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Thu, 21 November 2024

Life at the Royal Ballet バレエの細道 - 小林ひかる

第9回 日本 vs 英国

3 February 2011 vol.1286

日本の食事 細やかな気配りが行き届いた日本の食事

1月現在、仕事のため、12年ぶりに冬の日本に帰って来ています。いつも帰るたびに英国と日本を比べてしまうので、今回はそのことについてお話ししようと思います。

まずは気候です。

夏は毎年のように帰っていたので、きっと冬も夏のように湿気が多く、じめじめしているのだろうと予測していた私でしたが、全くその反対。カラカラで空気がピーンと張りつめており、のどがガサガサになってしまうほど!

また、年末、厳しい寒さが続いたロンドンから東京に来た私は、暖冬に胸を撫で下ろしていたのもつかの間、2日後には東京も寒波。まるで私がロンドンから担いで来たみたいです……。

東京で目についた光景と言えば、街を歩いている人の半数がマスクを着用している姿。インフルエンザが流行っているせいもあるのかもしれませんが、日本人の他人に対する気遣い、配慮は素晴らしい! と感動してしまいました。ロンドンでは絶対に見られない光景です。これをロンドンでやったら、かえって皆に変な目で見られるのだろうなと考えた私でした。

それとは逆に日本でいつも気になってしまうのが、自動ドアが多いせいでしょうか、建物のドアを開けると次に通る人のためにそのドアを支えておくという習慣がないこと。ヨーロッパでは、それは常識。支えておかないと、何て非常識な人だと思われてしまいます。目の前でドアがバタンと閉まると、一体、日本人の繊細な気遣いはどこにいってしまったのかと、ショックを受けてしまいます。

そしていつも本当に驚くのが、日本の食文化の奥深さ。

何と食べ物が豊富なことか。デパートの食品街、マーケットにしても、数えきれない程の種類のメーカーの食品で埋め尽くされているので、これで儲かっているのだろうかと疑いたくなります。お弁当一つにしても、繊細で手が込んでおり、ロンドンに輸入したくなるような品物ばかり。そしておいしくてお手頃!

レストランも、お手頃価格のお店でもとってもおいしく、質から味までロンドンでは考えられないような高いレベルの食事を提供しているお店が山ほどあります。ロンドンでは、ある程度の味を求めるならば、それ以上の金額を払わなければなりません。英国人の味覚が優れていないのは、そのせいなのでしょうか。 盛りつけにしても、日本食は何と美しいこと!四季を大事にする日本人の感性が見受けられます。

一つ難点は、品物の包装に必要以上の紙や箱が使われていること。まるでロシアのマトリョーシカ人形のよう。近年、英国では資源の節約に力を入れているため、最小限に押さえられたパッケージが目につきます。

このように色々と比べてみると文化の違い、生活習慣の違いなどが見えてきて、とても面白く感じられます。

そしてそれはバレエの世界にも言えること。今回、日本で初めての全幕もの作品に主演することになり、緊張が高まっているところです。

そのお話は、また次回……。

 

小林ひかる
東京都出身。3歳でバレエを始める。15歳でパリ、オペラ座バレエ学校に留学。チューリッヒ・バレエ団、オランダ国立バレエ団を経て、2003年から英国ロイヤル・バレエ団に入団。09年ファースト・ソリストに昇進した。
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