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Fri, 27 December 2024

知って楽しい建築ウンチク
藍谷鋼一郎

労働党による所得税引き上げ案

The Times
「タイムズ」紙 1月27日

全くもって道理に反する

故サッチャー元首相は、かつて所得税の最高税率を83%から60%へと引き下げた。以後、世界の潮流は経済的自由主義に向けて舵を切り、何億人単位の人々を貧困から脱出させたのである。今さら懲罰的課税を導入するのは全くもって道理に反する。過去に労働党政権が50%の追加税率を導入したことによって、経済全体の成長を抑制したと信じるに足る理由はいくらでもある。英国の経済がいまだ脆弱(ぜいじゃく)な時期に同じことを繰り返せば、破滅的な結果をもたらしかねない。


The Guardian
「ガーディアン」紙 1月26日

サッチャー以後のタブーに着手

追加税率の引き上げ案を歓迎する。その意義はまず、一つに所得税引き上げに言及し、二つに公共サービスのあり方についての議論を深めるという、サッチャー政権以後にはタブー扱いされていた事柄に着手しようとする労働党の新たな姿勢の中に認められる。さらに所得税の引き上げ案は、「痛みを公平に分かち合う」という、ともすれば実態を伴わないものになりかねない掛け声に、いくらかの意味付けを与える効果を生み出すことにもなるであろう。


The Independent
「インディペンデント」紙 1月26日

50%の税率は正当化されない

50%の追加税率を導入するに当たっての真の問題は、労働党のボールズ影の財務相が望むような結果は得られないという点にある。現政府が追加税率を引き下げるに至った理由は、経済的な観点から見れば真っ当なものだった。50%の税率を導入した2年間で、同制度を正当化できるだけの十分な税収を集めることができなかったのだから。健全な経済を運営するための基本的なルールにおいては、可視的にその目的を果たすことができる課税が正当化されるのである。


 

藍谷鋼一郎:九州大学大学院特任准教授、建築家。1968年徳島県生まれ。九州大学卒、バージニア工科大学大学院修了。ボストンのTDG, Skidmore, Owings & Merrill, LLP(SOM)のサンフランシスコ事務所及びロンドン事務所で勤務後、13年ぶりに日本に帰国。写真撮影を趣味とし、世界中の街や建築物を記録し、新聞・雑誌に寄稿している。
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