住みたい家はどのタイプ?
住居の種類
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日本では、戸建てか、それともマンションかを大まかに決めてから、部屋の間取りなど詳細を詰めて住まいを決めるプロセスが一般的です。しかし英国では、一見すると一つの家に見えて実は内部で隣家と仕切られているなど、戸建てにもさまざまな様式があり、その家事情は日本と大きく異なります。そうした違いは、「デタッチト・ハウス」や「スタジオ・フラット」といった日本人にはあまりなじみのない呼称に反映されています。住宅のスタイルは実にさまざまなのですが、メジャーな住宅様式を事前に知っておくだけで、不動産会社で相談するときもスムーズです。
ちなみに新築を好む日本人と異なり、英国では今も残る昔の建物=火災に負けない堅牢な建物という認識なので、英国人には古い建物のほうが人気のようです。
デタッチト・ハウス

「分離された家」という直訳が示唆する通り、正真正銘の一戸建て。深刻な住宅難に陥っているロンドン中心部では希少ですが、郊外ではよく見掛けるタイプの住居です。家族で広々と住むのに適していて、玄関前と裏に庭があるのが一般的。
セミデタッチト・ハウス

英国でよく見掛ける1棟2軒式の住宅。一戸建てに見えて、実は2つの異なる家が隣り合わせとなった状態になっています。それぞれの家は中央を境として区切られていて、互いに行き来できません。玄関もそれぞれに設置されています。
パーパスビルト・フラット

日本語の「マンション」に相当する集合住宅。ロンドンにある新築の住居はこの形式が非常に多いです。管理人が常駐している場合もあり、海外暮らしの不安要素の一つとなる防犯への対策には最適。プールやサウナ付設の物件もあります。
スタジオ・フラット

いわゆる「ワンルーム・マンション」を意味します。ベッドルームと居間が仕切られていないので、実際の大きさよりも広々とした空間に感じられるでしょう。通常はキッチンは別ですが、最近ではオープン・キッチンも増えているようです。
入念なチェックが後のトラブルを防ぐコツ
インベントリー・チェック
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日本での引越しは、何もない空の部屋へ引越す、つまり家具や備品などを自分で持ち込むことを意味していますが、英国の住宅ではすでに家具が備え付けられているケースが多いです。家具付きの部屋を「ファーニッシュト」(Furnished)、何もない部屋を「アンファーニッシュト」(Unfurnished)と呼び分けています。備え付けの家具などの備品や建物のコンディションを記したのが「インベントリー・リスト」です。内容は、家具の有無など基本的なことから、窓枠の腐食やテーブルの焦げなど多岐にわたり、庭がある場合はその詳細も含まれます。このリストと照らし合わせながら備品の確認を行う作業が「インベントリー・チェック」です。
必要に応じて備品補充やリスト修正
インベントリー・リストは、入居時に手渡されるか、あるいは後日郵送され、退出時にはそれを基に大家または不動産会社と一緒にインベントリー・チェックを行います。このときインベントリー・リストに記されたとおりに原状回復がなされていないと判断された場合には、敷金から修理費が引かれてしまうことになります。このため、入居時にもらったインベントリー・リストの記述と実態が異なる場合は、備品の補充や修復をしなければなりません。家具の元の位置や、壁や窓などの破損状態を記録する場合は、入居時に日付が分かる状態で写真を撮影しておくのが良いでしょう。
確認すべきエリア
- 壁・床: 表面のシミ、キズ、ヒビ、へこみ、釘の痕、カビなど
- 窓: 古いシーリング材、剥げたペンキ、窓ガラスのヒビ、窓枠の腐食やカビ
- 家具: ソファや椅子のクッション露出、極端なへこみ、机やテーブル上の焦げやシミ、グラグラした椅子の足
- キャビネット・ワードローブ: 変形、ドアの開閉、蝶番
- カーペット・カーテン: シミ、煙草の跡、布地の極端な劣化、変色
- 電気器具: 壊れていないか、ソケット、ヒューズ、 照明のスイッチ
- ガス器具: 壊れていないか、安全か
- 水道: 全ての蛇口から水が出るか、水漏れ、水の質(色など)、排水はスムーズか、ライムスケールやサビ
- セントラル・ヒーティング・給湯: 問題なく作動するかカビ、古びたグラウト材
- 流し台・風呂桶: ヒビやタイルの欠け、カビ、古びたグラウト材
- ドアや窓の鍵: 蝶番、ドア・ストッパー、施錠がスムーズか
- 外壁: ヒビ、漆喰の欠損や分離
- 屋根: 瓦やタイルの欠け、変形、梁の腐食
- 雨どい: 詰まり、腐食、穴など
意外と大きな出費になりうる
カウンシル・タックス
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住む地域や建物により支払う金額が異なる
カウンシル・タックスとは、日本で言う地方税のこと。家賃や光熱費など住宅にまつわる定期的な出費の一つです。料金は地域によって異なり、ロンドンは32のカウンシル(区)とシティ・オブ・ロンドンがありますが、それぞれで独自に金額を設定しています。自分のカウンシルがどこに該当するかは、ここから確認できます
該当カウンシルを検索できるサイト
www.gov.uk/find-local-council
また、カウンシル・タックスは地域による括りだけでなく、住宅の資産価値によってさらに細分化される点も留意すべきポイントです。建物はバンドA~Hと8段階評価となっていますが、自分の住まいがどのバンドに相当するかも各カウンシルのサイトで調べることができます。
さて、このタックスは全ての貸借人が支払わなければいけないのでしょうか。答えはノーで、フルタイムの学生は無料、単身者は25パーセントの割引が適用されるなど、意外と柔軟なシステムです。しかし規定がいろいろと細かいため、カウンシル・タックスの料金について不安な点がある場合は、住宅を管轄しているカウンシルに直接問い合わせするのが安心です。
選べる支払い方法
注意したいのは、カウンシル・タックスが住宅の賃貸契約時に大家が提示した家賃に含まれていない可能性があり、その場合は各自でカウンシルに支払わなければならない点です。代表的なものだと、カウンシルのサイトにある「ペイメント」のページで行うオンラインによる支払い、ダイレクト・デビットで月々の自動引き落とし、ガソリンスタンドなどの指定のペイポイントや電話による支払いなどがあります。