ニュースダイジェストのグリーティング・カード
Sat, 02 November 2024

OPEN HOUSE LONDON 2013

ジョージアン様式、ヴィクトリアン様式などの歴史的建造物から、SF映画のセットに使われそうなハイテク建築まで個性的な建物が立ち並ぶ街、ロンドン。だが、いざロンドンで暮らし始めると、それらの建物はただ通り過ぎるだけの風景の一部と化してしまう。そんな思いを抱いたことのある人にぜひ体験してほしいのが、一部の例外を除き無料で一般公開される建築物を通して、ロンドンという街の魅力を再発見できる催し「オープン・ハウス・ロンドン」だ。オープン・ハウスで公開される800以上に及ぶ建築物の中から、特にお勧めのものを紹介する。
www.openhouselondon.org.uk

2013年の目玉編

今や毎年恒例の行事となったオープン・ハウスだが、種々の条件が整った年のみ一般客の入場が許可される施設や新築の建物など、その年ならではの言わば目玉となる建築物がいくつか存在する。早朝から長蛇の列を覚悟するか、抽選に当たることを願うか、いずれにしても相応の準備が必要だ。

Battersea Power Station

Battersea Power Station

今年のオープン・ハウスで公開される最大の目玉の一つが、バタシー旧火力発電所。20世紀を代表する建築家ジャイルズ・ギルバート・スコットが設計した、レンガ造りの建物としては欧州最大規模のもので、一時はこの発電所がロンドンにおける電力の2割以上を供給していたという。往年のロック・バンド「ピンク・フロイド」が、アルバムのジャケット写真用に豚の形をした風船を飛ばした撮影地としても有名。今後は小売店、レストラン、住宅、緑空間を含む複合施設へと改築されることが予定されている。オープン・ハウスには初登場、しかも改築前では最後となる一般公開とあって、入場に際しては数時間待ちの行例ができること必至。

9月21日(土)・22日(日)11:00-16:00
Battersea Power Station, London SW8 5BN
最寄駅: Sloane Square / Vauxhall


No 10 Downing Street

No 10 Downing Stree

テレビのニュース番組などで、首相官邸前の様子が映し出される映像を何度となく目にしたことがあるはず。ダウニング・ストリートと呼ばれる通りの10番地にあることから「ナンバー・テン」の通称で知られるこの建物は、275年間にわたって英国の首相の住居として、また首相が女王や外国からの賓客をもてなす夕食会の会場として使用されてきた。普段は内閣閣僚や首相の招待を受けた国民的な英雄などでなければ絶対に入ることができない聖域に足を踏み入れることができる千載一遇の機会をつかめるのは、抽選を勝ち得た者のみ。9月13日の締切日までに、公式ウェブサイト www.openhouselondon.org.uk から申し込みを。当選者のみに通知が来ることになっている。

9月21日(土)11:00 & 14:00
10 Downing Street, London SW1A 2AA
最寄駅: Westminster


The View from the Shard

The View from the Shard西ヨーロッパにおける最も高いビルとして、2012年のオープン時には大きく話題を集め、新しくロンドンの観光名所の一つに仲間入りした高層ビル「ザ・シャード」。イタリアの著名建築家レンゾ・ピアノが設計した高さ310メートルの建物における事実上の最上階となる72階から、ロンドンの眺めを一望することができる。通常ならば入場に際して24.95ポンドという決して安くない料金を払わなければならないが、オープン・ハウスでは特別に無料。ただしこの特典を得られるのは、先に紹介した首相官邸と同じく抽選の当選者のみ。興味のある人は9月13日の締切日までに、公式ウェブサイトから申し込みを。

9月21日(土)・22日(日)8:30
Joiner Street, London SE1 9EX
最寄駅: London Bridge



実はこんなになっていた編

オープン・ハウスで一般公開されるのは観光名所だけではない。普段は秘密のベールに包まれた専門施設や、安全保護のため関係者以外は立ち入り禁止の工事現場までも見学できるのだ。一つひとつの建築物が、ロンドンの街づくりにどのような影響を与えているかを実感するには以下の場所を訪れたい。

