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Tue, 19 November 2024

知って楽しい建築ウンチク
藍谷鋼一郎

ユーロ圏諸国のギリシャ支援策


The TimesThe Times
ギリシャはユーロに不適だった

Greece was unsuited to the euro

そもそも、ギリシャはユーロ圏に適していなかったのだ。コスト高の北欧と競合するために、ギリシャは過去10年間で生産性を上げ、財政収支を黒字にしておくべきだった。ところが、資金調達コストが割安であったこの時期に同国は借金を重ね、その借金を返済できなくなったのである。ユーロ圏から脱退することでギリシャの財政危機が解決されるわけではないが、ユーロ圏に留まれば解決されるという問題でもない。解決策が見つからなければ、経済危機はさらに広まるだろう。(2月22日)


The GuardianThe guardian
上手くはいくまい

It won’t work

夜明けまで続いた会議を終えたユーロ圏の首脳たちは、今回の救済案を持って、ギリシャに正しい道筋を与えるための包括的な設計図を描くことに成功したと喜びの声を上げていた。だが、その中身を見てみれば、当座しのぎの案に過ぎないことは明らかである。新たに1300億ユーロの追加支援が決まり、ギリシャ国債の利子の支払い額を減額するといった点が主な内容だが、上手くはいくまい。財務相会合に参加した首脳たちが覚えた達成感とは、まさしく幻想だったのである。(2月21日)


The IndependentThe Independent
時間稼ぎは悪いことではない

Buying time is no bad thing

今求められているのは、今回決定した追加支援によってギリシャを救済できるか否かではなく、追加支援によって稼いだ時間をどれだけ有効に使えるかを考えることである。欧州の経済危機の解決に向けた長期的な対策を講じるには、一定の時間を要する。その意味で、時間稼ぎは悪いことではない。経済成長なくしては、たとえ緊縮財政を敷いたとしても、負債を返済することはできない。欧州に必要とされているのは、戦後に米国が実施した欧州復興計画のような支出計画である。(2月22日)

 

藍谷鋼一郎:九州大学大学院特任准教授、建築家。1968年徳島県生まれ。九州大学卒、バージニア工科大学大学院修了。ボストンのTDG, Skidmore, Owings & Merrill, LLP(SOM)のサンフランシスコ事務所及びロンドン事務所で勤務後、13年ぶりに日本に帰国。写真撮影を趣味とし、世界中の街や建築物を記録し、新聞・雑誌に寄稿している。
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