賞獲りレースの勝者に
映画「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」でゴールデン・グローブにBAFTA、アカデミー主演男優のトリプル受賞の偉業を果たしたダニエル・デイ=ルイス(50)。もじゃもじゃした濃い眉に憂いのある奥釣り目はジェレミー・アイアンズに、それに馬ヅラの輪郭と坊主頭を足せばサッカーのジダンに似ている。
桂冠詩人である老齢の父と女優のユダヤ人母、ドキュメンタリー映画監督、TVシェフ、食ライターなどマルチに活躍をする姉とともに、グリニッジで育ったデイ・ルイス。少年時代は相当のワルだったらしいが、軌道修正して俳優の道を選んだのは正解だった。
重度の脳性小児マヒを演じてオスカーを獲った「マイ・レフト・フット」、長髪の白人酋長役で女性ファンを増やした「ラスト・オブ・モヒカン」、役者を辞めてフィレンツェで靴職人として修行中、スコセッシ監督に請われて再びスクリーンに戻った「ギャング・オブ・ニューヨーク」など、どの作品にも一球入魂、匠の演技に高い評価を受けている(好き嫌いはまた別)。それ故、靴作りというガス抜きが必要だったのだろうか。う~ん、靴……。
私生活では、6年間交際していた美女総本山の女優、イザベル・アジャーニを振って(数カ月後に彼の子を産んだ)、劇作家アーサー・ミラーの娘で脚本家・映画監督・女優のレベッカ・ミラーと結婚、息子2人がいる。
それにしても、彼やアイアンズ、ジュード・ロウ、ヒュー・グラント、レイフ・ファインズといったハリウッドの主役級英国人俳優は、どうしてこうも中流の知性派ヤサ男で占められるのだろう。業界が求めるのか、彼らが演じるとそうなるのか、間違ってもスタローン系は出てこない。