ニュースダイジェストのグリーティング・カード
Fri, 22 November 2024

オープンハウス 9月19日&20日 OPEN HOUSE LONDON 2015

www.openhouselondon.org.uk

初秋を飾るイベントとして、毎年人気のオープン・ハウス・ロンドン。心地良い生活環境づくりに貢献する建築は、使って快適、見て美的でなければならない。土地の個性をうまく取り込み、人々のニーズを深く考察し、効率的に体現。それはときに古いものを生かす知恵や工夫であり、日々刷新する技術の実行でもある。都市生活を支える「ロンドンの骨組み」を体感できる週末、建築を巡る一日はいかが? (文: 山内ミキ)

※今回取り上げた場所はすべて先着順で入場、混雑状況により屋外で並ぶ場合あり

行ってビックリ!アートなハウス編

アート・インスタレーションや芸術活動が娯楽、はては観光資源として幅広く認知されるロンドン。既存の設備をうまく利用した、想像力豊かな試みが花開く。建築物という大掛かりな題材に果敢に挑戦するアーティストたち。それらを具現化する都市の懐も広くて驚かされる。

デザイナーの頭の中を拝見
House of Antoni & Alison

House of Antoni & Alison

エッジーで茶目っ気のあるデザインが長年人気のファッション・ブランド、アントニ&アリソンの本拠地は4階建てのジョージア朝スタイル。建物にぞっこん惚れ込んだという2人組が、10年かけて内部を改造した。オフィス&スタジオでありながら、家にいるような居心地の良さを目指したそうだ。廃屋同然だった建物だが、インテリアには再利用品を活用。デパートの改装時にゴミとして出た50年代の照明や、ビートルズのメンバーが楽屋で座った椅子なんていうものもある。彼らのユーモア・センスが見え隠れするアートのディスプレーも魅力的で、クリエイティブな彼らの頭の中身をのぞく絶好のチャンス。当日はチャリティー目的のティー・ルームもオープンする。

9月19日(土)10:00-17:00
定時開催のツアー形式で入場
80 Southwark Bridge Road SE1 0AS
最寄駅: Borough

おらが芸術村はポップでエコ
Village Underground

Village Underground

Village Undergroundジュビリー線の4つの車両と貨物コンテナが、アーティストのスタジオに。石炭が収納されていたビクトリア時代の倉庫は、コンサートや展示が行われるカルチャー・センターに再利用。1848年建設の鉄道高架橋の上下に設けられたアート・ビレッジだ。ロンドン中心部でアーティストが手ごろな値段で利用できる活動拠点として、2007年にオープン。スタジオの電力はすべて風力発電でまかない、階段や床などにもリサイクル品が使われている。ポップで完成度の高い車両のグラフィティだけでも、一見の価値あり。ライブ・イベントが頻繁に行われる煉瓦の倉庫は天井が高く、音響システムも良好。ブランド・プロモーションや結婚式など、一般にもレンタルされている。

9月19日(土)10:00-17:00
54 Holywell Lane EC2A 3PQ
最寄駅: Old Street / Shoreditch High Street

船が彫刻である現実
River Sculpture / Studio (Slice of Reality)

River Sculpture船底の空洞部分までCTスキャンのようにスッパリと切り取られ、船首と船尾がなく真ん中だけが残された船舶。ミレニアム祝祭時に彫刻家リチャード・ウィルソンが作った「住める」アート作品だ。イベントが終わった後に主催者側から撤去申し渡しがあったそうだが、テムズ河上はその管轄外としたアーティストの意思を酌んで残されたのだとか。内部には居住スペースだけでなく、スヌーカー・テーブルもあるというから、何だか住み心地は良さそう。この日は特別に桁 けたばし橋が架かり、船内を見学することが可能。「一片の現実」という名が付けられているこの作品は、ロンドンの繁栄を支えてきた商業船を讃えるためにつくられたとか。スライスされた断面はグリニッジ子午線のほぼ延長線上にあるそうだ。

9月19日(土)10:00-17:00
Thames Path, Meridian Gardens,
nr Drawdock Road,
Blackwall Point, Greenwich SE10 0PH
最寄駅: North Greenwich

住んでみたいなこんな家編

どれだけ足して、どれだけ引くか。再利用や環境保護、そして個人的な嗜好に合わせて建築家が提案する、様々な住居の形。持ち主や用途が変わりながら長い年月を経た家は、トレンドを取り入れてどんどん変化している。 今どきのライフスタイルがしっくりとハマる家づくりだ。

