ってサラサラと音を立てるがゆえに、街路樹として昔から人気が高い。葉は広三角形で秋には黄葉する。セイヨウハコヤナギと呼ばれることもあり、北海道大学のポプラ並木はこの樹。綿毛つきの種子が風に飛ばされる時期は、あたり一面が真っ白になる。材質がやわらかいので、マッチの軸木や包装材などに使われてきた。英国では交配が進んだがゆえに、純正のブラック・ポプラは貴重種となっている。強度が高いので、壁のフレームなどに使われてきた。

Field Maple フィールド・メイプル

フィールド・メイプル

カエデ科カエデ属
和名: カエデ

英国では唯一の古くから自生するカエデの一種。10~15メートルぐらいまで成長し、樹齢は50~100年ほど。特徴のある葉は、いわゆるもみじの形で、カナダ国旗のデザインでお馴染みだろう。秋には黄、赤、金茶などに見事に紅葉する。英国では黄葉する樹々が多いので、赤く紅葉するこの樹は貴重な存在。葉は脱落するときにくるくると回りながら落ちるという特徴がある。英国ではカンブリアからダラム地方に多く分布するが、スコットランドやアイルランドではほとんど見かけない。クラフト・ワークやたきぎとして重宝されてきた。

どうして葉っぱは紅葉するの?

秋になって気温が下がり、日照時間が短くなると、樹の水分吸収力が低下します。すると十分な水分が葉まで届かなくなるので、葉と枝の間に離層という組織を作り、水分や栄養分の葉への補給を止めてしまいます。それまでのように葉から水分を発散させ続けると、樹本体が枯れてしまうからです。すると、葉が行なっている光合成によって作られた栄養分が葉に残り、それが緑色の葉緑素(クロロフィル)を破壊して、今まで目立たなかったカロチノイドという黄色い色素が浮かび上がるので、色が変わったように見えるのです。

また、赤くなるのは、葉の中に残った糖分によりアントシアニンという赤い色素が、褐色になるのはフロバフェノの褐色になる色素ができるからです。樹木によって色が違ったり、同じ樹でも部位によっていろいろな色が混ざるのは、それぞれの樹木が持つ栄養素が異なったり、日当たりが違ったりなど、環境の違いや個体差によるものです。また、年によって紅葉の美しさが違うのは、気候が大きく影響するからです。その年の夏に十分な日照があり秋に一気に冷え込むと、葉緑素の分解が急激に進むので、その結果、美しい紅葉が期待できます。朝晩の気温差が激しい地方の紅葉が美しいとされるのはそのためで、京都などはその代表例です。

Last updated: Monday, 24 October 2022 10:25  

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