先頃フレンチ・ブランド、クロエのデザイナー、フィービー・フィロ(31)が個人的な理由で辞任したことが、ファッション業界、とりわけ英国で一大ニュースとして取り上げられた。
ロンドン出身のフィロは、セント・マーティン大卒業後の97年、クロエに入社し、当時のデザイナー、ステラ・マッカートニーのアシスタントになる。01年からは彼女の後釜としてクリエイティブ・ディレクターに就任し、年を追うごとにブランドの売り上げを伸ばしてきた。
フィロのクロエ・ブランドは、セレブやファッション愛好家、ハーベイ・ニコルズといった高級デパートからもこぞって賞賛を浴び、どのブランドよりもハイ・ストリート(量産店)でコピーされている。シエナ・ミラーやコリーン・マクローリンらが競って提げていたパディントン・バッグ(£800)や、バレリーナ・パンプス(£200)、模造ダイヤをあしらった緑のシルク・ドレス(£1200)など、彼女がトレンドを左右したといっても過言じゃない。
日本人に馴染みのあるヴィヴィアン・ウエストウッドやポール・スミスらは、今やすっかり大御所で、ここ数年は、フィロをはじめとする若手デザイナーたちの活躍が目立つ英国。東京にも出店したステラ・マッカートニーや、ジバンシーに在籍していたアレクサンダー・マックィーンにジュリアン・マクドナルド、クリスチャン・ディオールのジョン・ガリアーノ、ラクロワの後釜としてエミリオ・プッチのデザイナーに抜擢されたマシュー・ウィリアムソン、ソフィー・アンダートンらがファンのスコット・ヘンシャル、シャーロット・チャーチやレイチェル・スティーブンスがよく着るキリ……。
バブル当時の日本のブランド・ブームを彷彿とさせるが、果たしてこの勢いは続くのか。