厩(うまや)がディスコに大変身?
Hidden House

Hidden House

元々は厩(うまや)であった家が、グラマラスな4階建てに大変身。地下には広大なリビング・ルームに、ナイトクラブ仕様のダンス・フロア、中庭には池や滝まである。テレビ番組「グランド・デザインズ」でも紹介された。今どきの洒脱な都市生活は、もちろん環境にも留意。太陽光発電や水再利用装置、高気密・高断熱性の壁と床、とすべてにおいてカンペキだ。

9月20日(日)10:00-18:00
解説付きツアーを定時に実施(最終入場は17:45)、入場時は靴を脱ぐこと
39 Russell Garden Mews W14 8EU
最寄駅: Kensington Olympia

楽しいスタイルは大家族式
Style Council

Style Council

英国の公営住宅カウンシル・ハウスの中でも特に歴史の古いこちらは、第一次大戦後に建設されたもの。昨年改築され、竹製のスライド・スクリーンや中吊りの階段、スタイリッシュな出窓などを用いた楽しい家に仕上がった。エアリーな印象が素敵な南向きの大きなリビング、そして「グラニー・リフト」(おばあちゃん用エレベーター)を持つ三世帯住宅になっている。

9月19日(土)10:00-17:00
10:00より30分ごとに解説ツアーを実施(最終入場は16:30)
46 Barnes Avenue SW13 9AB
最寄駅: Hammersmith

限りなく透明に近い家
Skinner-Trevino House

River Sculpture昔ながらのビクトリア様式の家を徹底的に改装、ガラスを多用することで最大限の光を室内にもたらしている。奥に長い建物の中央部に大きな天窓を設け、その真下にはガラスの階段が。暗くなりがちな部分にも自然光が溢れ、階段のプリズム効果が美しい。最上階は高所が苦手な人と小さな子供には不向き、というくらい透明感に溢れた場所だ。

9月19日(土)
10:00-13:00、14:00-16:30
(最終入場は16:00)
67 Santos Road SW18 1NT
最寄駅: East Putney


川と生きる、ロンドン編

豊かな水で都市を潤すテムズ河。人々はその勢いを利用したり制したりしながら、川とともに生きてきた。水路や水流をコントロールするために発生した構造物は時代を反映し、ときには驚異の活躍で産業を支えている。それぞれが語る、水にまつわる物語をたどってみよう。

水上に広がる舞扇
Merchant Square Footbridge

Merchant Square Footbridge縦に細く、割り箸のように分割された床面が一枚ずつゆっくりと持ち上がり、川面のボートに水路を開ける。中心点から水圧駆動で広がりながら上がる橋の動きは、日本の扇子を連想させる。キレの良いデザインと優雅なムーブメントは、動く彫刻と言っていいほど。去年の夏にオープンしたこのパディントン運河の可動橋、当日は開閉を3回予定している。

9月19日(土)13:00-17:00
(橋の開閉予定時間は
14:00、15:30、17:00)
Harbet Road W2 1JS
最寄駅: Edgware Road/Paddington


意気盛んな産業遺産
Kempton Great Engines Trust

Kempton Great Engines Trust

最新技術の建築のみならず、歴史ある構造物の価値を重んじ、維持していくのも英国流。1927年以来、テムズ河の水を汲み上げて市内に供給してきた蒸気式エンジン・ポンプは、高さ19メートル、重さ1000トンのエンジンが2体。そのうち1体が復元されている。一定のリズムでシャフトが上下する様は圧巻。現役のモデルとしては世界最大だ。

9月19日(土)・20日(日)
10:30-16:00(最終入場は15:30)
Kempton Park Water Treatment Works,
Snakey Lane, Hanworth TW13 7ND
最寄駅: Kempton Park

流れを司るテムズの水神
Thames Barrier
& Information Centre

Thames Barrier

黄色い足に銀の殻が、まるで巨大なヤドカリのようなテムズ・バリア。520メートルにわたり、10基の可動式バリアが設けられている。1984年の建設以来、洪水対策の水門閉鎖が行われたのは去年までで175回を数えるという。ロンドンを水害から守り続ける水の下の力持ちだ。その歴史と現在、そして未来を、動くモデル展示や映像で観ることができる。

9月19日(土)・20日(日)10:30-16:30
インフォメーション・センターから入場
1 Unity Way SE18 5NJ
最寄駅: North Greenwich/Charlton

 

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