Lee Tunnel and Beckton Sludge Power Generator

Lee Tunnel and Beckton Sludge Power Generator

ドックランズ・ライト・レイルウェイの東端近くには、年間3900万トンもの下水を処理するという英国最大の下水処理場がある。ロンドン五輪のオリンピック・パーク周辺を流れるリー川の汚染を防ぐなどの役割を果たしているこの下水処理場は現在、下水汚泥を利用した発電システムを配備するための拡張工事を実施中。この処理場の中を見学できる。

9月21日(土)・22日(日)10:00-16:00
ツアー形式(所要時間は約2時間。最終入場は14:00)
Beckton Sewage Streatment Works, Jenkins Lane, Barking, London IG11 0AD
最寄駅: Gallions Reach


Canary Wharf Crossrail Station Construction Site

Canary Wharf Crossrail Station Construction Site

バークシャー州のメイデンヘッドからエセックス州まで、ロンドン郊外の東西を結ぶ新規鉄道クロスレイルの建設計画が現在進められている。その主要駅の一つであり、2017年に予定している開通に向けて今も工事が継続中のカナリー・ワーフ駅で見学ツアーを開催。ロンドンにおける再開発計画の最先端を目にすることができる。

9月21日(土)10:00-16:00
ツアー形式(所要時間は30分。West India Quay駅 とMarriott Hotel(E14 4ED)の隣にある入口に集合。スカート、ヒール、サンダルなどの着用は不可。最終入場は15:30)
最寄駅: Canary Wharf / West India Quay


The Pumphouse, Pimlico District Heating Undertaking

The Pumphouse

バタシー旧火力発電所がまだ稼働していたころに、ロンドンの大気汚染を防ぐことを目的に、同発電所が排出した熱や熱湯を近隣の住宅地へと供給する施設として建設された。2006年に巨大ボイラーの取り付けを含む改築工事を経た後は、ロンドン中心部ピムリコ地区にある3000以上の住宅、オフィス、学校などへ再生エネルギーを送り込む施設として運営されている。

9月21日(土)・22日(日)10:00-17:00(最終入場は16:30)
Churchill Gardens Road, London SW1V 3JF
最寄駅: Pimlico / Victoria


さすがの建築デザイン編

たとえ建築の分野に特に興味を持っていないという人でも、一風変わった形状を持つ建物には目を奪われてしまうはず。「ガーキン」との愛称を持つ高層ビル「30セント・メリー・アクス」やロンドン市庁舎など見学者が殺到する人気の名所のほかにも、独自の建築デザインを誇る建物はたくさんある。

Suburban Studio

Suburban Studio

ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンの同級生だったという2人の建築家がロンドン郊外に開いた共同事務所。屋根と中庭の地面に木材を利用するなどして、環境に最大限配慮している。「浮かぶ建築事務所」と形容される所以となった、中庭の子供用プールの眺めは見事。敷地内には砂場スペースも設けられるなど、遊び心にあふれた設計になっている。

9月21日(土)・22日(日)13:00-17:00
15:00には建築家の解説付きツアーを実施(最終入場は16:00)
11 Second Avenue, Bush Hill Park, Middlesex EN1 1BT
最寄駅: Bush Hill Park


Maggie’s Centre

Maggie’s Centre

ロイズ・オブ・ロンドンやヒースロー空港のターミナル5などに代表されるハイテク建築で有名な英国人建築家のリチャード・ロジャースが設計を手掛けた、がん患者のための無料施設。屋根と側壁の間に空間を設けることで、自然光が部屋全体に差し込む構造となっている。パーティションで区切った内部のつくりもユニーク。

9月22日(日)12:00-16:00(最終入場は15:30)
Charing Cross Hospital, Fulham Palace Road, London W6 8RF
最寄駅: Hammersmith / Baron’s Court


Tunnelling and Underground Construction Academy

Tunnelling and Underground Construction Academy

欧州で唯一の存在とされる、トンネルの高度な掘削技術を教授する教育機関の校舎。横から見ると直角三角形のような形状をした2階建ての建物は、特殊な技術を指導するに際して必要となる関連施設を内蔵しているだけでなく、それ自体がトンネル構造の模型となるべく設計されているという。まさに機能美を体現したかのような建築物。

9月21日(土)・22日(日)10:00-16:00
(10:30より1時間ごとに建築家の解説付きツアーを実施。最終入場は15:30)
Lugg Approach, Ilford, London E12 5LN
最寄駅: Ilford


 

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