マーマイト
Marmite
黄色いふたとラベルが目印の、コロンと丸い瓶の中に入ったどろりとした真っ黒な液体「マーマイト」。一見すると食べ物とは思えない、コールタールのようなこの液体の正体はといえば、ビールの醸造過程できる副産物の酵母エキスで作られた食品。1902年に英国のバートン・アポン・トレントの小さな工場で作られ始めました。特にビタミンBが豊富ということで人気になり、第一次世界大戦時には、兵士たちの糧食にもなっていたと言います。
「大好きか大嫌いか、好みがはっきり分かれる食べ物」と言われることから想像できるように、かなりクセがありますが、チャレンジ精神の旺盛な方なら、試したことがあるかもしれません。もちろん、私も食べてみましたよ。英国に住みだしてすぐ、トーストに塗って。でも、その時は誰も教えてくれなかったので、パンにバターも塗らず、マーマイトをまるでジャムのようにたっぷりつけて、大失敗。とにかくしょっぱいのと、鍋に焦げ付いたしょうゆを食べたような味がして、一口で降参してしまいました。
結婚してから、トーストにマーマイトを塗って食べようとしている夫の様子を見て、トーストには、バターをたっぷりつけた後、マーマイトはごく薄く塗るのだということを知り、再度、その方法で挑戦してみました。でも、この時もやはりしょっぱさに完敗。以来、すっかり遠ざかっていました。
でも「もう一度だけ」と思ったのは、最近登場したマーマイト・ピーナッツ・バターのおかげです。スーパーで「新発売」と宣伝されていたのをさっそく買ってきて、トーストした天然酵母パンに塗ってみました。確かにマーマイトのしょっぱさは感じるものの、それをピーナッツ・バターが緩和して、これはいける! なんと、トースト2枚目にも手が出るほどでした。
さて、ピーナッツ・バター以外にも、実はマーマイトを使ったコラボ商品がたくさん発売されているのをご存知でしょうか。カシューナッツ、ライス・ケーキ、チェダー・チーズ、クリスプス。近くのスーパーで見つけたマーマイト商品をまとめて買って試食してみたところ……。カシューナッツは、 香ばしさが際立ち、ビールのつまみにぴったりです。ライス・ケーキは、ちょっと苦めのしょうゆせんべいのよう。ほうじ茶との相性は抜群でした。チェダー・チーズは、思ったほどマーマイト味が効いておらず、マーマイト・ファンであれば、チーズに直接マーマイトを塗った方が良さそうです。私が一番気に入ったのはクリスプス。それは、マーマイトの焦がしじょうゆ味にバターを混ぜたような、日本人には懐かしい味に感じました。ビールに合うのは言うまでもありません。
マーマイト・ピーナッツ・バター・スムージーの作り方(1人分)
材料
- マーマイト・ピーナッツ・バター ... 大さじ1
- バナナ(凍らせておく) ... 1本
- ヨーグルト ... 大さじ1
- 牛乳. ... 100ml
- (お好みで)ハチミツ ... 適量
作り方
- 解凍して少し軟らかくなったバナナと、マーマイト・ピーナッツ・バターを小さなボウルに入れてよく混ぜ合わせる。
- ❶と残りの材料を全てスムージー・メーカー(ブレンダー)に入れて、好みの具合になるまでブレンドして出来上がり。
memo
www.marmite.co.ukに紹介されているレシピを何度か試して、自分好みにアレンジを加えてみました。マーマイトを使った料理については、レシピ本が出版されている他、オンライン上にさまざまなレシピが紹介されているので、皆さんもいろいろと試してみてはいかがでしょう。