ゲーム
Game
「ゲームはどう?」と言われたら、「え? 今からゲームして遊ぶの?」って思うのは私だけではないはず。だって、全く同じ単語なのですもの。でも、このコラムで取り上げるのですから、今日のゲームは食べ物です。そのゲームとは、日本でいうジビエのこと(といっても、ジビエはフランス語からきているようですが)。つまり、ハンティングによって捕獲された野生の鳥獣の肉のことです。
日本でもレストランでウサギ肉の料理は食べたことはありましたが、イメージとしては、なんとなく、高級レストランのフランス料理で出てくるもの、という感じでした。ところが、英国ではもっと普通に食卓にのぼっているようなのです。というのも、ある日、ロンドンのバラ・マーケットに出掛けると、ウサギやキジが、まだ毛のついた姿のまま、吊るされてたくさん売られているのです。「こういうのを買って、家で自分で料理する人がいるんだ」と思うと、「やっぱり日本の食文化とは違うんだなー」としみじみ英国に住んでいる実感が湧いてくるようでした。
とはいえ、最近、特に若い世代の間では、ゲームはあまり人気ではないようです。20代の友人は「匂いがきつくてクセがありそう」という理由で、食べたいとは思わないと言っていました。
さて、ゲームと一口に言っても、そのカテゴリーに含まれるものはいろいろで、キジ、ハクチョウ、クジャクといった鳥類から、ウサギ、イノシシ、シカなどの大小合わせた動物たち。それにしても、現代人の私たちからするとハクチョウやクジャクを殺して食べるというのは気が進まない感じです。でも、エリザベス・エアトンの著書「ザ・クッカリー・オブ・イングランド」によれば、かつては、見た目が美しいものは、食べてもおいしいと考えられていたのだとか。また、調理した後、頭をつけ、羽を広げて一緒に盛り付けた豪華な様子が、王族の宴席などではより好まれたのです。
さすがにハクチョウやクジャクは簡単に入手できませんが、鹿肉のヴェニソンは近くのスーパーで買うことができたので、さっそくキャセロールにしてみました。ワインを使ってじっくり煮込めば、肉も軟らかくなるはずだし、臭みも感じないはずだろうと目論んでのことです。ヴェニソンはバラ・マーケットで食べたバーガーや、レストランでステーキを味わったことがありましたが、自分で調理するのは初めて。味わいは当然違うものの、調理の仕方自体は牛肉のキャセロールと同じで大丈夫でした。いつかハクチョウやクジャクを調理するチャンスがあれば、このコラムでレポートしたいと思います。
ヴェニソン・キャセロールの作り方
(2人分)
材料
- ヴェニソン...300g
- 小麦粉...適量
- オリーブ・オイル...大さじ2
- バター...15g
- ベーコン(ストリーキー)...3枚
- マッシュルーム...6個
- ニンジン...2本
- にんにく...2かけ
- エシャロット...4個
- ビーフ・ストック...450ml
- 赤ワイン...200ml
- ジュニパー...5粒
- ベイ・リーフ...2枚
- タイム...5本
- 塩・コショウ...適量
作り方
- 一口大に切ったヴェニソンに小麦粉をまぶしておく。
- フライパンでオリーブ・オイル(大さじ1)とバターを熱し、ベーコン、ニンジン、にんにく、マッシュルーム、エシャロットを炒める。いったん、別の器に取り出す。
- ❷のフライパンにオリーブ・オイルを熱し、ヴェニソンの表面が茶色になるまで炒める。
- キャセロール鍋に❷と❸、残りの材料を全て入れて、170℃に予熱したオーブンに入れ、2時間ほど煮込んで、肉と野菜が軟らかくなっていれば出来上がり。スロー・クッカーを使用しても可。
memo
味見をして、好みで醤油やマーマイトを加えてもおいしいです。クリーミーなマッシュ・ポテトを添えれば、この季節にぴったりのコンフォート・フードになります。