「ワンッ」、「ワンクゥ」、「ウーワンカーッ」。
まったくこれだけ多様な「wanker」バージョンを聞いたことがない。もちろん、今年の「ビッグ・ブラザー」勝者ピート・ベネットの口から出た言葉だ。ピートは、卑猥な言葉や叫び声などの音声チックと、顔をしかめたり首を振る運動チックのトゥレット症候群を持つ。
13週間続いた今回の「BB」は、「マンネリ」、「人の入れ替えが激しくてややこしすぎ」、「長い」、「下品」、「フリークスの寄せ集め」と、各メディアから集中砲火を浴びたにも関わらず、結果を見ればこれまでの最高平均視聴率を稼ぎ出した。それもこれも「トゥレット」ピートのお陰だ。とにかくシリーズしょっぱなから独走状態で、恐らく7回続いた「BB」で最強の勝者だろう。だって、ビリー・アイドルを思い出させる猿っぽい鼻と口を持つ個性的なルックス、パンクなファッション。で、「トゥレット」だ。かも「BB」女性陣の半数がグラッときたモテぶり。ジェイドやナディア、ニッキーら歴代のキワモノたちと「BBスペシャル」なんてのをやれば当たりそうだ。
ジョナサン・ロスのトーク番組に、「BB」仲間で恋人(だった)ニッキーと出演したピート。質問の最中、冒頭の言葉を連発、奇声を発していたが、さすがはロス。まったく普通に言葉をつないでいた。観客も静かで、クスリともしない。ゲストの1人、コメディアンのリッキー・ジャーベイスはそれを逆手にとって絶妙なタイミングで「ワンカー」と発したが、お笑い的にはアリでも、なんか複雑。病気を笑っちゃいかんのか、テレビだから許されるのか。己の倫理観を問われているようでどうも座りが悪い。
新セレブのピートにとっちゃあ、「困惑するなら金をくれ」かもしれないが。